2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
自国メディアも「国のイメージ損なう」と批判
中国人観光客が世界で失う評価 機内での暴力、大げんか、窃盗・・・
中国人観光客が世界で失う評価 機内での暴力、大げんか、窃盗…自国メディアも「国のイメージ損なう」と批判: 腹を立てた中国人乗客に熱湯をかけられ、手で顔を覆う客室乗務員。短文投稿サイト「微博」に投稿されるなどして世界に広がった。
昨年末から今年1月にかけて、またしても中国人観光客の「迷惑行為」が世界を駆け巡った。いずれも航空機内で起きたトラブル。取っ組み合いの大げんかを繰り広げたり、客室乗務員にお湯をかけたり。一連の事態に中国国民からも「恥辱だ」との声があがる一方、政府当局も対策に乗り出した。
韓国を笑えぬ“カップ・リターン”…裕福な「野蛮人」が失う評価
中国の国営英字紙のチャイナ・デーリーや新京報(いずれも電子版)などによると、事件は昨年12月11日、タイ・バンコクのドンムアン空港発南京行のエアアジア便の機内で起きた。
まず4人組の乗客が席が離れていることに腹を立てた。さらに、このうちの女性客の1人が離陸後、1人の女性客が客室乗務員に対し、カップ麺(めん)と熱湯を要求。乗務員は安全性を理由にいったんは断ったものの、結局、用意した。だが、用意されるスピードや支払いでもめ、4人のうちの男性客が、客室乗務員に「機体を爆破してやる」などと脅迫。女性客はカップ麺をぶちまけ、熱湯を乗務員にかけた。さらに機内から降りると騒いだという。
この影響で同便はバンコクにUターンしたが、他の乗客がこれらの様子を撮った動画や写真がさまざまな投稿サイトに掲載され、世界に広がった。
中国の国家観光局は、当該の4人を厳しく処罰するとし、旅行客のブラックリストに掲載するという声明を公表。米CNNや英デーリー・メールなど各国メディアも相次いで報道した。
4人に対しては、タイ当局が、客室乗務員に5万バーツ(約18万円)の賠償金支払いを命じ、熱湯をかけた女性客には別に200バーツ(約720円)の罰金を科した。チャイナ・デーリーは4人を「野蛮人」と非難した上でこう指摘している。
「4人は裕福で罰金を気にすることはないかもしれないが、どんなにお金を積んでも(中国人全体の)失われた評判を取り戻すことはできない」
非常口を開け、取っ組み合いの大げんかも…
機内のトラブルは今年に入っても起きた。国営新華社通信やバングラニュース24(電子版)などによると、中国・雲南省昆明の空港で1月10日、離陸しようと動き始めた中国東方航空の機内で、乗客25人が騒ぎ始め、非常口を開けた。離陸を取りやめた。
同機はバングラデシュのダッカから昆明経由で北京に向かう予定だったが、降雪の影響で出発が大幅に遅れていたという。乗客の一部が体調不良になり、乗務員と25人が口論となった末に、乗客が非常口を開けるに至ったという。
また、昨年12月17日には、中国・重慶発香港行きの中国国際航空の機内で、乗客数人が取っ組み合いの大げんかを演じた。
新京報などによると、同日午前9時ごろ、前後に座った2人の女性客同士が、子供たちが騒ぐ姿に「うるさい」などと言い合い、口論になった。それが次第にエスカレートし、家族同士で相手の髪を引っ張ったり、頬(ほお)を平手打ちしたり。
客室乗務員が止めに入ったが、全員が聞き入れなかった。結局、この便は重慶に引き返す寸前に。結局、同10時50分すぎに香港到着後に、警察が事情聴取する事態となった。
救命胴衣好きの中国人観光客たち
もっとも、中国人観光客の機内でのマナーの悪さはこれが初めてではない。
チャイナ・デーリーによると、14年10月には上海発ロサンゼルス行きの便でビジネスクラスに座った女性が救命胴衣を盗もうとした。女性は「ビジネスクラスなのになぜだめなのか」と乗務員に食ってかかった。
中国人観光客は救命胴衣になぜかご執心で、13年の上海デイリーによると、春秋航空の広州-上海便で盗もうとした乗客がいたほか、中国東方航空は毎年、6千もの救命胴衣が盗まれるという。
このほか、機内で排便し始めた子供がいて、それをやり過ごそうとした親がいたり…。とにかくやりたい放題だ。
これらに対し、政府当局は「礼儀正しい旅行の案内」と題したハンドブックを作成し、具体的な注意事項を記した。例えば、痰(たん)やガムのポイ捨てを禁じ、ホテルの備品を壊すことを諫(いさ)め、至る所で大小便をしたり、鼻くそをほじったりしないことなどを列挙している。
まるで、しつけの悪い子供のようだ。
「礼儀が正しくない」行為の数々
中国人と観光をめぐっては、エジプト・ルクソール神殿の壁に「参上」などと落書きしたり、仏ルーブル美術館の前の池で足を洗ったりと、観光地での非常識な行為は枚挙にいとまがない。
日本でも、例えば、大阪のメーン通りの御堂筋で子供に堂々と排尿させる中国人の親がいるという。
チャイナ・デーリーによると、中国人観光客は1年間に9800万回(2013年)も海外旅行をし、14年にはそれが1億回を超えるとされている。日本にも昨年、年間に200万人以上の中国人観光客が訪れている。「非常識な中国人観光客」が一握りの人だとして、それが例えば1千人に1人の割合だとしたところで、不届き者は計算上2千人以上もいることになる。
チャイナ・デーリーは、「手に負えない振る舞いが、国のイメージも損なっていることを覚えておくべきだ」と指摘している。