「ゴリ押し」

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韓国「ゴリ押し」外交、世論を焚き付け米国にすがる戦術を元駐韓大使が大解剖

日本政府が韓国をホワイト国のリストから除外する閣議決定を受け、文在寅大統領は臨時閣僚会議を開いた

日本政府は2日、韓国を輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」のリストから除外する決定を行った。これに危機感を覚えた韓国政府は、この数週間、あらゆる手段を使って、この決定を阻止しようとしていた。
 
そして除外決定後の韓国の反応を見ると、私がこれまで韓国との交渉で経験してきた「ゴリ押し」そのものであり、交渉で両国間の利害を調整しようなどという意志が全く感じられないやり方を、ところ構わず展開している。そうした韓国の典型的な外交交渉とはどういうものか、これを受け日本はこの問題にどう対応していくべきか、考察してみたい。

韓国の外交交渉の典型的パターンとは
 
韓国の典型的な外交交渉のやり方は、次の2つのパターンである。

(1) 日本との交渉の際、日本に要求する内容を事前にリークし、それによって世論の流れをつくる。次に、韓国の世論が強く求めていくこと、つまり譲れない一線を日本に迫ってくる。その一方で、日本が要求することは「世論が受け付けない」「司法当局に影響力を行使できない」など様々な理由をつけて拒絶する。
 
こうしたやり方をするため、これまでの交渉で韓国が日本の要求を大幅に受け入れたことを、私は記憶していない。韓国は、自身の要求を一部譲歩したくらいである。世論を背にする交渉は立場が強くなるが、逆に譲歩の余地を狭め、妥協を難しくする。現在はまさにこのような状況にある。

(2) 米国などを利用し、日本に圧力をかけるとともに、国際会議に出向き日本批判を繰り返す。慰安婦問題などが典型的な例であるが、日本の雰囲気はもはやこのような韓国の小細工は受け入れないほど、韓国に対して厳しくなっている。
 
今回の韓国の外交交渉のやり方は、まさにこれだ。日本はこうした小細工に屈していては、今後とも韓国との関係は公平なものにならないであろう。

国内世論を交渉の道具に、韓国の外交手法を大解剖

国内世論を交渉の道具に
韓国の外交手法を大解剖
 
今回の韓国がとった外交手法を整理してみたい。大きく3つある。
(1)「ホワイト国」除外反発祭りの演出

●日本製品の不買運動
 
韓国では、日本製品不買運動に賛同する人が当初の40%台から60%台へ跳ね上がり、盛り上がりを見せている。この数字は、必ずしも積極的に不買運動に賛同する人でばかりではないが、韓国にはこうした運動に対し、反対と言えない雰囲気がある。
 
韓国には、日本の措置に対する有効な対応策がなく、不買運動によって日本企業に損失を与えられることを印象付けようとしている。ただ冷静に見れば、日本製品の韓国への輸出は全体の数%に過ぎず、それほどの被害を与えるものではないとも聞く。

●ローソクデモ
 
7月27日の土曜日から、ソウル中心部の広場でローソクデモが繰り広げられ、「安倍政権にノーと言おう」とのスローガンの下、初日には主催者発表で5000人が結集した模様である。2日目の3日は同1万5000人という(朴槿恵弾劾のときは、初日2万、2日目20万と急増)。
 
このデモを主導したのは、親北朝鮮系の学生団体「韓国大学生進歩連合」であり、これに民主労総、全教組などが加わった596団体であるといわれる。これは朴槿恵政権弾劾を主導した勢力である。彼らが乗り出したことで、今後毎週、土曜日に集会を開き、8月15日の光復節に向けて相当な盛り上がりを見せ、過激化していく可能性がある。
 
これに対する対策としては、朴槿恵氏の弾劾に向けてデモの効果が増してきたときと比べ、日本の反応が少ないと思わせることである。その意味で、日本のマスコミにはあまり騒がないでもらいたい。ただ、感情的な韓国でそれがどの程度効果を発揮するか未知数である。

●日本旅行・交流の中止
 
さらに、日本への旅行のキャンセル、日本の地方交流中止の動きが広がっており、実際に対馬や鳥取など韓国人観光客でに賑わってきた地域では、すでに大きな痛手を被っているところもあるようである。
 
こうした地域には、観光客の多角化も容易には実現できないところもある。できれば日本人観光客がもっと訪れ、支援していきたいものである。

●文大統領による日本非難と対抗措置

「ホワイト国」除外の決定後、文在寅大統領は閣議を主宰し、テレビの生中継で「極めて無謀な決定だ」と非難し、「状況を悪化させた責任は日本政府にある。今後起きる事態の責任も全面的に日本政府にあることを警告する」として日本を非難した。さらに「日本に対する相応の措置を取る」と述べた。
 
