「銃殺の連続国」

画像の説明 北朝鮮の金正恩政権の幹部層に政権離脱が広がっている。

脱北幹部の情報は韓国当局で極秘扱いのため、その全体像は不明ながら、「恐怖政治への幹部の動揺は深刻な状態」(韓国紙)とされ、党要人や政府高官、さらに軍将校や秘密警察にまで広がっているという。

北朝鮮筋によると、金正恩氏による“粛清政治”は、北朝鮮の政権幹部に忠誠心どころか責任逃れと保身を定着させたといい、「もはや金正恩体制の指令は配下に届かない状態」(同)。人心離反と腐敗蔓延で、金正恩政権の周辺には不穏な空気が漂っているという。

権力層で「相当数が動揺している」

北朝鮮幹部のなかでも、中堅クラスの離反が始まったとの情報は、今年4月末の玄永哲・人民武力相の粛清の情報が明らかになった以降に特に増えた。

張成沢氏処刑の後、張氏の係累や人脈が監視対象となり粛清されたのと同様に、今回の玄永哲氏粛清でも玄氏に近かった朝鮮人民軍の人物らが立て続いて姿を消したからだ。

そんな中で中堅幹部層に動揺が広がったようだ。「中国や東南アジアなど在外にいる幹部が亡命」「朝鮮人民軍の将校クラスが北朝鮮を脱出」「国家安全保衛部(秘密警察)の幹部が韓国入りか」(いずれも韓国報道)。中堅幹部の離脱・亡命者は数10名にのぼるとされる。彼らの動機は総じて「恐怖からの脱出」のようだ。

しかし、すでに昨年後半から韓国入りした脱北者らが「多くの党幹部が金正恩氏の恐怖政治におびえている」と証言していた。韓国の情報機関、国家情報院は今年5月中旬、韓国国会で、金正恩体制下での約3年余に銃殺された北朝鮮幹部の数を約70人とし、うち約60人が党幹部と報告。

そのうえで幹部層の情勢について、「金正恩氏は幹部に不信感を募らせ、手続きを無視した粛清を強行した。幹部らは金氏への懐疑的な見方を強めているようだ」などと述べている。

一方、北朝鮮内部情勢に詳しい情報筋は「金正日時代、トップの指令は末端まで即座に伝達された。だが、金正恩体制は誰も責任を取りたがらず、指令が途中で滞っている。指令を下におろそうにも、手段も人手もない状態だ。

中堅から下級幹部は特権を利用した商売に忙しくて腐敗不正にまみれている。彼らは生きていくのに精いっぱいだ」と語った。中朝国境情報に詳しい同筋は、北朝鮮からもたらされる金正恩体制下の不安定情報は、昨年の後半から特に増えたと語った。

弱り目にタタリ目、干ばつで飢餓の恐怖、MERSの流入に戦々恐々

一方、北朝鮮は今年、「百年来の干ばつ」に見舞われている。国際機関の調査による「世界飢餓指数報告書」(2014年版)によると、北朝鮮の住民1人当たり一日の穀物供給目標は2014年、573グラムだったが、達成は383グラムで慢性的な食糧不足が続いており、干ばつは昨年来、続いている。

国連人権高等弁務官事務所は6月末、「今後、数カ月の間に食糧支援が行われなければ北朝鮮は激しい飢餓状態になる」と警告、国際社会に支援を要請している。北朝鮮は、イランに緊急支援を求めイラン赤新月社(赤十字)が支援を表明している。この干ばつには韓国や中国も「食糧支援の用意」を表明しているが、北朝鮮は受け入れていない。

また、韓国で広がったMERS(中東呼吸器症候群)流入防止にも戦々恐々となっているようだ。医療施設が劣悪なうえ、医薬品も慢性的に不足しているため、MERSのような感染症が国内に流入すると手がつけられなくなる。このため、6月末から中東勤務の職員や派遣労働者らに帰国を禁止したもようだ。

昨年はエボラ出血熱の流入を恐れ海外から帰国幹部に3週間の隔離措置を取ったが、今年はMERSで、現在、国境や港、空港の検疫を強化している。

平壌空港、少年宮殿など平壌は建設ラッシュで変貌中だが…

権力内部の変化を伝える情報の相次ぐなか、“北朝鮮のショーウインドー”である首都平壌は、都市開発のかけ声のもとで変貌中だ。「軍事優先時代の記念碑的創造物」として改修工事中だった平壌国際空港は、7月1日、新ターミナルが完成、式典が行われた。

ほかにも平壌市内では学生少年宮殿、中央動物園などが改修中。いずれも金正恩氏が年初から市内を現地指導して命じた案件で、党機関誌「労働新聞」はこうした金正恩時代の“力強さ”を「平壌速度」「平壌精神」などと報じている。

「金正恩氏は側近たちとダンスを踊っているが、これから北朝鮮でどういう変化が起きるかは、実は誰にも分からないというのが、いまの情勢だ」と情報筋は述べている。

危ないね・・・

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