「神様のいない国」

画像の説明 中国の人民元紙幣は、未だに毛沢東の肖像画で飾られている。

毛が発動した1960年代の文化大革命の死者は、実数は現在もはっきりしないが、下限で400万人、上限で1000万人とされている。

このほかにも50年代に毛の推進した大躍進政策で、下限で2000万人、上限で5000万人もの餓死者を出した。

つまり毛沢東は、少なくとも2400万人以上(最大で6000万人)の自国民を死に至らしめたことになる。
が、中国共産党(中共)は「毛は誤りもあったが功績の方が大きい」とし、未だに国父として崇めている。
その典型的な例が人民元紙幣の肖像画だ。

なぜ中共は、毛沢東の権威に未だに依存するのか?それは、彼らの歴史が偽造されているからだ。

中共が中国を独裁支配する根拠が二つある。
一つは、中共の指導下で経済が成長し、国民生活が年々豊かになっているということ。もう一つは、中共が日本帝国主義に勝利し、統一中国を再建したということ。要するに、中共なくしては今の中国はありえなかった、と言う論法だ。

が、これは虚構である。
国民生活が以前より豊かになっていることに異論はない。しかし、共産主義の基本的理念である「平等」ははるか遠くにかすんでしまった。
眼の前にあるのは底なしの腐敗だ。
また、日本帝国主義に勝利したのは中共ではない。
勝利したのはアメリカ帝国主義だ。
百歩譲っても、勝者は中国国民党であり中共ではない。
中共(八路軍)は日本軍と国民党軍に挟撃され、逃げ回っていただけではないか。

にもかかわらず、中共は最終的に勝利した。
それは日本の無条件降伏後、満州を占領したソ連軍の強力な支援を得たからだ。
にもかかわらず中共は、自らの独裁支配を正統化するため「中共が日本帝国主義に勝利し、統一中国を再建した」というプロパガンダを譲ろうとはしない。

中共独裁体制は、常に崩壊の危機と背中合わせである。
外にはアメリカ帝国主義と言う超大国がそびえている。
内では格差が絶望的なまでに拡大し、巨額の賄賂をため込んで海外に逃亡する裸官(腐敗官僚)が後を絶たない。
上部構造が共産党独裁で、下部構造が市場経済と言う歪な中共体制は今、軋んでいる。

だから愛国心を煽り、外へと膨張して周辺国との軋轢を引き起こす。
こんな中共にとって、もう信仰に近い毛沢東崇拝は、何ものにも変えがたい強い味方なのである。

確かに毛の下で何千万人も死んだ。
が、農奴状態で、常に戦火に怯え、学問などまったく無縁だった中国の民衆にとって、農奴から解放し、戦火を終息させた毛沢東は未だに英雄であり、建国の父なのだ。

だから中共は永遠に毛沢東に依拠せざるを得ない。
これが数千万人の自国民を殺した毛を、人民元紙幣に飾る理由である。

こんな中共が支配する中国に毅然と対応する安倍総理は、それだけで十分評価に値する。

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