これを受けて洪楠基(ホン・ナムギ)経済副総理兼企画財政相は「韓国も優遇対象から日本を外し、輸出管理を強化する」と表明したが、日本を優遇措置から外してもそれほど実効性があるものではない。文大統領の発言は、韓国国民の反日の雰囲気を結集することにあると見るべきであろう。それはまた、与党の研究機関が「反日は来年の総選挙に有利」と予想したように、国内政治的な観点でも見る必要がある。
 
韓国で日本への不満が高まることで、自身の無策に対する韓国国内の批判をそらし、さらに一層の反日の動きを盛り上げることで、日本に与える実害を印象づけようとしている。同時に、日本のマスコミ、地方政府、経済界に、安倍政権への働きかけを促し、「ホワイト国」から韓国を除外する決定への反発を、日本で盛り上げようとするであろう。日本のマスコミの一部や地方政府には、韓国の反応に逐一反応するところもあるが、それは韓国の思う壺である。

国際法違反状態を無視

さらに、今韓国で取り沙汰されているのは、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の廃棄である。しかし韓国政府の中で、北朝鮮に関して最も詳しい徐薫(ソ・フン)国家情報院長が否定的なように、これは日本に実害を与えるというよりは、韓国の安保を一層危険に晒すばかりでなく、米国の不興を買うことになりかねない。
 
日本にとって最悪の事態は、こうした韓国の日米韓連携離れが米国の韓国離れとなり、在韓米軍の縮小につながるときである。

韓国はこれまで、常にこうしたやり方で日本の譲歩を求め、そして多くの場合日本が妥協してきた。しかし、これでは日韓の健全な関係はあり得ない。特に今回の件は、日本の安全保障を左右する輸出管理の運用の問題である。ここは毅然と、世論を巻き込んだ韓国の圧力をはねつけることが肝要である。
 
日本にとっても経済的損失はあるが、韓国にとっての損失ははるかに大きい。だからこそ韓国は、必死にあらゆる手段を使って、「ホワイト国」除外の決定を撤回させようとするのである。

(2) 国際法違反状態を無視
 
日本が韓国に求めるのは、韓国が国際的な約束に反した行動を取っている徴用工問題への対応である。文大統領は徴用工問題に対する最高裁の判決は尊重するとし、日本の要求を門前払いしている。
 
文大統領は「加害者の日本が大声を上げる状況を決して座視しない」「我々は二度と日本に負けない」などと挑戦的な発言を行い、日本の要求は全く考慮しない姿勢を堅持している。
 
日本の要求をはねつける際に決まって言うのは、韓国世論が受け付けないということである。ただ、徴用工問題に関して最も強硬なのは文大統領であり、国民世論ではない。文大統領は国民世論を焚き付けているのである。
 
韓国は常に、世論の声をバックに日本の要求をはねつけてきた。韓国は日本の歴史教科書は批判するが、反日的な記述で溢れている韓国自身の教科書を是正する気配はない。竹島問題にしても、韓国は領土問題を歴史問題にすり替え、日本の言い分には一切耳を傾けない。経済関係にしても、韓国側は貿易赤字の是正は求めるが、福島産の水産物について日本への配慮は一切ない。これらについては、いずれも韓国の国内世論を理由に挙げている。
 
韓国のみが要求を突きつけ、日本の要求はねつける、これでは友好国の対応とは言えない。

(3)国内世論の焚き付け
 
外交交渉は相手のあるものだ。これをうまくまとめようとするときには、国内世論の説得が極めて重要である。時として、外国との交渉よりも国内の説得の方が困難なこともある。外国との交渉をまとめようとするときには、効果的な事前の根回しが不可欠である。
 
たとえば徴用工問題だが、韓国のマスコミは徴用工に関して同情的な論調を繰り広げている。このときに日本との関係を重視するのであれば、日韓国交正常化交渉における経緯を国内でも説明し、韓国政府としての責務を果たしていくことで、国内の世論を静めるのが筋である。しかし、韓国政府がやっていることはそれとは真逆で、世論を焚き付けるだけである。
 
外交交渉が困難なものであればあるほど、冷静さが求められる。冷静に交渉を行い、相手から、交渉によって最大限の譲歩を獲得したとして説得するのが常套手段である。国内世論を盛り上げることは、自らの立場をより困難なところに追い込むだけである。
 
