「習近平国家主席の国賓来日に反対」

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「習近平国家主席の国賓来日に反対」遂に声を上げた自民議員の名

北海道大学教授の解放こそ叶ったものの、未だ複数の日本人が拘束中、加えて尖閣問題や激しさが増すばかりの香港デモ等々、日中間にはまだまだ「障壁」が存在していると言わざるを得ません。

そんな中、安倍政権が先日打ち出した「習近平国家主席の国賓待遇での来日」について、与党内から反対意見が上がり話題となっています。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、習氏の国賓待遇を憂慮すべき理由について改めて持論を展開しています。

習近平の国賓来日に反対する自民党議員が現れた

皆さんご存知のように、安倍総理は6月、大阪で習近平と会談し、「来年の桜の咲く頃、習主席を国賓として日本に迎えたい」といいました。すると習近平は、「来春の訪問は極めていいアイディアだ。外交部門で具体的な時期について調整して欲しい」と応じました。

『米中覇権戦争の行方』(3章)を読まれた方はご存知ですが、私はこれ(国賓訪日)にずっと反対しています(理由は、後述します)。
そして、なんと自民党の議員さんで、習近平の国賓訪日に反対する人が出てきました。

まず、佐藤正久前外務副大臣。佐藤先生は元陸上自衛官。イラクに派遣され、復興支援隊長を務められました。いつも国益のために戦っておられる佐藤先生は、習近平の国賓来日に反対しています。先生は、日中間には現在「4つのトゲ」があるとおっしゃっています。

香港問題

北大の教授が拘束されている問題
尖閣問題

日本食品の輸入規制問題

「4つのトゲを抜かないと、国賓というわけにはいかない」と断言されました。

佐藤先生が習の国賓訪日に反対する映像はこちらでごらんになれます。

● 課題解決しないまま習主席を国賓に…異議

そして、青山繁晴先生を中心とする「日本の尊厳と国益を護る会」も、習の国賓訪日に反対しています。議員数40人。立派ですね。
自民有志、中国主席の国賓来日反対決議へ 尖閣や邦人拘束改善条件
産経新聞 11/12(火)22:46配信

自民党の保守系議員約40人でつくる「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)が、中国の習近平国家主席の来春の国賓来日に反対する決議を準備していることが12日、分かった。

北海道大教授ら邦人の不当な拘束や尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での中国公船の侵入行為などの状況が改善されない限り国賓での来日に反対する内容で、13日にまとめた後、安倍晋三首相に提出する方針だ。

「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」は、なぜ国賓訪日に反対なのでしょうか?

一方、護る会は、中国で十数人の邦人が理由不明のまま拘束されていることや中国軍機による領空侵犯、尖閣諸島周辺での中国公船の挑発行為を踏まえ、日中関係は「正常な軌道」にないとの認識に立っている。香港市民に対する中国当局の弾圧姿勢も問題視しており、これらの懸案が改善されない場合、習氏の国賓来日に反対していく考えだ。
(同上)

十数人の邦人が理由不明のまま拘束されている
中国軍機による領空侵犯
尖閣諸島周辺での中国公船の挑発行為
香港市民に対する弾圧

が反対理由だそうです。もっともですね。

「勝利か、また敗戦か」の岐路に

真の理由は、米中覇権戦争
上記の理由は、どれも重要です。しかし、実をいうと、習の国賓訪日に反対すべき真の理由は「米中覇権戦争」です。

アメリカは2018年7月、8月、9月と連続で、中国製品に対する関税を引き上げました。そして、2018年10月のペンス演説で、世界中の研究者は、「米中覇権戦争がはじまった…」と理解した。別の言葉で、「米中新冷戦がはじまった」という人もいますが、意味は同じ。
米中関係が最悪になったので、中国は、日本にすり寄ってきた。ナイーブで世界情勢にうとい日本の政治家は、「米中覇権戦争がはじまった」ことすら知りません。それで、中国がすり寄ってきたことについて、裏の理由を考えることもなく、「まことにめでたいことだ」とこちらからも歩み寄るようになった。こういう状況をアメリカサイドから見たらどうでしょうか?
「我が国(アメリカ)は、中国と覇権戦争を開始した。すると、我が国(アメリカ)の同盟国・日本は、敵である中国に接近しはじめた」

