「外国人参政権問題で学ぶ国家観」

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外国人参政権問題で学ぶ国家観

外国人参政権は「国家とは何か」という国家観を学ぶための良い例題なのだが、、、

■1.「洗国」

 中国には「洗国」という戦術があるそうな。三橋貴明氏が著書『移民亡国論』[1]の中で次のように説明している。

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洗国とは、支那大陸において、「他国」を乗っ取る際に多用される(多用された)手法である。まずは、国内の流民を数十万人規模で「対象国」に移住させる。当初は「外国人労働者」として、いずれは「移民」として、膨大な支那人を送り込み、現地に同化させていくのだ。・・・
 いわば人口を利用した外国侵略だ。[1,p88]
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カナダのバンクーバーは人口210万人のうち約18パーセントが中国系住民で、いまや香港にひっかけて「ホンクーバー」と揶揄されている。周辺のリッチモンド市にいたっては半数以上が中国系で、街の看板も中国語の方が英語より多い。他人事ではない、我が国でも埼玉県南部には住民の40パーセントが中国人という団地がある。[a]

こういう移民が地方参政権を得たら、強力な票田となって親中議員を増やしたり、中国系議員を当選させたりして、政治に影響力を持つ。たとえばサンフランシスコ市の前市長エドウィン・リーは中国系移民二世で、中国系団体が建てた慰安婦像の寄贈を市として受け入れる決定をした。

中国共産党政府は「国防動員法」で「外国に居住する中国人民」を含めたすべての人民を国防のために動員できると定めているので、こうした移民は外国にいても、秘密裏に中国政府の指示に従って動く恐れがある。

平成20(2008)年の長野オリンピックでは、3~4千人の中国人留学生が集まって、巨大な中国国旗を林立させた。これも中国政府の指示であろう。その一部が暴徒化して、チベット・ウイグルを支援する日本人グループを襲撃し、数十人の日本人が負傷したと言われている。

しかし、こんな派手な事件を起こさなくとも、在日中国人が地方参政権を得れば、自分たちのための働いてくれる日本人議員を当選させて、日本国民が気がつかないうちに地方議会を左右できる。これも「洗国」の一ステップである。

■2.「外国人にも、地方選挙の選挙権を認めるべき」

外国人参政権はこうした問題を孕(はら)んでいるのだが、中学公民ではどう教えているのだろうか。東京書籍版中学公民教科書(東書)では、「参政権」の項に「外国人参政権」のコラムを設け、次のように述べている。

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日本では、選挙権は国民の権利として日本国籍を持つ人のみに認められています。これに対して、外国人にも、一定の条件の下、一人の住民として地方選挙の選挙権を認めるべきだという意見もあります。[2, p56]
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「日本では」とことさらに書かれると、さも世界の大勢は違うのか、と思ってしまう。その上で「外国人にも、一定条件の下、地方選挙の選挙権を求めるべき」という意見を聞かされれば「日本は世界の大勢から遅れた国で、日本に住んでいるのに参政権も与えないのは差別だ」と思い込む生徒も出てくるだろう。

■3.参政権は「国民固有の権利」

この点で、育鵬社版(育鵬)では「EU加盟国の外国人参政権」と題した3分の1頁ほどのコラムで、次のように原則と諸外国の状況を詳しく説明している。

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参政権は本来、国家の構成員のみに認められる権利です。日本国憲法でも「国民固有の権利」(15条(1))とされています。[3, p75]
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憲法15条(1)は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と謳っており、地方議員も市町村長も国会議員も、みな公務員であるから、これらの選挙での「参政権は国民固有の権利」と明確に規定されているのである。

裁判所の判決事例でも、これまでに外国人が国政参政権、地方参政権、国政被選挙権(選挙に立候補して選ばれる権利)を求める訴えを起こしたが、いずれも最高裁において棄却されている。この点を、自由社版公民教科書(自由)は詳しく説明している。

