「そろばん上手」

画像の説明 11月17日、ロシア大統領府は、10月末のエジプトでのロシア旅客機の墜落は爆発物によるテロと断定したと発表しました。

ロシア当局が墜落機の残骸を調査した結果、ロシア国外で製造されたとみられる爆発物の痕跡が発見されたことや、残骸が広範囲に落下していることから、上空での爆発があったとしているようです。

これを受けてプーチン大統領は「地球上のどこからでも犯人を見つけ出し、罰する」とし、シリア空爆についても「継続するだけでなく、犯人に罪から逃げられないと理解させるために強化する」とその強化を宣言し、ロシア外務省に対して、犯人捜索のため各国と連携するよう求めました。

ここで興味深いのは、プーチン大統領は、報復だと絨毯爆撃をすると言わんばかりの発言をしていながら、その裏では地味に兵糧攻めをしようとしているという点です。

16日、トルコのアンタルヤで行われていたG20が閉幕しましたけれども、プーチン大統領はその会議の場で、ISILによる原油の販売について、ロシアの偵察衛星が撮影した画像を使って、どのような規模で行われているかを説明したと伝えられています。

G20の場で自国の偵察衛星の情報を開示したというのですから、その本気度が伺えるというものです。各国首脳もそう受け取ったのではないかと思いますね。

ISILの原油販売については1年前のエントリー「シリア空爆でイスラム国は壊滅するか」で取り上げたことがありますけれども、要するにISILは市場価格より安値で石油を打って資金源を得ているわけですね。

しかも、プーチン大統領はG20首脳会議後の記者会見で、ISILに資金提供している国がG20の加盟国を含めて40ヶ国に上るという見方を示しました。もっともどの国だという風に名指しした訳ではありませんけれども、公式の場でここまで言われてしまっては、対象国は気が気でないでしょうね。

なぜなら、プーチン大統領はシリア空爆を躊躇なく行っているからです。もしも、どこかの国がISILから石油を買ったり、資金供給していることがばれようものなら、どんなとばっちりが来るか分かりません。まぁ流石に戦争にはならないにしても「誤爆」という冠がついた、大使館爆撃くらいはやってくるかもしれません。

プーチン大統領ならそれくらいやってもおかしくない、そのように世界から見られていることがポイントなのですね。ここらあたりが、躊躇しまくって中々動かないオバマ大統領と違うところです。

同じ勇ましいことを言っても、オバマ大統領なら口だけだと思われるのに対して、プーチン大統領ならやると思わせてしまう。このイメージの差は大きいです。

つまり、プーチン大統領は「空爆」を見せ金のように使うことで、実際の兵糧攻めの効果を最大限にしようとしている面があると思うのですね。

そして、プーチン大統領の狙いはそれだけではない。恐らく、ISILの石油販売による資金調達のルートを壊滅させることで、ロシアの石油をその代わりに売りつけようとしていると思います。ISILの動向に関わりなく、石油の需要が尽きることはないですから、ISILの石油を潰せば、その分の需要をどこかが満たさないといけない。プーチン大統領はロシアの石油でその肩代わりをしようとしているのだと思いますね。

「空爆」は金が出ていきますけれども、「石油」は売れば逆に金が入ってきますからね。どうせやるなら儲かる方向でやるのが合理的です。

つまりISILを潰すついでに石油を売って儲ける、実にしたたかですね。勿論、見せ金としての「空爆」はやっておかないと脅しになりませんから、おそらくピンポイントかつ効果的に、"派手"にやるのではないかと思いますけれども、その裏にある石油ルートの動向には注目すべきかと思いますね。

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