「全力でやってるのに」

画像の説明 「全力でやってますよ!」

温厚な人柄で知られる中谷元防衛相が、22日の記者会見で気色ばむ場面があった。熊本地震の輸送支援に協力している米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの必要性を、共同通信や東京新聞など一部のメディアが執拗に追及。

果ては災害支援に全力を尽くす陸上自衛隊の能力にまでケチをつけたためだ。記者会見の詳細は以下の通り。

共同通信記者「オスプレイの必要性がどうしても理解できない」

中谷防衛相「当時、10万人を超える方が避難所にいて、水や食料も十分に手元に届いていない状況でした。もちろん自衛隊も持てる限りの総力を挙げて対応してきたわけです。そういう中で、米国から『何か支援することがあったら米国も全面的に協力する』というオファーも来ており、防衛省・自衛隊としてもできることは一つでもやっていきたいという観点で米国の支援も検討した。日米間で答えをまとめて総理に報告して、実施したということです」

共同通信「17日の朝、安倍(晋三)首相は『(米軍からの)申し出はあるが、直ちに支援が必要だという状況ではない』と言っているが、その2時間半後に『大変有り難い申し出だ』と態度を一変させた。その間に何があったのか」

中谷氏「それまで日米間で調整し、その結果を総理に報告に行きました」

共同通信「なぜ陸上自衛隊は(大型輸送ヘリの)CH47をたくさん持っているのに、積載量の少ないオスプレイが必要なのか」

中谷氏「当時の状況は全能力、持てるヘリを全て使って実施をしていたわけです。それ以上の所用があったということで、われわれとしてはできる限りの努力をしたということです」

共同通信「3・11のような広範囲な大震災と違い、阿蘇地方、熊本地方という局地的な地震だ。そこでなぜオスプレイのような航続距離が特徴のものが必要なのか。航続距離は必要ない。非常に短い高遊原(分屯地)と南阿蘇地区の間をピストン輸送すればいいだけだ」

中谷氏「当時は道路が寸断していました。また大渋滞でした。そういうところに物資を届ける手段としては、航空機、ヘリしかありません。従って自衛隊の持ち得るヘリは全て投入して実施しておりましたが、当時の状況は水や物資が届かないという状況にあります。現実にオスプレイは、中山間の地域においてもそれを運ぶだけの能力があるので、実施が可能であると私は思ったので、米側と調整したということです」

共同通信「当時もCH47を全部使ったわけじゃないじゃないですか」

中谷氏「使えるヘリは全て使っておりました」

共同通信「そんなことはないと聞いてますが」

中谷氏「いや、そういうわけはありません。こういった非常災害時において、自衛隊の持ち得る装備、当然、他の任務もあるし、修理や点検の必要もありますが、こうした災害に与える装備については全て利用して全力で災害対策に当たれと指示しています」

共同通信「今回のオスプレイ投入と佐賀空港への配備問題は関係ないか」

中谷氏「全く関係ありません!被災者の救援が第一です」

共同通信「日米同盟の象徴としてオスプレイを入れたのでは」

中谷氏「いや、全くこれは被災者の救援のために何ができるかという視点で、能力を最大限生かしていくということ以外、考えていません」

東京新聞記者「当時、能力は全て使って実施していたが、それ以上の所用があったと説明したが、自衛隊の能力はその時点では不足していたということか

中谷氏「いえいえ、自衛隊の能力を全て挙げてやっていましたが、それ以上にニーズがあるわけです。『物を運んでほしい』など色んな声が挙っていたし、捜索救助活動も続いていて、一刻も早い救援が求められた。そして出し得る限りの支援が求められたということです」

東京新聞「では自衛隊の能力は充足されていたのか、当時の状況に対して十分対応できていたのか、できていなかったのか」

中谷氏「もう隊員は全て現場に出れる可能な限り出動し、そして自衛隊の所有し得る機材は全て使って対応したということだ」

東京新聞「それでもなお能力が不足していたから米軍のオスプレイに支援いただいたということか」

中谷氏「できる限りの支援ということで、考える限りの支援をしたということだ。もちろん自衛隊の能力、隊員の大変ムリを言って急遽(きゅうきょ)、災害派遣をかけて全国至る所から集結しております。そのためにも航空機もいれば、艦船も必要です。陸海空全て省一丸となって対応しておりまして、少しでも救援活動ができるようにと調整したわけです」

