「現実」

画像の説明 韓国の就活生10人のうち9人が海外での就職を希望している-。

こんな衝撃の調査データがこのほど韓国で示され、インターネット上などで話題になっている。

韓国の若者たちは近年まれに見る就職難に悩まされており、先日も韓国貿易協会が韓国の若者の日本への就職支援方針を打ち出したばかり。

ただ、若者たちがこぞって海外での就職に目を向けていることについて、ネット上では「誰も自分の国をよくしようと思わない国って…」「自分がよければ国さえ捨てるのか」など非難の声も上がっている。韓国事情に詳しいジャーナリストは「若者の国外流出が本当に起きれば、韓国の崩壊につながりかねない」と警鐘を鳴らしている。

今回の調査は「海外就労選好度調査」と呼ばれるもので、就職ポータル「ジョブコリア」がアルバイトポータル「アルバモン」と共同で就活生445人を対象に実施した。

中央日報日本語版によると、回答者のうち87.4%が「機会さえあれば海外で就労をしたい」と回答。このうち36.5%は海外就職に向けて具体的に準備をしていると答えた。

海外就労希望先は米国が26.7%でトップ。次いでカナダが18.5%、欧州が17.2%、オーストラリアが15.2%と続いた。日本は9.3%、中国が6.9%、東南アジアは2.6%だった。

海外就職を希望する理由としては、福祉および勤務環境が整っているという回答が30.6%で最も高く、韓国ではこれ以上就職が見込めないとする回答も22.9%に上った。

実際、韓国の若者の就職環境は厳しさを増している。韓国統計庁の雇用動向によると、昨年の若年層(15~29歳)の失業率は9.2%と、前年から0.2ポイント悪化し、1999年に統計の基準が変更されて以来の高さとなった。昨年の韓国の失業率は全体で3.6%だったので、若者の失業率が飛び抜けて悪いのが鮮明になっている。

韓国の就職が厳しくなったのは、1997年のアジア通貨危機がキッカケとされる。韓国の金融機関の不良債権問題が一気に吹き出て、国家破産のすれすれのところまで追い込まれたが、国際通貨基金(IMF)の支援で命拾いをした経緯がある。

ただ、この通貨危機を契機に抜本的な経済、社会改革を強いられ、韓国企業も構造的なリストラに着手。雇用については、正社員数を減らして契約社員を多用する態勢にシフトし、これが今に至る就職難につながっているとの指摘は多い。とくに現在は産業界ではウォン高に加え、追い上げてきた中国と、復活した日本の挟撃に合い、苦しんでいる韓国企業は少なくない。

高給が手にできるサムスン電子や、LGエレクトロニクス、現代自動車といった財閥系の大企業に就職できるのは一握りに過ぎず、多くの若者が不安定な雇用に苦しんでいるのが実態なのだ。

こうした中、先月明らかになった韓国貿易協会の方針は話題を集めた。韓国の若者の日本での就職を支援するというもので、実際に日本の就職情報会社マイナビ、韓国の求人情報サイトのジョブコリアと業務協約を結び、先月末にはソウルで「日本就業成功戦略説明会」を開催。

今後は日本での就職を希望する求職者に役立つ教育を行うほか、7月には日本企業を招き、採用博覧会を開催する予定という。

慰安婦問題などで日本との軋轢が絶えない韓国が、日本に求人を求める動きは韓国の若者の就職難が生半可ではないことを改めて示した。

ただ、いくら就職が厳しいとはいえ自国内での雇用を創出する努力が見えない中で、安易に海外に就職先を求める姿勢に対し、厳しい声も投げかけられている。

前出の韓国通のジャーナリストは「韓国の就活生の海外希望が現実になったとき、韓国は内部から崩れ出すかもしれない。早く手を打たないと取り返しのつかないことになる」と話している。

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