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これら(JOG注: 在日韓国人、朝鮮人、日本居住外国人)の日本に永住または在住する外国人に対しては、選挙権や公務員となる権利は基本的に保障されていない。これに対し、外国人に選挙権を与えないのは憲法第14条の法のもとの平等に反するとの訴えが起こされた。
しかし、1995年、最高裁判所は次のような主旨の判決を下し、訴えを退けた。「憲法は第15条で選挙権を日本国民固有の権利としている。また憲法93条に規定された地方選挙権を有する住民とは日本国民である。わが国に在住する外国人に選挙権を付与(ふよ)しなくても合憲である。」
 
この判決は、日本の選挙権を日本国民に付与し外国人に付与しないことは、合憲であり、権利の平等・不平等の問題ではないことを示した。
 しかし、現在も日本に永住または在住する外国人に地方参政権を付与するか、付与しないか、議論が続けられている。[4, p68]
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このように、外国人参政権の問題でも、憲法規定、裁判所判例という大前提をきちんと説明した上で、「議論が続けられている」と追加することで、生徒も「公民」として、この問題を正しく考えていく事ができる。

この点で、東書は「国民が政治に参加する権利が参政権です」と説明するだけで、その参政権が「国民固有の権利」である事は明記していない。こういう大前提を教えることは、公民教育の根幹なのだが。

■4.「~という意見があります」という欺瞞

何の論拠も示さずに「~という意見があります」という言い方は東書のお気に入りのようで、「一方で,自衛隊は憲法第9条の考え方に反しているのではないかという意見もあります」とか「このような自衛隊の海外派遣については慎重な意見もあります」などという表現を、今までもこの「公民教科書読み比べ」シリーズで批判してきた。[b]

そもそも論拠も示す事なく「~という意見があります」というだけなら、「肉食は禁止すべきだという意見もあります」とか「完全な非武装平和を目指すべきだという意見もあります」などと、何でも言える。いくら少数意見でも、そういう意見がある事自体は「事実」ではあるから、虚偽の記述ではない。しかし、そこには欺瞞が隠されている。

ある問題で対立する意見があるなら、両者の論拠をきちんと比較し、前提として憲法規定や裁判所判例を知った上で、生徒にどちらを正しいとするのか考えさせるべきだろう。そうしてこそ、自分の頭で今後の日本国のあり方を考える「公民」を育てる事ができる。

東書のように「外国人にも参政権を与えるべき」という一方の意見だけを紹介し、しかもその意見が憲法規定に反し、最高裁判所判例でも否定されているという大前提を教えないのでは、その方向に生徒を「洗脳」する魂胆があるのか、と疑われても仕方がない。国は「洗国」、国民は「洗脳」では、独立国は維持できない。

■5.ドイツでもフランスでも憲法違反

次に、東書で「日本では」と、さも外国人参政権を認めないことが日本の特殊事情であるかのように述べている点を考えてみよう。育鵬の前述のコラムでは、この点も事実を詳しく説明している。

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地方参政権などを外国人に付与している国は世界で約40か国ほどです。その大部分はヨーロッパ連合(EU)に加盟する国々です。
 
ドイツやフランスでは、日本国憲法と同じく、憲法で国民主権を採用しています。そのため、ドイツでは外国人に地方参政権をあたえた州の法律が、地方レベルでも国民主権に反するとの裁判所の判断により憲法違反とされました。
 
また、フランスでもEU条約の締結にあたり、他国籍のEU市民に地方参政権を付与することを認める条約を違憲としました。
 
そこで両国はEU市民に限り、各国はたがいに地方参政権が認められるように憲法改正を行い、EU条約を批准しました。
 
現在、ほとんどのEU加盟国はこのEU条約に基づき、加盟国の国民に対してのみ、EU市民権としての地方選挙権を相互に認め合っています。加えて、イギリスはオーストラリアやカナダ、ポルトガルはブラジルなど、旧植民地の国籍をもつ人に対しても参政権を認めています。[2, 75]
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EUは、ヨーロッパ合衆国として一つの国になる事を目指していたから、相互に地方参政権を与えることはその方向に沿った政策である。しかし、「一つの国」になるというEUの理想は、まさしく外国人移民の問題で瓦解しつつある。EUの積極的移民導入策に、文化や安全の面で耐えきれなくなった国々が、反対の声を上げ始めたからだ。