これ、一般的な言葉でなんというでしょう?そう、【 裏切り行為 】です。トランプは、ムカついているに違いありません。そして、ムカつくのも当然でしょう。彼は6月26日、こんな発言をしています。
「日本が攻撃されれば、米国は第3次世界大戦を戦う。我々は命と財産をかけて戦い、彼らを守る」
「でも、我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要はない。彼らができるのは攻撃をソニーのテレビで見ることだ」
これを聞いて、「トランプがまた変なことをいいだした」と思った方も多いでしょう。しかし、「原因は日本側にある」ことを、私たちは理解しておく必要があります。
そして、2019年10月22日、即位礼正殿の儀が行われました。世界各国から、国王、王妃、大統領、首相などが、日本に集結した。しかし、その中で、もっともランクの低い人を派遣したのは同盟国アメリカです。アメリカから出席したのは、運輸長官でした。これを見て、「ずいぶんアメリカに舐められたものだ」と怒るのは愚かです。
元々ペンス副大統領が来る予定だった。それが、運輸長官になった。理由は、日本側にあると見るべきです。
2015年3月、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、親米諸国が、アメリカの制止を無視し、中国主導AIIBへの参加を決めました。しかし、日本はAIIBに参加せず、アメリカに喜ばれた。2015年4月、安倍総理は、アメリカ議会で演説し、いいました。
米国国民を代表する皆様。

私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。

アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。

希望の同盟──。

一緒でなら、きっとできます。

アメリカの議員さんも涙した、歴史的名演説でした。オバマも歓喜して、「歴史的訪問に感謝する。日米関係がこれほど強固だったことはない!」とツイートした。

ところがどうでしょう。いざ米中覇権戦争がはじまったら、希望の同盟国日本は、真っ先にアメリカを裏切った。つまり安倍総理は、自らの言動で、「希望の同盟演説は、口からでまかせだった」ことを証明したのです。

より深刻なのは、日本政府のトップに「裏切り行為をしている」という自覚も認識もないことです。宮脇淳子先生は、『日本人が知らない満洲国の真実』の中でこう書かれています。

日本人が自分たちのしたことについて、まったく自覚がないところは悪い点です。

日本がパリ講和会議で出した人権差別撤廃法案にしても、あれがいかに欧米の人間を困らせたか、日本人は全然理解していません。アメリカがハワイを併合したときも、日本はかなり文句を言いました。アメリカはすごく腹を立てましたが、日本はそれについて無自覚で、その後、アメリカが日本に報復したくなるとは思いもよりませんでした。日露戦争で満州や朝鮮への野望を打ち砕かれたロシアは、日本に仕返ししようと待ち構えていました。

この話、私もその通りだと思います。今風にいえば、こんな感じになるでしょう。

日本人が自分たちのしたことについて、まったく自覚がないところは悪い点です。

日本が、アメリカの敵である中国の長、習近平を国賓招待したことが、どれほど深刻な裏切り行為であるか、日本人は全然理解していません。

アメリカが「タンカー防衛有志連合をつくろう」と提案した時も、日本は完全にシカトしました。アメリカはすごく腹を立てましたが、日本はそれについて無自覚で、その後、アメリカが日本に報復したくなるとは思いもよりませんでした。

2015年、16年、安倍総理は、見事に中国の反日統一共同戦線戦略を無力化しました。日本を敗戦国から戦勝国に転換させ、「偉大な宰相」になるチャンスがあった。しかし、アメリカに対する裏切りをサクッと繰り返すことで、今は、「人権侵害超大国中国に過剰接近して日本をまた敗戦させた残念な首相」になろうとしています。

ですが、まだ「偉大な首相」になる機会はある。その一歩は、習近平の国賓訪日を中止することでしょう。そして、アメリカの「希望の同盟国」として、行動することです。

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