カネの行方、

画像の説明 不透明 組織対策費などに計17億円 議員個人に記載義務なし

「政策活動費」や「組織対策費」は支出先が議員個人のため、使途がわからない

政治団体ではなく、政治家本人に支払われるため、その後の使い道がわからない「組織対策費(組対費)」や「政策活動費」などが、再び増えている。28日に公表された2013年の政治資金収支報告書を朝日新聞が分析した。「不透明」との批判が絶えない。

「政治とカネ」の問題が絶えないため、政治家の資金管理団体などの政治団体は、金をどう集め、どう使ったかを収支報告書に記載するよう義務づけられている。だが、政治家個人が政治資金を受け取るケースでは、そうした義務がない。

各党が13年に議員個人に出した組対費などの政治資金は、前年比で自民党が約3割、民主党は約8割増え、維新の党は新たに支出を始めた。支出している政党の総額は12年より約5億円増の約17億7千万円だった。

自民は最多の計約12億9千万円を、14人の議員個人に支出した。うち8割の約10億2700万円を当時幹事長の石破茂・地方創生相が占めた。他に高村正彦副総裁や河村建夫氏らに約1千万~4千万円ずつ支払った。

民主は財務委員長の小川敏夫参院議員1人に計2億5100万円を支出。維新は「日本維新の会国会議員団本部」から、議員団の幹事長だった松野頼久氏ら5人に計約1億6500万円を支出した。

生活の党は5300万円、新党改革は計500万円、解党した国民新党は500万円を支出。共産党は参院選の候補者12人に計180万円を支払った。

主要政党は長年、組対費などの名目で、幹部議員らに多くの支出を重ねてきた。自民党は「党の代わりに党勢拡大や政策立案、調査研究を行うため、役職者に支給している」と説明。自民党も経験した民主党の元幹部は「党から役員に配り、役員は『餅代(もちだい)』として派閥内や選挙で必要な所に配る。必要なカネだ」。

民主党では10年、岡田克也氏が幹事長就任時に「数億円にわたる領収書がない使い道は避けるべきだ」と組対費の廃止を表明。11年に支出は無くなったが、翌年復活した。自民党も10年に減少に転じたが、再び増え始めている。

■江渡氏、13年分も訂正 政治団体からの「寄付」

議員の関係政治団体から議員個人への支出もある。

江渡聡徳(あきのり)防衛相が代表の自民党青森県第2選挙区支部は江渡氏個人に対し、09年に300万円、10年に250万円、11年に350万円、12年に200万円、13年に275万円(09年と12年は選挙関係費を除く)を「寄付」した。江渡氏の資金管理団体「聡友会」からも「組織対策費」として09年に30万円、10年に400万円が江渡氏に渡った。

使途は不明だが、江渡氏は党支部の寄付について国会で「党の政策広報とか、政策実現の活動費として使っている。法にのっとって活用している」と答えた。

「聡友会」をめぐっては、09年と12年に4回にわたり計350万円を江渡氏に「寄付」したと収支報告書に記載していたが、後に聡友会の職員らの人件費に充てたと訂正。13年分の聡友会の収支報告書にも当初、江渡氏に200万円を寄付したと記載したが、人件費に訂正された。政治資金規正法では私的に使われぬよう、政党や支部以外の政治団体は「選挙運動に関するもの」以外、国会議員にお金を寄付できない。

江渡氏は朝日新聞の取材に、13年分の訂正は「元秘書への退職金として払ったが、事務的ミスで寄付金としていた」と答えた。

亀井静香前衆院議員(無所属)の資金管理団体「亀井静香後援会」は11~13年、「活動費」計1484万7千円を亀井氏本人に支出している。亀井氏の事務所は朝日新聞の取材に対し、「ご祝儀や不祝儀のほか、本人および事務所従事者の移動費などで領収証のなかった金額を毎月まとめて亀井氏の名前で領収証を書いた」と書面で回答。「先方が一般人の場合、領収証を頂いたり、名前を公表したりすることに躊躇(ちゅうちょ)を禁じ得ない」としている。

今月21日の解散時点で現職だった衆参両院議員について関連政治団体の11~13年分の収支報告書を分析。選挙運動に関する寄付以外で少なくとも議員13人に総額4千万円が支出されていた。うち自民党議員は9人、旧みんなの党が2人、民主党と無所属が各1人だった。

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