また、イギリスから見たオーストラリアやカナダ、ポルトガルから見たブラジルは、同じ言語を用いる血の繋がった親戚ともいえる国々であり、相互に移民が出入りしても、文化や安全の問題が生ずることはない。

このように外国人参政権の問題は、国家共同体とは何か、どうあるべきか、という国家観の問題につながっているのである。

■6.マンションの管理組合で考えれば

参政権は国民だけに与えられる、との原則の妥当性を理解するには、マンションの管理組合を例に考えると中学生にも分かりやすいだろう。マンションの管理組合は、改修をどうするか、など、資産価値を保全するための意思決定を行う。管理組合の役員として選出された人々は、そのための調査を行ったり、案を作って管理組合総会に提案したりする。

マンションが国土であり、所有者が国民、管理組合は国会にあたる。在日外国人は、マンションの一戸を賃借して住んでいる賃借人だ。外国人参政権の問題とは、賃借人が管理組合の意思決定に参加したり、役員選挙権を持つ事ができるか、ということだ。

マンションをどうするか、という問題に、そのマンションの所有権を持たない人が口を挟むのはおかしい、とは分かりやすい道理である。要望や提案を出したり、アドバイスしたりするのはまだ良い。しかし、決定権は所有者が持つ。

そもそも賃貸人は、そのマンションに長期間住む事を前提としていない。したがって長期的に住もうとする所有者と、短期間だけ住めれば良いという賃貸人とでは、考えもニーズも異なってくる。

たとえば10年先、20年先を考えて、今のうちにお金をかけて大規模改修をしておこうという案に賛成する賃貸人は少ないだろう。そういう賃貸人が管理組合で発言権を持ったら、マンションの資産管理も歪められてしまう。

管理組合は、あくまでそのマンションを「自分の財産」として大切に考える人たちの組織である。この「所有権」にあたるのが、国籍である。

■7.「外国人でも税金を払っているのだから、参政権を認るべき」

一方、「外国人でも税金を払っているのだから、参政権を認るべき」という主張がある。これは賃貸人が「共益費を払っているのだから、管理組合で発言させろ」と言うのと同じ理屈である。

共益費とは管理人の給与やエレベータの保守費用にあたる。賃貸人も、管理人のサービスやエレベーター利用などの「共通の益」を享受しているから、「共益費」を負担するのが当然なのだ。それを払うことと、管理組合に参加することは別の話である。

国の税金も、警察や消防、軍隊に安全を守って貰い、小中学校で無料の教育を受け、公園や図書館を使う、という「共益」のための費用なのだ。国籍に関わりなく、日本国に住む以上はその「共益費」を払うのは当然であり、それと参政権とは関係がない。

また「税金を払っているのだから、選挙権を与えるべき」という主張を裏返せば、「税金を払っていない人々は選挙権を持つべきでない」ということになる。それでは貧乏人には選挙権を渡すな、と言うのか。

どこの国でも、選挙権は有産階級から始まって、次第に納税有無に関係ない「普通選挙」に広がっていった。財産の多寡や納税の有無に関係なく、国民の権利として平等に選挙権を持つべきだ、というのが近代的な「国民主権」である。それは外国人、すなわち「非国民」は主権に関与させない、という意味を含んでいる。

■8.国家観を学べない教科書

以上のように、外国人参政権は「国家とは何か」という国家観を考える上で、良い切り口となる。マンションの例で言えば、マンションの所有者たちの共同体、すなわち管理組合が国家共同体なのである。賃借人は隣人として仲良くやっていくべきだが、あくまで一時的なゲストである。

所有者たちの共同体は所有権という経済的・法的な次元に止まらない。自分たちのマンションへの愛着や、所有者間の同胞意識も含んだものである。それらがあってこそ、マンションも住みやすくなる。

東書の記述には、日本国憲法が外国人参政権を違憲としていること、最高裁判例でもそれが支持されていること、海外でも同様に考えられている事が明記されていない。こういう教科書では、生徒たちは健全な国家観を持った公民には育たないだろう。

                                      
(文責 伊勢雅臣)

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