「全部隠そう」

画像の説明 中国の社会、文化に壊滅的打撃を与えた政治運動、文化大革命は16日、開始から50年を迎えた。

重大な歴史事件の節目に記念イベントを開催することが多い中国だが、この日、文革と関連する公式行事は全くなかった。欧米や日本のメディアが検証記事や特集を相次いで掲載するなか、共産党の機関紙、人民日報など中国の主要メディアは完全に黙殺した。

ある雑誌編集者は「文革に一切触れるなという党宣伝部からの通達があった」と明らかにした。

北京の人権活動家によれば、4月から5月にかけて、複数の改革派老幹部の誕生日パーティーが予定されていたが、治安当局がレストランなどに圧力をかけ中止になった。

いずれも文革中に迫害を受けた人で、当局はパーティーという名目で大勢の反文革派が集まり、政府を批判する集会になることを警戒したようだ。

また、広東省スワトー市にある文革博物館も4月下旬から閉鎖された。インターネットでは、「文革の精算は終わっていない」「政府は被害者に公式謝罪すべきだ」などと投稿された文革批判の書き込みは次々と削除されていった。

一方で、当局は文革を懐かしむ左派の活動に対し比較的に寛容な態度を取っている。遼寧省大連市で14日、保守系政治団体が主導するデモ行進が行われ、少なくとも数千人が参加した。

毛沢東の写真や語録を掲げ、文革で流行した毛や共産党を称賛する「紅歌」が次々と歌われた。

今の中国で、文革についての評価は党の掲げる否定論ではまとめきれない。文革を徹底的に批判し、習近平政権下で個人崇拝など、文革当時の同じ現象が復活しつつあることを警戒する改革派と、文革時代を肯定する保守派が対立している。

改革派には知識人が多く、保守派は高度経済成長に取り残された貧しい層が多いという。

習政権は保守派を暗に支持しながらも、双方の対立深化による政治的混乱を避けようとしている。

ある改革派知識人は「文革は共産党にとっての大きな負の遺産である、くさいものにふたをしなければならないという理由で、今の政権は文革を封印した」と語った。

コメント


認証コード9401

コメントは管理者の承認後に表示されます。