米で批判の声

画像の説明 米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は17日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記の暗殺を描いたコメディー映画について、劇場の公開を中止すると発表した。

映画館へのテロ攻撃の脅迫を受けた措置だが、「表現の自由がテロに屈した危険な前例になる」と批判の声が上がるなど波紋が広がっている。

問題の映画は「The Interview」。当初は25日に全米公開される予定だったが、北朝鮮との関連が指摘されているハッカー集団が16日、映画館を狙ってテロ攻撃をするとの脅迫をネットに公開。SPEはいったん上映を劇場の判断に委ねるとしたが、中止を決める劇場が相次ぎ、公開自体のとりやめに追い込まれた。

SPEの決定は波紋を広げている。

この映画の出演俳優と親しい映画監督のジャド・アパトー氏はツイッターで「どんな映画でも、匿名の脅迫があれば引っ込めるのか」と苦言。ロサンゼルス・タイムズの取材に「我々のコミュニティーは、表現の自由に基づいている。誰かがネット上に何か投稿するたびに自ら抑圧するのか。暗い将来だ」と語った。

ニューヨーク・デイリーニューズは社説で「9・11(の同時多発テロ)以来初めて、米国はテロリストに勝利を許した」と述べ、ソニーが映画をネット上で無料公開すべきだ、と呼びかけた。SPEは17日、「我々は映画制作者と、その表現の自由の権利を支持しており、こうした結果になったことは非常に残念だ」との声明を出した。

■ソニー側、事前に修正 現地報道

一方、流出したSPEの社内メールから、ソニー幹部がサイバー攻撃に遭う前から、映画の内容に懸念を持ち、内容を修正していたことが明らかになった。

米ウォールストリート・ジャーナルなどによると、映画の終盤で金正恩氏の頭部が爆破されるシーンがあったが、この部分について、ソニーの平井一夫社長がSPE幹部へのメールで「火がついた髪や骸骨の描写をなくす」といった細部の修正を指示。SPE幹部は監督に対し「25年間、ソニー本社が制作に介入したことはなかった」と、異例の措置として修正に応じるように求めていた。監督は一部の修正に応じ、SPE幹部は「顔が溶ける描写がなくなり、髪の毛の火も小さくなって、頭の爆発も見えにくくなった」と平井社長に報告。平井社長はさらに、米国外ではこのシーンを削ることを求めたとしている。

ソニー広報は平井社長のものとされるメールについて「コメントは控える」としている。

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