欧州中銀、初の量的緩和か

画像の説明 「失われた10年」阻止へ―近く可否判断、正念場に

欧州中央銀行(ECB)は近く、設立以来初めてとなる量的緩和策導入の可否を判断する。ユーロ圏諸国の物価低迷と景気停滞に歯止めをかけ、日本が経験したような「失われた10年」を回避するため、各国の国債を大量に購入する案などが浮上している。しかし、一国一通貨の国にはない、ユーロ圏特有の問題に懸念の声も上がる。ECBの政策運営は正念場を迎えている。

ユーロ圏の消費者物価上昇率(インフレ率)は1%を下回る状態が1年以上続いており、2014年11月には0.3%と約5年ぶりの水準に低下。原油安の追い打ちで、15年序盤にはマイナスに陥るとの予想も聞かれる。

ドラギECB総裁は14年12月の理事会後に「15年の早期に金融政策を見直す」と明言した。国債購入を通じて市場に出回る資金を増やす量的緩和策が最有力で、規模は他の金融政策と合わせて総額1兆ユーロ(約146兆円)程度となる見通しだ。15年1月もしくは3月の理事会で決断される可能性がある。

ただ、日本や米国など量的緩和策導入済みの国と違うのは、ECBが買い入れた一国の国債がデフォルト(債務不履行)となった場合、他の加盟国がECBを通じ損失を被る恐れがある点。これは欧州連合(EU)条約で禁じる加盟国間での債務肩代わりに抵触するとして、ECB内でも異論がある。

また、加盟国間の公平性を期すため、どの国の国債をどれだけ買うかも問題だ。各国の経済規模に応じた額を買う案が有力だが、この場合は既に利回りが低いドイツ国債を最も多く買うことになり、景気浮揚や物価押し上げを狙った量的緩和策の効果が限られる可能性がある。 

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