建設会社、発覚恐れ書類を改ざん

画像の説明 トンネルの要「ロックボルト」、

設計の3割しかない区間も

道路公社と施工監理業者は資材の搬入数さえ確認せず

トンネルの要「ロックボルト」、設計の3割しかない区間も
ロックボルトは直径2.5センチ、長さ3-5メートルの建築資材で、工事現場でよく見かける鉄筋に似ている。4メートルのものは1本1万7000ウォン(約1700円)、5メートルのものは1本2万1000ウォン(約2100円)程度で売買されているという。

この資材はトンネルの安全性に直結している。ソウル大建設環境工学部のアン・ゴンヒョク教授は「ロックボルトは装飾のための資材ではなく構造材(骨組みになる部材)のため、建築物の安全に最も重要だ。ロックボルトを設計よりも少なく施工すれば、大惨事が起こりかねない」と警告している。

高速道路のトンネル工事でこのロックボルトを設計よりも数千本から数万本ずつ少なく使用し、多額の工事代金を詐取した建設会社12社の社員が一斉に摘発された。捜査は2月に国民権益委員会が情報提供を受け、検察に依頼したものだ。

検察の調べによると、2009年10月から11年1月まで、高速道路の注文津-束草第5工区の現場所長を務めていたクサン土建の社員(47)は、設計上で1万8350本施工することになっていたロックボルトを実際には32%の5930本しか施工しなかった。1万2420本を施工しなかったにもかかわらず、設計通りの本数で発注者の韓国道路公社に工事代金を請求し、国民の税金8億3681万ウォン(約8400万円)を詐取した。

検察の捜査と道路公社の独自点検が始まるや、建設会社は書類の改ざん・偽造に勤しむようになった。東部建設が施工した東洪川-襄陽第11工区の現場所長(48)は今年6月、ロックボルト8390本を施工していないことが発覚しそうになると、納品業者が作成した取引明細表10枚と税金計算書10枚を改ざんし、道路公社に提出した。

また、東洪川-襄陽第6工区を施工した大宇建設の現場所長(50)も、ロックボルトを1万4322本少なく施工したことを隠すため、7月に「主要資材検査台帳」を偽造した。4月の旅客船セウォル号沈没事故を受け、安全に対する社会の関心が高まったにもかかわらず、建設会社はこうした書類改ざんを続けていたことになる。

検察が道路公社と共同で調査した121のトンネルは、2010年以降に道路公社が発注し、着工されたものだ。限定的な調査だったが、ずさんな工事をして工事代金を過大請求した業者は施工会社22社、下請け業者49社の計71社に上ることが明らかになった。複数の建設会社が手抜き工事でトンネル1カ所当たり1億ウォン(約1000万円)から8億ウォン(約8000万円)、総額187億ウォン(約18億8000万円)を不当に手に入れた。

今回の調査で、韓国国内の多くのトンネルも安全だとは言いきれないことが露呈した。最近のトンネル工事の多くで、摘発された建設会社が使っていたのと同じ「NATM(ナトム)」と呼ばれる工法が用いられているためだ。検察の関係者は「ずさんな工事が発覚した高速道路だけでなく、高速鉄道、国道、地方道などのトンネル工事でもNATM工法が多く用いられた」と話している。

ロックボルトなどの資材の搬入数や品質を検査し、現場を管理・監督すべき道路公社と施工監理業者が、その役割を全く果たしていなかったことも明らかになった。検査そのものをしなかったり、取引明細表などの書類だけを確認して搬入数さえ把握していなかったりするケースもあった。

それにもかかわらず、道路公社と施工監理業者の関係者は全く処罰を受けない。建設技術管理法にのっとり、監理をおろそかにしても賄賂(わいろ)を受け取っていない限りは刑事処分されず、罰点だけを賦課されるためだ。検察の関係者は「管理・監督を怠った人が刑事処分されるよう、処罰条項を強化する必要がある」と話している。

一方、道路公社は、ロックボルトが少なく設置されていることが発覚した工区で精密安全診断を実施し、問題が見つかれば再施工するか補強工事を行うとしている。

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