深刻な実家整理問題、

画像の説明 激増する老朽化マンション…どう解決?超高層型は廃墟化の恐れ-

「親が残した荷物の整理から実家の相続、売却まで。放置された実家は空き家として地域にも影響を与える。個人も社会も、実家問題に向き合う時だ」と、放置される実家問題にスポットを当てている。

夏休みに久しぶりに帰省して、実家にまたモノが増えている現実を前に、身につまされる読者も多いはずだ。100円ショップやインターネット通信販売、テレビショッピングで購入したモノの山を処分するのは、将来の自分たちだ。

『きっかけを逃さない 親とのコミュニケーション術』では、早い段階で親とのコミュニケーションを図り、整理整頓させていくことが大事だという。

「親世代には日用品のストックがないと不安でたまらなくなる人も多いもの。さらに『もったいない』という意識が強いのも親世代の特徴で、まだ使える物を捨てることに強い抵抗を示す」ため、「捨てろ」という言葉は禁句。

まずは、「地震が起きたら危ない」「つまずいたら危ない」と、安全のためを理由に説得する。また、孫が遊びやすくなるというメリットを強調し、親に自ら片づけをしたくなるように誘導。

親が「まだ使えるから」「頂き物だから」などと捨てるのを渋った時には、納戸などのスペースを一時保管場所として用意し、判断を留保することも一方法だという。「捨てずに、あそこにちゃんと取ってある」ということが、親世代にとっては大きな安心感なのだ。

●老朽マンションの困難な立て替え
今回の同誌の中で、多くのビジネスパーソンが知っておきたい情報は、老朽不動産、なかでも老朽マンション問題だ。

『老朽マンション「解散」時代』によれば、日本の分譲マンション供給は1950年代から始まり、ストック数は約600万戸に達する。しかし建て替え実績は2013年4月時点でわずかに183件、約1万4000戸にすぎないのだ。64年の東京オリンピック開催前の建築ブームのさなかに建てられた分譲マンションは、建て替えを検討すべき時期になっている。

東京・信濃町駅近くにある築53年の分譲マンションSは住民も高齢化。「総戸数28のうち、区分所有者本人が暮らしている住戸は10のみ。半分近くが賃貸や事務所に使われ、空室も6戸あった」という。

さらに、この分譲マンションSは「現行の建築基準法に適合しない『既存不適格』と呼ばれる建物だった。建て替えれば容積率を1割以上減らす必要がある。建て替え費用を自己負担するだけでなく、建て替えた後の専有面積も狭くなる。過去に成功したことがないケースだった」。

負担の重い建て替えに応じる住民は少なかったが「きっかけは11年3月の東日本大震災。さすがに住民全員が首都圏で地震が起きたら危険だと認識し、建て替えを決議した」。

延べ床面積は1割縮小、1戸当たり1500万~2500万円の建て替え費用を負担、それに合意しない場合は持ち分を事業協力者(建て替え業者)に売却して出ていくというスキームで、住み続ける選択をしたのは13人。「大半は地元に愛着のある元居住者だ。専有面積は以前の約半分になることもあるが、それでもこの立地で物件を新規購入することを考えれば、割安と判断できる。一方で賃貸に出していた所有者は建て替え期間中は賃料収入がなくなるので、持ち分を売却して出ていくのが合理的な判断になる」という。

今年6月に成立(12月施行)した改正マンション建て替え円滑化法では、耐震性不足のマンションを対象に、区分所有者の5分の4以上の賛成でマンション敷地を一括売却できる制度が創設された。これまでは全員の同意が必要だったが、要件が緩和されたことで売却、解散が現実的な選択肢となってきた。

ただし、これは解体費用を敷地売却資金でまかなうことになるため、地価が安い地方都市では、解体費用が捻出できないケースも出てくるのではないかと懸念する。

「建て替え・解体時期が迫っているマンションは30年の長期修繕計画の期間を過ぎ、計画に合わせて徴収してきた長期修繕積立金が底を突いているところも多い。『マンション解散』に備えて、解体費用をどう積み立てておくのか。木造戸建て以上に、マンションの空室問題は深刻な社会問題になる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

●マンション、廃墟化する恐れも?
また特集記事『実は危ないタワーマンション』では、アベノミクスや相続増税の追い風もあり、売れ行き好調な超高層マンションだが、最大の難関は築30年過ぎに訪れる2回目の大規模修繕工事だという。

「この時には外壁工事だけでなく、エレベーターや給排水システムなどの設備を交換する必要が出てくる可能性がある。どこの超高層マンションも実施した経験がないので、実際にいくら費用がかかるかわからない」

人口減少が進む中で、マンションは廃墟化する恐れもある。

今後は建て替え適齢期を迎えるマンションが年5~10万戸ペースで増えていく。総務省が5年おきに公表する「住宅・土地統計調査」によると、13年の日本の空き家は約820万戸、総住宅に占める割合は13.5%と、いずれも過去最高を記録している。

こうした特集を読むと、いつ直下型地震がくるかわからない現在、ますます分譲より賃貸がいいのではないかという気持ちになってくる。

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