「地上の楽園」

画像の説明 日本人妻ら「地上の楽園」で監視下に 政治犯収容所送りも

「『地上の楽園』との宣伝にだまされて行った彼女たちも被害者といえる」。北朝鮮に渡った在日朝鮮人や日本人妻の人権問題に取り組む団体の代表を務める山田文明・大阪経済大准教授はこう指摘する。

「北の港に着く前に、船からボロをまとった人たちを見た瞬間、来たのは間違いだったと後悔した」と振り返るのは、その後、脱北し、日本に帰国した70代の日本人妻だ。

日本人妻らは、監視態勢下に置かれ、脱北者らによると、「資本主義思想を流布した」と言い掛かりを付けられ、政治犯収容所に送られた人も少なくなかった。

「日本に帰りたい」と漏らしただけで収容されたケースもあったという。

平成9~12年に3回、里帰り事業が実施され、計43人が一時帰国したが、体制に忠誠を誓う人だけが選ばれた。実施半年前から平壌に集められて徹底教育され、北朝鮮に戻った後も日本での行動を審査された。

家族の反対を押し切って北朝鮮に渡り、日本の親族と絶縁している日本人妻も多い。一方、脱北し、日本で暮らす人も数人いる。ただ、生活保護を除き、受け入れ態勢と呼べるものはない。帰国したものの、再び北に戻る人さえ現れた。

北朝鮮の民族登録では、日本国籍保持者は一般に「日本」に区分けされるが、子供をはじめ朝鮮籍扱いになるケースもかなりあると想定される。北朝鮮が今回どこまで調査範囲とするかも不透明だ。

山田氏は「日本側には現状のデータがなく、この人を帰せとは言えない」と北朝鮮の主導で進む調査を危ぶむ。

「都合のいい調査結果を開示し、見返りを求めてくるだろうが、横田めぐみさんら拉致被害者全員の帰国なしには譲歩すべきではない」と訴えている。

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