2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「沖縄の悲劇」
翁長雄志知事は言葉を巧みに操る。4月の菅義偉官房長官との初会談で持ち出した「上から目線」はとりわけ強い印象を残した。
高揚感から本音が口をついて出ることもある。スイスの国連人権理事会での演説から帰国した9月、「安倍(晋三)政権は長くてあと3年だ。来年は参院選もある」と述べた。県OBは「2期目も務めるという権力志向と選挙に勝つことしか頭にない」と指摘する。
発言は虚実ないまぜでもある。今月11日の記者会見で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設阻止を「不動の価値観」と述べたのは明らかな虚偽だ。自民党県連幹事長時代の平成11年、県議会で県内移設を求める決議を可決に導いたからだ。
翁長氏は辺野古移設の計画変更を変節の方便にしているが、普天間飛行場の危険除去という最大の目的こそ不動のはずだ。変節の軌跡は隠しようがなく、県幹部は「移設阻止に対する本気度は疑わしく、言葉も空虚に響く」と漏らす。
会見で質問におびえる表情をみせたこともある。2月、防衛省が辺野古沖でサンゴ礁を傷つけたとして岩礁破砕許可の取り消しを検討していた頃だ。
法令をまったく理解できておらず、回答はしどろもどろで職員に丸投げしてしのぎ、今は顧問弁護士に丸投げしている。これも本気度を疑わせる一因だ。
埋め立て承認の取り消しも大きな穴がある。承認をめぐり一体、だれに、どのような瑕疵(欠陥)があったのかという点を明確にしていないことだ。
選挙を優先するため県益さえ二の次になる。3月に返還された米軍西普天間住宅地区の跡地利用計画策定に待ったをかけたのが最たる例で、来年1月の宜野湾市長選で再選を目指す保守系市長の実績になることを阻むためだ。
宜野湾市長をはじめ知事選で仲井真弘多前知事を支援した首長との関係は疎遠な状態が続く。
県経済界の大勢は様子見を続け、知事選で翁長氏を支援した企業出身者に県の外郭団体トップのポストを分配したことは利益誘導政治そのものと映った。経済政策では何ひとつ翁長色を打ち出していない。
菅氏は「(過去の)政府や県の危険除去の努力を無視」していると批判し、地元銀行幹部は「国と政治闘争を続けていては自立型経済に向けた努力をぶち壊す」と危機感を募らせる。
翁長氏が導く破壊の責任は一体、だれが、どのように取るのだろうか。