2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「利用されるだけの間柄?」
日本と中国の青年交流を推進する団体の男性役員が、渡航先の北京で中国の治安当局に拘束され「スパイ行為」に関わった可能性があるとして取り調べを受けていることが判明し、北京の日本人社会に大きな波紋を広げている。
男性をよく知る日本人駐在員は「彼は長年、日中友好事業を熱心にやっており、とても中国に害を及ぼすような人間に見えない」と驚きを隠せなかった。
労働組合幹部や国会議員秘書の経験を持つ男性は、「村山談話を継承し発展させる会」の訪中団とともに行動するなど、日本で親中派とされる人物だ。
昨年夏に北京で拘束された別の日中交流団体の日本人男性役員と同様、中国にとっての「友好人士」と位置づけられてきた。
日中友好人士が最近、相次いで拘束された理由について、日中関係者筋は「いまの中国は外国人全体への監視を強化しているが、『中国側から信頼されている』と思い込んでいる“友好人士”は、それを認識していない場合が多い」と指摘した。
その上で、「彼らは中国側との交流のなかで、情報収集と疑われる言動があったかもしれない」と分析した。
男性にかけられた具体的な容疑は不明だが、一部の関係者の間で「中国共産党内の権力闘争と関係しているのでは」との見方も浮上している。
男性が所属する団体は、中国共産党の下部組織、共産主義青年団(共青団)と友好関係にあり、その支援を受けて中国の各地で植林活動を行ってきた。男性は歴代共青団の幹部らとも親交があったという。
現在、胡錦濤前国家主席の出身母体である共青団系グループと、習近平国家主席が率いる太子党系(元高級幹部子弟)グループが激しい主導権争いを展開している。
男性は党内の争いに巻き込まれた可能性も否定できない。