朝日新聞記者「オスプレイの利用は日本側からの要請なのか、米側からなのか」

中谷氏「地震発生直後の15日未明にカービー米国務省報道官によって記者会見で表明され、支援の申し出がありました。同時に、米軍からの支援についても同日、在日米軍司令部から統合幕僚監部に支援の申し出がありました。私も報告を聞き、事務方に対して米軍による支援のニーズがあるかどうか、検討するように指示をして、自衛隊としてはより効率的、迅速な救援活動を行うためには、自衛隊の輸送力に加えて、米軍の輸送支援が必要と判断し、輸送協力を得るべく米側と調整したところ、17日に米側から『航空機による支援が実施可能だ』という連絡がありました。

これを受け、私が安倍首相に17日午前に報告したところ、安倍首相から『大変有り難い申し出があり、速やかに具体的な輸送ニーズを調整するように』という指示があり、事務方にさらに調整を実施させました。その後、当時は本当に物資が不足しておりまして、道路の状況を踏まえまして、やはりヘリを含む輸送が求められていたということで、自衛隊としては全力で取り組んでいるものの、その輸送力にはおのずと制約があるということで、ヘリによる輸送手段も有する米軍の支援も得て、避難所で不自由な生活を強いられる被災者の皆さまに一刻も早く支援活動を届ける必要があります。

そのような調整におきまして、やはり被災地の状況、対応可能な航空機の能力、運用状況、具体的なニーズ、これを総合的に考慮しつつ輸送する航空機の機種を含めて詳細が決定されましたが、その結果、MV22オスプレイを含む米軍の輸送機による輸送が実施されたということだ。このほかにも(米軍の)UC35、C130による輸送支援も行っています。再度申し上げますが、防衛省・自衛隊としては、熊本地震の対応のために、やれることは全てやるという決意の下に被災者支援の取り組みを行っているというところです」

朝日新聞「首相に報告した後、日米間での話でオスプレイが出てきたのか」

中谷氏「これはずっと調整をし、『支援が可能だ』と米側から話がありましたので、首相にその内容を報告したわけです。その後さらに調整を重ね、オスプレイを含む米軍の空輸輸送を実施していただくということが決定されたということです」

朝日新聞「調整の中で、オスプレイを使うというのは日本側から提案したのか、米側から『使えるよ』と言ったのか」

中谷氏「どういったことが可能なのか、日米間でずっと調整してきたということです」

沖縄タイムス記者「17日の時点でオスプレイはフィリピンにいたと思うが、外国に展開しているという説明もあったのか」

中谷氏「オスプレイを含む米軍からの航空機による輸送支援が可能である返事が17日の早い段階で防衛省に届いたので、それをもって首相に説明に行ったいということです」

沖縄タイムス「米軍はフィリピンで訓練をしているのを、熊本の支援のために帰ってきたということでよいか」

中谷氏「そういう支援が可能かどうか、ずっと調整中でした。当然、オスプレイも含めて米軍の持ち得る能力、どういう点が可能であるかも調整はしていたということです」

共同通信「17日の時点で陸自のCH47の機数が足りなかったとすれば、装備の充足が足りなかったということではないか。3・11のように10万人態勢ではなく、今は2万6000人という人員。3・11と違って限られた特に熊本の阿蘇地方、熊本地方という場所で、そこをピストン輸送をヘリでするのに、なぜ航続距離が自慢のオスプレイが必要なのか全く分からない」

中谷氏「当時の状況は17万人くらい一時、避難所にいて、情報も錯綜(さくそう)しており、全く電気も水道もガスもない。また物資も届かない。そういう中で非常に被災者が不安、心配に感じておりました。

これに対して一刻も早く物資を手元に届ける。そのために航空輸送力が必要ですが、もちろん自衛隊全機種を使って可能な限りの態勢で支援をしていましたが、やはり、それだけでは確実に物資が届いていない状況でありましたので、そういうことを計画したということです」

共同通信「そんなに自衛隊の輸送力はないのか」

中谷氏「いえ、全力でやってますよ!全機種使って」

共同通信「あの限られた地域の輸送もオスプレイの応援がなければできないのか」

中谷氏「自衛隊の使えるヘリは全て投入してやっています。一刻も早く事態を解消する必要があったということです」

共同通信「陸自のヘリの装備は足りなかったと。不備だったと。防衛省は陸自のヘリをもっと増やすべきだったということか」

中谷氏「一刻も早く被災者を救援するということが災害の時は必要で、自衛隊も警察も消防も、全て総力を挙げてやってきているので、できる限りの支援態勢は国としてとるべきではないでしょうか」

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