「悪魔から太陽へ」

画像の説明 すでにクリアな目標を掲げている政府。

ウクライナのチェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故から30年。いまだに2,600平方キロメートル圏内の地域は居住や立ち入りが制限されている一方で、多くの野生動物が生息し始めたり「チェルノブイリ・ダイアリーズ」なんて作品が誕生したり(この作品なかなか酷評のようですが)。

現実にはまだ自分の家に帰れない人々もいれば自己判断で住み続ける住民たちもいて、そんなチェルノブイリの街の再生を試みる人が現われるのは、もはや時間の問題ともみられているようです。

Bloombergによると、ウクライナが同地域に太陽光発電システムを設置できる投資家を探していることが伝えられました。しかもそのゴールはすでに明確で、年末までに4メガワットの大規模なパネルを取り付ける考えでいるようです。

この計画は、国が抱える2つの課題を解決するアプローチになることが想定できます。1つは、チェルノブイリに再び生産性を取り戻すことができるという点。地域のうち多くのは長期的な被爆の可能性があるため使用不可能であるものの、限られた安価な土地で十分な供給量が見込めます。

「チェルノブイリの地には、再生可能エネルギーのためのポテンシャルが大いにある」と、ウクライナのOstap Semerak環境大臣。「核施設に利用されていた高電圧送電線はすでにあることや、土地が安価であること、発電所で仕事をするうえで研修を受けた従業員も多くいる」といいます。

ソーラーパネルを導入する2つ目の利点は、ロシアに対する資源依存度を軽減できること。

特に2014年から争いが突発した東地域でロシア国境沿いに面するドンバスの情勢は緊迫していて、ニュースでは大きく報じられないものの、ロシアの反勢力者らがウクライナの領土を侵略する紛争はまだ続いていることが明らかになっています。

現在、Ukrtransgaz PJSCによるとウクライナはすでにロシアからのエネルギー消費量を半分に減らしているようで、ソーラーパネル導入はさらに同国のエネルギー自立を加速させることになります。

世界原子力協会によると、原子炉周辺に格納器の設置が進み、立入禁止区域のインフラ修繕といった作業も進行中であることがわかっています。

いまだ放射線量が顕著に確認できるエリアは多くあるものの、放射線量の少ない地域では制限つきで立ち入りが許可された場所もあるのだとか。

現段階で、米国の企業2社を含む外国の出資者を得られたウクライナ政府。

史上最悪の原発事故が起きた街はいま、少しずつ生まれ変わろうとしているようです。

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