「恥さらしと報道」

画像の説明 韓国・海運大手の事実上の破綻が、世界に大迷惑をもたらした。

経営難に陥っていた韓進海運が8月31日、日本の会社更生法にあたる「法定管理」をソウル中央地裁に申請し、事業がストップ。同社が太平洋を渡り、米国などに運んでいたコンテナは1日あたり約2万5千個にのぼっていたともいわれ、物流に混乱をきたしている。

米国では、11月下旬にスタートするクリスマス商戦に向けた仕入れシーズンと重なっただけに、小売りへの影響を懸念する声さえ浮上。韓国メディアは「韓国の恥を世界にさらしている」と憤慨している。

業界世界7位の海運会社

法廷管理に入った韓進海運とはどんな企業なのか。

同社は、コンテナ積載力で世界7位の船会社で、大韓航空を中核とする韓進グループ系列に属する。

韓進グループの趙亮鎬会長は、2018年の平昌冬季五輪の大会組織委会長を務めるほどの大物だったが、経営立て直しのために5月に組織委会長を退き、韓進の苦境を印象付けた。

「サムスン」積み荷も海上を漂う

これまで政府系金融機関の韓国産業銀行(KDB)などで構成する債権団のもとで、経営再建を目指していた。しかし、再建には、1兆ウォン(914億円)以上の資金が必要になることが判明。債権団は支援の継続を断念した。ロイターによると、昨年末の負債額は5兆6千億ウォンといわれる。

「サムスン」積み荷も立ち往生

 韓進の経営破綻が、世界的な注目を集めたのは、同社が運ぶ大量のコンテナが海上に足止めされ、各国の港に荷揚げできなくなったためだ。法廷管理申請後の1週間余りで、80隻近いコンテナ船が足止め。荷降ろしの経費を誰が負担するかが判然とせず、入港したとたんに債権者に船を差し押さえに入る恐れもあって、行き場を失ったわけだ。

 インターネット通販の普及が国境を越えた物流を盛んにした一方、輸出入の大半を船舶に頼っているのは従来と変らず、海上輸送の重要性を知らしめる教訓にもなった。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)によると、海上を漂う積み荷の総額は、約140億ドル(約1兆4200億円)。韓国サムスン電子でも、3800万ドル相当の積み荷が韓進の船に積まれたままになったという。

「海を漂っている船舶は70隻」

 年末商戦で在庫を仕入れる時期と重なったため、荷主は急きょ別の輸送業者に切り替えるなどの対応を迫られ、同紙は「クリスマスの時期に在庫不足に陥るとはみていないが、この状態が長引けば長引くほどリスクは増す」とのアナリストの意見を紹介した。

日本企業とばっちり

 荷降ろし問題を解消するため、韓進グループの趙会長は私費で400億ウォンを拠出、大韓航空も韓進の米ロサンゼルスにある資産を担保に600億ウォンを融資する方針だ。

 しかし、事態の大きな改善にはつながっていないようだ。朝鮮日報(日本語電子版)によると、9月11日現在でも「海を漂っている船舶は70隻」と報じ、約35万個コンテナの荷降ろしはいつになるか分からない状態と伝えた。

 韓国内では、同国の現代商船による韓進の資産買い取りを通じた救済も検討されているもようだが、抜本的な生き残り策は見いだせていない。

 さらに、韓進の破綻は、日本をはじめ海外への海運会社も、とばっちりを食らいそうだ。

「政府の無能さが世界的な恥を招いた」

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