「まいったなぁ~」

画像の説明 ロシアが「想定外」の原油安に揺れている。

今年は景気回復を期待していたのに、原油価格と通貨ルーブルの急落で、逆に景気対策や歳出削減を迫られている。1998年のロシア危機の再来を懸念する声も増しており、高い支持率を誇るプーチン政権の足元が揺らぐ可能性もある。

ロシアのメドベージェフ首相は20日の政ログイン前の続き府会議で、原油価格の急落を受けて急きょ、景気対策に取り組む考えを示した。「去年のような特別な対策はいらないと考えていたが、この3、4週間の市場の動きを見ると、今年も経済支援を続ける必要がある」

地元報道によると、経済対策の規模は4千億ルーブル(約6千億円)以上になり、週明けにもプーチン大統領に提出される予定だという。

ロシアは原油などの資源が輸出の6割以上を占める。原油安や通貨ルーブルの下落で企業業績が落ち込み、個人消費も低迷している。昨年の新車販売台数は前年比35・7%減と大きく下落し、昨年10月には国内航空2位のトランスアエロが倒産した。企業の給料未払いや人員整理の事例も増えている。

政府はもともと、今年の原油価格を1バレル=50ドルと予想し、景気は回復に向かうと期待していた。

だが、年初から価格は下落し、1バレル=26ドル台をつけた。ルーブルも1ドル=85ルーブルをつけ、98年以降の最安値を更新した。中国経済の減速やイランへの経済制裁の解除などで、当面は原油の供給過剰と原油安が続くとの見方が強まっている。

そのため、政府は今年の原油価格の想定を1バレル=40ドルに引き下げた。経済成長率の予想も0・7%からマイナス0・8%と下方修正し、2年連続の景気後退を見込むこととなった。

政府の歳入に占める原油・ガス部門の比率が約5割に上るため、今年の予算も見直しを進め、歳出を10%程度縮小する見通しだ。

■98年危機の再来懸念

シルアノフ財務相は13日、「財政を見直さなければ、98~99年のような事態が起こる可能性がある」と警告した。98年のロシア危機では、1バレル=10ドルを下回る原油安と財政赤字に加え、アジア通貨危機の影響も受けて、ロシアはルーブル切り下げや対外債務の返済猶予に追い込まれた。

だが、その後に誕生したプーチン政権は徴税を強化。資源価格の上昇を追い風に経済も急速に回復して政権基盤を強固にした。

危機に備えて石油収入の一部を蓄え、準備基金と国民福祉基金を創設。15年末現在で残高は計8兆ルーブル(約12兆円)に上る。対外債務の返済などに必要な外貨準備高も1月時点で3684億ドル(約44兆円)。この蓄えで「まだロシアの信用力への不安は少ない」(アナリスト)との見方が強い。

ただ、原油安で基金の残高が増えない一方、財政赤字の補填(ほてん)など流出は増えている。ロシア中央銀行が昨年12月、このままのペースで使われると19年までに基金が枯渇する恐れがあると警告し、衝撃が広がった。

大統領支持率は依然高いが、賃金支払いを求めるデモではプーチン氏に対応を求める声も目立つ。野党幹部は「さらに景気が悪化して生活が苦しくなれば政権への批判が強まる」とみる。

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