「仮想通貨支配」

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中国大崩壊へ。安易な「仮想通貨支配」が失敗に終わる当然の理

今年10月末、仮想通貨技術を中国がリードすると発言し、「仮想通貨の父」とまで呼ばれ始めた習近平国家主席でしたが、1ヶ月も経たないうちに取り締まりに転じ、中国国内で混乱が生じています。

● 中国の仮想通貨交換業者に早くも影響、最近の業界取り締まりで

中国政府は、仮想通貨の取締りを強化しており、最近、国内の仮想通貨交換業者の少なくとも5つが、営業を停止したか、国内利用者へのサービス提供をやめると発表したそうです。

中国の取締り強化によって、処分対象となる可能性が噂されていた仮想通貨取引所のIDAX Globalは、11月24日に中国国内でのサービス停止を発表しましたが、それ以来、同社のCEOが失踪して連絡がとれなくなっているという報道もあります。

● 中国撤退発表から5日、仮想通貨取引所CEOが失踪 顧客資産引き出せず
中国は2年前の2017年9月にも、国内での仮想通貨への投機熱が高まり、またマネーロンダリングや海外への資金移動の手段にもなりうることに危機感を抱いた中国当局は、仮想通貨の発行による資金調達を禁止し、取引所を次々と閉鎖に追い込みました。

● 中国「仮想通貨資金調達禁止」のインパクト
中国では、汚職役人が多額の資金を海外へ持ち出すとともに、習近平政権の独裁政治を嫌った富裕層が中国から海外へ逃げる動きや、転売目的の爆買いなどが横行し、中国の外貨準備高が急減したと言われ、ここ数年、中国政府は中国人1人あたりが海外に持ち出せる外貨を年間5万ドルに制限していました。

しかし、仮想通貨では簡単に国境を超えて海外での取引が可能になってしまうため、中国政府はこれを禁止したわけです。
しかし、今年10月末、習近平が仮想通貨の中心的な技術である「ブロックチェーン」の開発を、中国がリードするといった発言を行ったことで、仮想通貨市場が急騰しました。

最近、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」が話題になりましたが、習近平は、デジタル通貨をつくり、それを世界に広げようという魂胆があるのかもしれません。なにしろ、中国は2017年にIMFのSDR(特別引出権)構成通貨になったことで、国際通貨の仲間入りしましたが、現在でも世界での人民元の決済は2%にも満たない状況です。
デジタル通貨を発行し、仮想通貨での覇権を握ろうとしているとも噂されています。

● 「デジタル人民元」中国の野望 ブロックチェーンで監視
習近平の発言で、中国の投資家たちは仮想通貨が解禁されたと大喜びし、ビットコインが急騰、習近平は中国で「仮想通貨の父」とまで呼ばれ、検索サイトでは「ブロックチェーン」を意味する中国語区「区块鍵」が検索キーワード1位になるなど、にわかに仮想通貨市場が活気づきました。

● ビットコイン急騰の背景に中国あり 習近平主席、いまや「仮想通貨の父」と呼ばれる存在に(ひろぴー)
ところがその大騒ぎもつかの間、中国政府はわずか1カ月足らずで仮想通貨を取り締まる動きに転じたわけです。

もともと中国では、共産党がすべてを指導・支配し、絶対無謬であるため、なんでも自分たちの思い通りに操作できると過信しています。ところが、いざ蓋を開けてみると、思い通りにいかず、慌てて禁止したり隠蔽したりするといったことが多いのです。

最近も、中国IT企業のテンセントが開発中のAIサービスを公開したところ、学習したAIは「中国共産党は腐敗ばかりで無能」「中国の夢は米国への移住」と共産党批判を展開しはじめたため、IT企業が急遽サービスを停止するということがありました。

● 「共産党は無能」「中国の夢は米国への移住」正直なAIが反乱? 対話プログラムで批判展開、中国IT企業が急遽サービス停止
香港にしても、共産党の力で香港人を牛耳れると思ったのでしょうが、まったく思惑とは逆の結果になってしまいました。先に行われた香港の区議会選挙にしても、中国共産党は親中派が勝つと確信していたといいますが、結果は正反対のものとなりました。

そもそも、習近平政権が誕生してからは、日本には安倍政権、台湾には蔡英文政権、そしてアメリカにはトランプ政権という、対中国姿勢の厳しい政権ばかりが成立しています。

結局、仮想通貨にしても思い通りに操れると思っていたのでしょうが、国内市場が過熱して、自分たちが仮想通貨をつくるまえに市場崩壊が起こることを懸念したのかもしれません。

株式市場にしても、中国政府は自分たちでうまく操れると思っていたところ、2015年に大暴落が起こり、先物取引や株を売ること自体を禁止するといった、およそ株式市場にはふさわしくない命令を出したことで、すっかり廃れてしまいました。共産党が恣意的に相場を操作するとなれば、投資家にとってあまりにもリスクが大きすぎます。

現在の米中貿易戦争にしても、中国は自分勝手なルールで、自由市場を乱してきたことが一因となっています。鉄鋼がいい例ですが、中国政府の補助金で成り立っている国有企業に過剰生産させて国際市場の価格を下落させてシェアを奪う、国有企業によって海外企業を買収し他国の技術を奪うといったことを続けてきました。

しかし前述したように、なんでも思い通りに操れると慢心した中国が、いずれ失敗して、思惑とは逆の結果になるというのが歴史法則です。そもそも中国共産党は絶対無謬の存在である必要があるわけですから、過ちを認めて、失敗から学ぶことができないのです。

そんな中国が、最新技術を自分たちの思い通りに使って市場を操ろうとしても、絶対に悲劇的な失敗になることは目に見えています。

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