成長率4期連続0%台でも権力争いに没頭する大統領府

画像の説明 今年の7-9月期の物価上昇分を差し引いた実質的な国民総所得(GNI)が、前期比でわずか0.3%のプラスにとどまった。

これは国民の財布の事情が一層苦しくなり、同時に体感の景気も悪化したことを意味している。国内総生産(GDP)も前期比わずか0.9%増で、4期連続の0%台だった。

来年の展望はもっと暗い。10月以降、国内の生産、消費、投資などあらゆる指標にはブレーキがかかっており、経済が文字通り危険水域に入ったことを示している。また商品を生産しても売れないため、10月の製造業の在庫は1年前に比べて3.2%増えた。在庫が積み上がれば当然、景気の回復が遅れるリスクが高まる。

チェ・ギョンファン経済副首相率いる政府の経済政策チームが発足して以降、一時は復活の兆しが見えたかに思われた不動産市場も、同じように再び落ち込んでいる。ソウル市内のマンション取引件数は10月の1万800件から11月は8400件へと20%以上も減少した。

国民の間では景気回復への期待などすでに消え去り、逆に景気の悪化に対する不安が急速に広まっている。それを裏付けるかのように、11月の消費者心理指数は103にまで落ち込んだ。これは旅客船「セウォル号」沈没事故の衝撃で消費心理が冷え込んだ今年5月の105をも下回っている。消費に対する国民のマインドが悪化すれば、来年の経済見通しは一層不透明にならざるを得ない。

このように韓国経済のさまざまな分野で警告とも受け取るべき指標が同時に出始めているが、今国内にこれを解決するリーダーシップが見られないことはもっと心配だ。今政界の関心は大統領とその周辺での権力争いに集中している。「影の実力者」や「大統領府の権力3人組」などの言葉に示されるように、最近のニュースでは大統領を取り巻く人物たちによる激しい誹謗(ひぼう)中傷合戦ばかりが報じられている。このままでは国全体が大統領周辺のスキャンダルに巻き込まれ、混乱が一層加重する悪夢が現実のものとなってしまうだろう。

政権政党である与党セヌリ党は、2日に来年度予算案が可決されてからは事実上の開店休業状態で、大統領府周辺の疑惑をただ傍観するばかりだ。一方の野党は、この問題を権力による不正として本格的に追及する構えだ。そうなると国会では公務員年金改革や不動産関連法案など、今喫緊の課題となっている経済活性化法案を必要な時に成立させられるか不透明な状況になるだろう。

今のように経済の不安が広まる中で、政治のリーダーシップまでが失われてしまうと、国全体が大きな危機に直面するのは避けられないが、この混乱を収拾できるのは結局大統領しかいない。権力争いに関係したとか、あるいは今回の問題で正常な業務が難しくなった大統領府の秘書官や参謀たちは一日も早く整理し、その上で大統領府と政府を再び立て直すことで新たな体制を整えることが最優先の課題だ。

それにはまず、国会と野党に対して大統領周辺での権力争いの真相解明を約束し、それによって経済の活性化に向けた党の枠を超えた取り組みを要請していかなければならないだろう。

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