津波情報を迅速にキャッチせよ!

画像の説明  30キロ沖合から衛星通信、日立造船が新システム開発

津波情報を迅速にキャッチせよ! 30キロ沖合から衛星通信、日立造船が新システム開発: 日立造船が和歌山県田辺市の沖合30キロに設置しているGPS海洋ブイ(同社提供)© 産経新聞 提供 日立造船が和歌山県田辺市の沖合30キロに設置しているGPS海洋ブイ

GPS(衛星利用測位システム)を使った津波観測で、従来の1・5倍遠い沖合に設置した海洋ブイで感知したデータを送受信できるシステムを日立造船が開発したことが18日、分かった。また現在は陸上では有線を経由するため被災で通信が途絶える心配があるが、新システムはすべて無線で送受信可能。津波の早期発見と警報への活用が期待され、同社は実用化に向け実験や検証を重ねる。19日から専用ウェブサイトで計測データも公開する。

現在のGPS海洋ブイは平成16年に日立造船が開発。18年に国土交通省が導入し、現在日本近海に配備されている。ブイ側ではGPS衛星と陸上にある全国17カ所の「基準局」と呼ばれる設備と交信しながら海面の位置を算出。データはいったん基準局に無線で送られた後、有線で気象庁に送られる。データは救出活動開始のタイミングをはかる指標にもなるものだ。

現在は沖合20キロがブイを設置する限界だが、日立造船が開発した新システムでは30キロまで範囲が拡大。同社は昨年から和歌山県田辺市沖で実証実験を行い、基本的に問題なくデータを送受信できることが確認できたという。津波の発生地点の海底の地形や深度などで一概に言えないものの、津波のより早期の発見と警報・避難につながりそうだ。

また、陸上でも有線を経由せず通信衛星でデータの送受信が技術的には可能だ。23年の東日本大震災では、岩手県釜石市沖の海洋ブイが観測した津波データの送信が地上の有線回線で地震により遮断され、気象庁に届かないトラブルが起きたが、新システムではそうした問題点を解消できる可能性も高いという。

日立造船は今年3月まで実験を続け、送受信の精度やシステムが安定的に機能するかなどを確かめる。

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