文政権は、表面上は外交的努力を尽くしているというが、実際には日本に譲歩を迫っているだけであり、日本と真摯な交渉をしようという意志は微塵も感じられない。文政権は強硬姿勢を振りかざし、支持率が若干向上しているが、日本から一切の譲歩を得られない場合、政権に対する批判は高まって行こう。一時しのぎの強硬策では、韓国は困難に陥るばかりである。

米国はじめ諸外国を巻き込み、日本非難を展開

米国はじめ諸外国を
巻き込み日本非難を展開
 
韓国は、日本との交渉で思うようにいかない場合、米国および国際会議の場を利用して日本非難を繰り返してきた。
 
慰安婦問題では、米国議会にロビー活動を仕掛けるとともに、米国各地に慰安婦像を設置し、在米韓国人を使って各地の地方政府に働きかけ、国際会議の場を利用して、日本の歴史歪曲、元慰安婦に対する冷たい姿勢を訴え続けてきた。
 
今回の輸出管理の運用変更についても、同様な手法で日本に圧力をかけようとしている。
 
米国に対しては、日本の輸出管理の変更は徴用工問題への報復だとして、日本の非友好的態度は日米韓の連携を揺るがし、GSOMIAの破棄にも至る可能性があると脅迫している。これを受け、ポンぺオ長官はARF(東南アジア地域フォーラム、地域安保を話し合う)の場において、日米韓会合を開催し、仲介に出るとの見方があった。
 
しかし、実際には「日韓両国が協力して前に進むことを促したい」と述べただけのようである。日米韓会談が2日午後になった時点で、日本が仲介に応じないとの意思が確認できていたのではないか。また河野大臣との事前の接触でも、仲介の動きはなかった。
 
仮に仲介するとなれば、事前に説得するのが常套手段である。しかし、日本が今回の措置をあくまでも安保上の懸念によって行っていること、日本が譲歩することはあり得ないことを理解したということであろう。日本は、韓国が輸出管理の適正化をいかに怠っているか、不適切な事案とはどのようなもので、日本の信頼をいかに失っているか、韓国には言わなくとも米国には説明しているであろう。
 
こうして、日本は2日に淡々と韓国を「ホワイト国」から除外する閣議決定を行った。
 
これは正しい選択である。そもそも韓国はGSOMIAを破棄するなどと言って米国の同情を買おうとした。しかし、韓国は昨年9月に米国との十分な事前調整もなく、北朝鮮と軍事合意を行い、38度線沿いの偵察飛行をやめている。さらに徴用工問題で日本の信頼を決定的に損ない、日米韓の連携を崩している。韓国は自らの安保を危険に晒す行動を取っているのである。
 
米国にとって韓国は、面倒くさい相手と映っているだろう。日韓関係修復のために日本が譲歩して欲しいとの気持ちはあるかもしれないが、韓国がいかに滅茶苦茶な国かは、ポンぺオ長官が一番よく知っているはずである。
 
韓国はまた、この問題を場違いなWTO一般理事会に持ち出して、日本を非難し、さらにはARFやRCEP(東アジア経済連携交渉)の会合においても日本を非難した。
 
そもそも韓国を輸出管理体制の中に入れるよう支援してきたのは日本であり、それ以外にも国連の場などで韓国を支援してきたが、韓国がこうした行動を続けるのであれば、それらももう終わりである。日本が韓国の非難に対し、いちいち説明をしなければならないのは面倒であるが、これも韓国の行動にら端を発していることであり、このような行動を繰り返す韓国は一層の不利益を被るかも知れない。

韓国の嫌がらせに対しては、日本全体で対応を

韓国の嫌がらせに対しては
日本全体で対応を
 
韓国はこのように、日本政府と交渉をするときはあらゆる手段を使って嫌がらせをしてくる。
 
日本は冷静であるべきで、韓国のこうした行動にいちいち反応し、日韓関係を修復すべきだとマスコミなどで論じることは、韓国の強硬手段を増長させるだけで逆効果である。韓国のこれまでの行動を見るに、今辿っている道はいつかは通らなければならないプロセスであるように思う。

「文在寅という災厄」 武藤正敏著、悟空出版刊
 
今、韓国がしようとしていることは、戦後の日韓関係の基盤を覆し、かつ日米韓の連携を壊そうとすることである。この際、日本にとっての不利益は甘受し、日韓関係の在り方を見直すことは、日本の将来にとって必要不可欠なことではないだろうか。
 
韓国の不買運動は、全体の売り上げから見てほんの数%の問題である。ただ、対馬や鳥取の観光など大きな被害を受けるものもある。それについては、日本全体でこうした地域への観光を増やす運動を繰り広げるなど、サポートを増やしていってほしいと思う。

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