「迷走と独裁」

画像の説明 朴槿恵大統領みずから窮地に 私人の「友人」に秘密通知、意思疎通の失敗「不通」を象徴

公職者でもない民間人の私的な「友人」に、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が国家機密である演説の草稿や閣議資料を事前に渡し、アドバイスまで受けていたという前代未聞の不祥事。

大統領自らがそれを認めたことに韓国社会は衝撃を受けている。任期満了まで1年4カ月となった朴政権の求心力低下は、避けられない状況だ。

朴氏は2014年4月の旅客船セウォル号沈没の際、国民に涙を見せて謝罪した。しかし今回は、自らが直接関与していない沈没事故とは違い、明らかに朴氏自身が作ってしまった不始末だ。

今回発覚した問題は、国民が知らない権力の中枢部で友人との間で行われた。大統領就任以来、政権内部や国民との意思疎通の乏しさを「不通」と批判される朴氏を象徴してもいる。

さらに、朴氏から演説の草稿などを事前に受け取って、大統領に“意見”をしていた渦中の人物、崔順実(チェ・スンシル)氏(60)は、セウォル号沈没当日に朴氏と密会していたとの噂が出た朴氏の元側近、鄭(チョン)ユンフェ氏の元妻だ。

密会はなかったと裁判所は認定したが、韓国社会では朴氏を取り巻く人脈への一種の“うさん臭さ”が再浮上している。

崔氏が「辛かったときに助けてくれた人物」であったことは、朴氏の言葉通りだろう。崔氏は朴氏の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が1979年に側近に暗殺された後も父の故崔太敏(チェ・テミン)牧師とともに朴氏を支えた。

しかし、朴氏とは40年来の仲で「朴政権の陰の実力者」(韓国紙)とまで称される崔氏をめぐって最近、財界が出資し設立されたスポーツ・文化支援を目的とする財団を私物化しているなどの疑惑が続出している。スキャンダルはこうした中で発覚した。

北朝鮮問題や国内経済の低迷・悪化など、さまざまな重要課題を抱えている朴政権ではあるが、大統領自身が招いてしまった問題が韓国社会に与えた衝撃は極めて大きい。

24日に国会での施政方針演説で、大統領任期に関する憲法改正の意向を、野党の反発を覚悟でぶち上げた朴氏だったが、一夜明けて取り巻く状況はさらに暗転した。

支持率が25%と、就任以降の最低を更新するなか、国民の信頼回復は難しく、民心の“大統領離れ”が今後、加速化するのは必至だ。

朴政権下の韓国がさらに分裂、混迷に向かう可能性さえ否定できない。

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