「この程度」

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これが立憲民主党の「まっとうな政治」か?本会議場をウロウロ、居眠り今国会、党首の会見なし

5日の衆院本会議の光景。手前の細野豪志、渡辺周両氏以外の名前は全て立憲民主党の議員で、これが「まっとうな政治」のようだ(斎藤良雄撮影)

10月の衆院選で「まっとうな政治」というスローガンを掲げて戦い、野党第一党に躍り出た立憲民主党が何かおかしい。

立憲民主党は、民進党の希望の党への合流構想を嫌った有権者が、「永田町の論理」と距離を置き「草の根の民主主義」を訴えた枝野幸男代表(53)の姿勢に共感して躍進したとみられる。だからこそ当選した議員もさぞ「永田町の論理」から距離を置くのだろうと本会議場を記者席からのぞいてみると、「まっとうな政治」とは言えない光景が広がっていた。

「朝鮮半島で軍事衝突が発生した場合の甚大な犠牲は明らかです。先月末の米国の議会調査局の報告では、北朝鮮が通常兵器のみを使用する場合でも、軍事衝突の最初の1日だけで、ソウルで3万から30万人の民間人が死亡すると想定されています。日本が直接の標的となる可能性も高いと言わざるを得ません」

11月21日午後、衆院会派「無所属の会」に所属する13人を代表して岡田克也氏(64)は衆院本会議場でこう声を張り上げていた。

共産党席から時々、拍手が起こったが、かつて民主党・民進党と野党第一党を率いた岡田氏の代表質問に対する野党側の反応とは思えない寒々しい印象を受けた。

岡田氏の代表質問は約10分だったが、その間、野党側記者席の真下では立憲民主党の辻元清美国対委員長(57)や山内康一国対委員長代理(44)、手塚仁雄国対筆頭副委員長(51)らがうごめいていた。

この日、自民党の森山裕国対委員長(72)と辻元氏は、特別国会後初となる衆院予算委員会の開催日程や質問時間の与野党配分をめぐり、午前中から断続的に協議していた。与党側は従来の「与党2対野党8」の慣例を改めて「与党5対野党5」に変更するよう求めていたが、野党側は従来通り行うよう主張し、協議は平行線をたどっていた。

当時、与党側は議席数に応じて質問時間を配分するよう要求し、一方の野党も行政府のチェックこそが立法府の役割だとして一歩も譲らなかった。
この難しい局面をいかに取りまとめるかは、野党第一党・立憲民主党の国対委員長である辻元氏の手腕にかかっていた。

11月1日に召集された特別国会の会期は当初8日間だったが、野党側の強い要望により39日間となった。質問時間の配分でも与党側の要求をはね付け、野党第一党としての存在感を示したい-。辻元氏らの頭にはそんな思いがよぎっていたのではないか。

本会議中、辻元氏と手塚、山内両氏は何度も席を立ち、会話を交わし、その光景を枝野氏が黙認していることに猛烈な違和感を覚えた。いやしくもかつての同僚である岡田氏が登壇し、政府の方針をただしているにも関わらず、眼下に広がる野党席では議員が落ち着きなく、立ち歩き、際限なく“おしゃべり”を続けるのだ。

岡田氏が聞いた朝鮮半島有事に関する質問は、国民の生命・財産に直結する事柄だ。

辻元氏らは、国民の生命・財産に関わる以上に大事な話をしていたのだろうか。そもそも本会議場でなければできない話なのか。

いくら聞き耳を立てても記者席から議場内での議員同士の会話は聞こえない。本会議後に与野党が11月27、28両日に衆院予算委を開くことを決めたことから察するに、辻元氏らは質問時間の配分で強気の姿勢を崩さない与党側との交渉戦術でも練っていたとみられる。時に「与野党の談合」と称される「国対政治」こそ「永田町の論理」の典型だが、そんなことに構っていられなかったのだろう。

国民の知る権利に応えるためにも、野党には仕事をしてもらわなければならない。その意味で、野党側が従来通りに質問時間を配分するよう求めたのは理がある。だが、国民の負託を受けた立法府として衆院の最終的な判断を下す本会議場でなすべきことなのか。

私は幼稚園のころから、授業中は立ち歩かないよう、人が話している最中は最後まで聞くよう教わってきた。小学校の息子と、幼稚園の娘も同じように教わっているだろう。

民間企業で会議中に部屋を抜け出したり、同僚とペチャクチャ話したりすることはあり得ないし、少なくとも私は見たことがない。しかし、以前からそうだが、永田町にこの常識はない。

立憲民主党は「まっとうな政治」と「草の根の民主主義」を掲げている。辻元氏も衆院選に当選した直後、地元で「まっとうな政治の実現に向けて大きな輪が広がり、当選させていただいた」「一番大変な選挙だった。非常に厳しい国会運営になると思うが、ぶれずに新たな動きを作っていく決意を新たにした」と語っていた。

しかし、辻元氏らが本会議場で繰り広げた行動は「まっとうな政治」どころか、旧態依然とした「永田町の論理」そのものだった。

立憲民主党の議員は12月5日午後の衆院本会議でも「永田町の論理」を実践した。

この日の議題は、弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対する抗議の決議や国家公務員らの給与に関する法律の改正案などの採決だった。約35分間の短さだったにもかかわらず、深く頭を垂れ、気持ちよさそうにうつらうつらしている立憲民主党の議員が続出した。

本会議や委員会での離席、立ち話、談笑、居眠り、読書、スマホ操作は、別に特定の政党の議員に限ったことではない。永田町の日常の風景である。「まっとうな政治」を掲げ、「永田町の論理」からの脱却を掲げる立憲民主党の議員もまた、何ら変わらず踏襲していた。

ちなみに立憲民主党は今国会中、一度も枝野氏の記者会見を開いていない。代表の定例記者会見を開くことが「永田町の論理」だということだろうか。

不倫疑惑の渦中にある同じ会派の山尾志桜里衆院議員(43)や、セクハラ疑惑を週刊誌報道された初鹿明博(48)、青山雅幸両衆院議員(55)に関する質問が嫌なのではないかと勘ぐってしまう。

5日の衆院本会議の光景。手前の細野豪志、渡辺周両氏以外の名前は全て立憲民主党の議員で、これが「まっとうな政治」のようだ(斎藤良雄撮影)

こうした疑いを払拭するためにも、枝野氏は早々に代表としての記者会見を開き、所属議員の疑惑について説明責任を果たし、「まっとうな政治」のお手本を見せるべきではないだろうか。

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