「来てはいけない・・・」

画像の説明 中国国家発展改革委員会は今月11日、中国サッカーの2016~2050年の「中長期発展計画」を発表した。サッカー強化という習近平国家主席の「夢」をかなえるにはサッカー先進国のノウハウの導入が不可欠で、中国クラブは南米や欧州の選手・コーチの「爆買い」を続けている。

有望選手さえも高額報酬に引き寄せられる中、元イングランド代表GKが衝撃の告白で“待った”をかけた。

中国国家発展改革委員会が国家体育総局、教育省、中国サッカー協会と共同で策定した中長期発展計画では、2030年までに男子代表チームのレベルをアジア上位に引き上げることや、2050年までに「一流のサッカー強国」になることを掲げている。

中国国営新華社通信のニュースサイト「新華網」が「中国がサッカー史上初めて明確なタイムテーブルを持った長期の発展計画を策定したことを示している」と称賛する計画の実現に向けて、管理体制の整備や競技施設の充実に加え、人材育成や海外の優秀な人材や資金の獲得などを推進する構えだ。

中国メディアによると、広東省広州市には今月、中国初のサッカー専門4年制大学「広州体育学院サッカー学院」が設立された。責任者が「国家戦略と一体」と語る同学院では、習近平指導部の方針に沿う形で、コーチなど指導者を育成する予定と伝えられている。

中国クラブも選手の「爆買い」に加え、世界的に名の知れた監督・コーチにも触手を伸ばしている。現在、広州恒大の指揮を執るのは元ブラジル代表監督で、過去にはJリーグ磐田の監督も務めたルイス・フェリペ・スコラーリ氏。上海上港は外国人として初めてイングランド代表監督になったスヴェン=ゴラン・エリクソン氏を招聘(しょうへい)している。

前日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏は、北京国安の監督に就任した。選手としてJリーグを盛り上げ、名古屋の監督としても好成績を残した“ピクシー”、ドラガン・ストイコヴィッチ氏も、広州富力の招きに応じた。今回、英紙サンに惨状を吐露した元イングランド代表GK、イアン・ウォーカー氏も上海上港のコーチだ。

「私の家族は上海に住んでいたが、息子は大気汚染によって体調を崩した。検査したところ、血液中から大量の金属が見つかったんだ」-。

ウォーカー氏は4年前に、上海のライバルクラブ、上海申花のコーチに就任した。以来、日課になっているのが、自宅を出る前に携帯電話のアプリケーションで、大気汚染の状況をチェックすることだ。

結局、ウォーカー氏は「単身赴任」を選択。8歳の息子の健康状態を考慮し、妻の母国、米国へ移住させることを決断したという。

ウォーカー氏いわく、中国での生活は至るところに危険が潜んでいる。大気汚染に加え、水や食品にも気をつけなければならないという。

さらに劣悪なのが、交通マナーだ。バイクが歩道をわが物顔で走り、車は赤信号を無視して交差点に突っ込んでくる。逆走も日常茶飯事で、ウォーカー氏は「道路を渡るのも注意しなければならない。

中国人は赤信号でも止まらないからだ。あやうくひかれそうになったことも何回かある」と“恐怖体験”を語っている。

また、最初に所属した上海申花のオーナー、朱駿氏についても「少々いかれている」と手厳しい。2012年夏に移籍したコートジボワール代表のスター選手、ディディエ・ドログバは、在籍わずか5カ月でクラブを去った。ウォーカー氏はその理由として、給料の未払いを挙げている。

ウォーカー氏自身も3カ月分の給料が未払いだったことがあり、契約延長の交渉をする際、「しぶしぶ支払った」という。

ウォーカー氏が現在所属する上海上港も、英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表FWウェイン・ルーニーに3年契約を提示したと伝えられている。しかし、ウォーカー氏は「本気で中国に来ることを考えるならば、しっかり調べた方がいい」と忠告している。

「聞いたこともない町に来る選手もいる。他の場所と同じだと思ってやってきた後、それが間違いだと知ってショックを受ける。スターバックスを見つけられない地域もある。大気汚染が深刻で、まともなホテルが1件しかないような地域がたくさんある。これまで経験してきた場所とはあまりにも違う」

そしてウォーカー氏は将来を嘱望されている選手たちに、こう呼びかけている。

「もし、世界のトップレベルでプレーしたいのならば、今は中国に来ない方がいい。それは確かだ」-。サッカー界でも、中国の異質さが徐々に知れ渡り始めているようだ。

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