「排除される文大統領」

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トランプ大統領訪日 韓国紙「排除される文大統領」 中国・新華社「“横綱失格”米の貿易いじめ」

トランプ米大統領が5月25~28日、令和最初の国賓として訪日し、天皇陛下と会見した。安倍晋三首相とは11回目の首脳会談に臨んだほか、“ゴルフ外交”などを通じて個人的信頼関係を一層厚くした。

日米の蜜月ぶりを目の当たりにして韓国紙は自国の孤立ぶりを懸念、文在寅政権の危機意識の欠如を問題視した。中国の官製メディアは冷めた視線で、日米首脳会談で目立ったのは不一致ばかりだと指摘した。
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■排除される文在寅大統領
 
日米首脳会談について韓国では、日米関係の緊密化の一方で、自国の外交的孤立を懸念する論調が目立つ。中央日報(5月28日付)は社説で、「米日蜜月の中で韓国は孤立状態に向かう雰囲気だ」と断じた。
 
同紙は「今回の首脳会談を見れば、むしろ安倍首相が北朝鮮の核問題の仲裁者となったようだ」とし、「韓国は仲裁者でなく部外者となったような感じで、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北東アジアの首脳から排除されている雰囲気だ」と指摘した。
 
その理由として、「文大統領が要請した訪韓に、トランプ米大統領が確たる回答をせず、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議直後の訪韓日程が確定していない」「日本はG20での韓日首脳会談の意思がない」「習近平中国国家主席の訪韓も最近、取り消しとなった」ことを挙げ、「北東アジアで韓国だけが茫々(ぼうぼう)たる大海を漂流している」と韓国が置かれた状況を危惧した。
 
さらに、「行き詰まった北朝鮮との核交渉や米中貿易戦争の被害などは、まさに韓国の現実の問題だ。だが、韓国政府は緊迫した国際情勢にもあまりにのんびりしているようだ」と文政権の危機意識の欠如を問題視。

「4月にワシントンでの首脳会談で文大統領がトランプ大統領と単独で話した時間はわずか2分だけだった。韓米首脳が緊密に議論する時間さえなかった。日本とは外交・経済・軍事などの葛藤を解消できずにいる。時限爆弾である米中衝突の懸念は韓国経済に一層深く拡散している」と危機感を示した。
 
その上で、「米中貿易戦争と北朝鮮の核問題にしっかり対処できねば、経済、安保ともに不覚を取り、仲裁者どころか、尻尾をつかまれ振り回される可能性もある」と事態の深刻さを訴えた。
 
一方、文化日報(5月29日付)の社説は、トランプ氏が米軍将兵への演説で「皆は黄海と日本海、東シナ海、南シナ海を守り、祖国と同盟国を敵から防護する」と語ったことに着目。「日本海・東海の表記の問題が(日韓の)敏感な懸案であるにもかかわらず、トランプ氏がてらいもせずに日本側に付き『日本海守護』の演説をした。中国牽制(けんせい)のために日本との同盟強化が絶対的であり、文在寅政権への外交的考慮はしないということでもある」と論じた。
 
同紙は「両首脳の記者会見でも韓国には遠回しに触れるのみで、重要な同盟国として扱われなかった。日本も韓国を無視している。G20での韓日首脳会談も不透明だ」と韓国の“不安要素”を列挙した。
 
また、「韓米日の共助の代わりに『自由で開かれたインド太平洋構想』が強調され、韓国パッシング(素通り)が露骨だ」と指摘。「韓米日首脳会談の代わりに米日印首脳会談が開かれる」とし、背景に「文政権がインド太平洋戦略を中国封鎖とみなし、関わりをはばかっている」ことを挙げた。その上で、「中国と北朝鮮にも無視され、韓国は北東アジアで急速に端に置かれている」と現状を憂えている。                  ◇
 
■“横綱失格”米の貿易いじめ
 
中国メディアは、トランプ米大統領が国賓としての訪日で安倍晋三首相との“蜜月”を見せつけ、日米同盟の強固さをアピールしたものの、肝心の貿易交渉は双方の溝が容易には埋まらない厳しい状況だとの冷めた見方を示した。
 
中国にとって、米国と同盟国が連携して対中圧力を強めることは絶対に避けたい事態だ。それだけにトランプ政権の「一国主義」を批判しつつも、本音では米国が全方位に強硬な通商政策を展開して孤立を深めることを期待している節もある。
 
国営新華社通信は5月27、28日の論評で、トランプ氏が安倍首相と2人の“十八番”であるゴルフ外交を演じただけでなく、天皇陛下が即位後初めて会う外国首脳、宮中晩餐(ばんさん)会に出席する初の国賓、日本の「準空母」に初めて乗艦する米国大統領となった「初づくし」の外遊だと論じた。

一方で、こうした安倍首相の苦心にもかかわらず、トランプ氏は日本に対する圧力を弱めていないと分析。27日の日米首脳会談では、農産品や自動車をめぐる貿易問題の立場の隔たりは埋まらず、朝鮮半島問題をめぐっても顕著な不一致が残ったと指摘した。
 
論評は「米国第一」を掲げて対中圧力を強めるトランプ氏を牽制することも忘れない。安倍首相とトランプ氏が観戦した大相撲について「最高位の力士は横綱と呼ばれ、手厚い報酬と高い地位にふさわしい厳格な礼儀と道徳水準が求められる」とした上で、世界の貿易でトップの実力を持つ米国が、しばしば貿易相手国に「いじめ」的な手段を用いて「国際貿易ルールとぶつかっている」と非難した。
 
日米の貿易交渉をめぐり、トランプ氏が参院選後の8月に決着できるとの意向を示したことについて、中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは社説で「もし本気でその期限を考えているのであれば、彼(トランプ氏)は失望するだろう」と言及。トランプ氏がいう「バランスシート」に関する問題の解決には、同氏の想定以上に多くの交渉が必要になるだろうと論じた。

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