知られざる警察の実態

画像の説明 中国や東南アジアの一部の国では交通違反をおかしても警官に賄賂を渡せば見逃してもらえる、という話はよく聞きます。

アメリカでも警官の不祥事は珍しいことではないようです。それに比べれば日本の警官はほとんどの人が真面目だし、任務を忠実に遂行しているように見えます。私たちが普段、接している交番のお巡りさんは親切で優しい人がほとんどではないでしょうか? しかし、警察というのは巨大な組織です。その組織の中枢にいるエリートたちの姿は私たちには見えません。

警察OBがパチンコ関連企業に天下りしている、という話を知っている人はかなり増えました。しかし警察OBが天下りしているのはパチンコ関連会社だけではありません。一般企業にも天下りしています。

OBが天下りしている会社がもし犯罪的行為をしても、警察の捜査はどうしても身内的な意識が働いて甘くなりがちです。パチンコという違法賭博がいつまで経っても廃止されないことと警察OBの天下りは無縁ではないと思います。最近、話題になることの多い「暴力団排除条例」も、本当の狙いは暴力団を取り締まることではなく、「暴力団対策」と称して警察OBをあらゆる業種に天下りさせることではないでしょうか?

警察が裏金作りに励んでいる、ということも事実のようです。裏金はプールされて幹部のヤミ手当てや遊興費に使われているようです。

つまり末端の警官一人一人は真面目でも、巨大な組織を維持していこうとすればさまざまな腐敗が生れるわけで、それは当然のことかも知れません。警察のあり方は私たちの生活とかなり密接に関わっているので無関心ではいられません。

というわけで、決して報道されることのない警察の実態を描いた本を読んでみました。『本当にワルいのは警察―国家権力の知られざる裏の顔』(宝島新書・667円)です。著者はフリーのジャーナリスト、寺澤有さんです。

寺澤さんはフリーのジャーナリスト、という立場上、さまざまな取材の過程で警察と関わっています。そのご自身の経験を絡めながら警察という組織の腐敗、堕落ぶりを鋭く批判しています。取材の裏話だけに記述が具体的で分かりやすく、読みやすかったです。

警察は国家権力ですから私たち国民にとって、時には怖い存在ですが、治安を守ってくれる頼もしい存在でもあります。過度に恐れるのではなく、警察の実態を知ってうまくつきあって行ければ良いのではないでしょうか? そのために是非、読んでおきたい一冊だと思います。

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