「ウェアラブル市場」

画像の説明
最近話題に上ることも多いウェアラブル市場の規模は、日本国内では2020年までに600万台、世界では1億2500万台が見込まれている。

皆様はすでにご存知かもしれないが、イスラエル企業はこの領域においても、得意技のコンセプトを決め、実現する能力を発揮している。

ウェアラブル機器は日本でも身近に。

インテルが買収したウェアラブルの先駆的技術

ウェアラブルの先駆けはイスラエルの企業、オメックインタラクティブ (Omek Interactive)社だ。2013年、同社が開発したジェスチャーを認識する技術がインテルに4000万ドルで買収された。

また同年、イスラエルのプライムセンス(PrimeSense) 社の動作をトラッキングする技術が、アップルにより3億6000万ドルで買収された。これらが、イスラエルのウェアラブル技術が注目を集めた最初の大きなトピックと言えるだろう。

インテルは2016年に入っても、3Dのレンダリング技術を持つリプレイテクノロジーズ(Replay Technologies)社を1億7500万ドルで買収しており、同社のこの分野への関心の高さがうかがえる。

インテルといえば、イスラエルに拠点を置いたグローバル企業の最古参であり、国内に5ヵ所1万人程度の従業員を抱える最大手ではあったが、「スタートアップの活用」という点では、他のグローバル企業からは遅れがちであった。

ただ、昨年からスタートアップへの関心を強めており、Intel Ingenuity Partner Program(現地では通称IPP)というアクセラータプログラムを2015年に立ち上げて、すでに20社以上のスタートアップの支援を開始している。

元空軍パイロットが生体センサーを開発

アイデアに富む数々のウェアラブル・スタートアップ

ここでは、今注目のイスラエルのウェアラブル・スタートアップの数々を紹介していこう。

まず、LifeBEAM社である。バイオセンサーが埋め込まれた帽子やヘルメットを使うことによって、血圧や体温をリアルタイムで測定することができる。

LifeBEAM社の創業者はオムリ・ヨッフェ(Omri Yoffe)氏とジブカ・オロン(Zvika Orron)氏。2人ともイスラエル軍のパイロットをしていた時にこの生体センサーのアイデアが浮かび、実現させた。軍の経験がそのまま日常生活に応用された技術になっているのが、イスラエルらしい。

続いて紹介するのは、UpRightと呼ばれるウェアラブル機器である。この機器は背中に取り付けるもので、姿勢が崩れると振動して姿勢を正すように促す。

「『姿勢を良くしなさい』と、誰もが母親から言われた経験があると思う」と創業者でCEOのオデッド・コーエン (Oded Cohen) さん。しかしコーエンさんは姿勢が悪かったために背中を痛めてしまった。

それからヒントを得て立ち上げたのがこのスタートアップ。2万円を少し超える価格で購入することができる(2016/4/1現在)。腰痛持ちの方は、試してみてはいかがだろうか?

Healthwatch Technology社が提供するhWear Lineも、画期的な生体センサーである。センサー付きのTシャツで、これを着ることによって自動的に脈拍や体温が、医師のスマートフォンに電子データとして転送される仕組みとなっている。

また、MUV Interactive社が開発したBIRDと呼ばれる機器は、指につけることで、自在にスクリーンに映し出された画面を操ることができる。

BIRDにはモーションセンサー、タッチセンサーなどの機能が備わっており、それによって指の動きを察知でき、タッチ操作も可能となる。BluetoothでPCやタブレットと接続することで動作する仕組みになっている。

他にも、室内の赤ちゃんの居場所を離れた場所でスマホで把握することができるhereOや、メガネに取り付けて指差したものをズームして見ることができるOrCamなど、イスラエルのウェアラブルのアイデアは、私たちの生活に「ありそうでなかった」を提供してくれる興味をそそるアイデアばかりである。

帝人のグループ会社がイスラエル企業とコラボ

製品コンセプトに困ったら、イスラエルのスタートアップに学ぶのが近道?

日本では、帝人グループで睡眠関連のマーケティング会社「ねむログ」が、呼吸を整えることで寝付きをサポートするウェアラブルセンサーとスマートフォン用アプリのセット製品「ツーブリーズ」を発売した。同製品は、イスラエルの医療機器を扱うベンチャー企業「ツーブリーズテクノロジーズ」から導入し、販売している。

我々イスラテックの肌感覚ではあるが、日本でもイスラエル企業のアイデアを評価しコラボレーションを進める企業が、以前にも増して増えてきている。

イスラエルは国内に市場がなく、マーケティング能力が全くないと言われていた時期もあった(今でもそうかもしれないが……)。

日本と異なる発想が多々見受けられるイスラエルの地で、今後どのようなウェアラブル機器が生まれるのか、楽しみである。

コメント


認証コード6206

コメントは管理者の承認後に表示されます。