「軽くやられてるね」

画像の説明 シャープの買収について鴻海とシャープが合意し、30日にそれぞれ取締役会を開き31日に契約し、4月2日に記者会見する見通しだと3月28日に日経が報じていましたが、鴻海側からそれを否定する発表があり、どうやら雲行きが怪しくなってきています。

この買収劇は、おそらくもはやシャープの経営者は当事者ではなくなり、鴻海とみずほ銀行を中心とした銀行との交渉に移っていると思います。そしてシャープだけでなく、銀行側も鴻海の術中にはまってしまった感なきにしもあらずです。

当初の7000億円支援、シャープの人事を含めて独立性は保証する、銀行からの借入は返済するというのは餌であって、鴻海が産業革新機構から交渉権を取るためのものだったということでしょう。

鴻海とすれば、交渉権を得たあとは減額の口実をつくり、交渉を引き伸ばせば伸ばすほど、銀行団が折れて、有利な条件を引き出せる可能性が残っています。

なぜなら冷静に考えれば、シャープは、需要があり、技術で秀でれば市場の勝者になれるという「モノづくり神話」で暴走してしまった結果、もはや営業益をだすことすら難しくなってしまい、赤字が累積し、すでに企業価値はなくなっています。株価で見れば、シャープの時価総額がおよそ2,200億円なので、まだ減額要求してきてもおかしくありません。

銀行側に資金を回収したいという思いがあればなおさらです。なにせ交渉相手が辣腕経営者のテリーゴウ会長です。一筋縄ではいく相手とは思えず、よほどタフな交渉人でもなければ、勝負にならないのでしょう。

美味しい条件を見せて、まずはライバルを蹴落とし、交渉権を得ればどんどん条件を変える「中国式交渉術」そのものです。

日本との受注合戦で、「事業費55億ドル(約6647億円)の全額融資」「政府の債務保証は求めない」などの破格な条件をだして、日本に競り勝ったインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画も、中国語の資料しかださないとか、建設を担う中国とインドネシアの合弁会社が、後出しジャンケンで事業失敗の際の「保証」をインドネシア政府に求めたりで、建設に暗雲が立ち込め始めているのと同じでしょう。

案の定か…日本退け、中国受注の「インドネシア高速鉄道」に暗雲:イザ!

さて、シャープの社内の方と思われるブログがあり、前向きな思いや決意の投稿が続いていますが、そこに寄せられたコメントを見れば、シャープの社員の方々、あるいは関係各位方々の複雑な思いがにじみ出ているように感じます。

ここまで落ち込んだシャープを立て直すには、強いリーダーシップと強いビジョンや戦略が欠かせないと思いますが、逆に強いリーダーシップがあり、将来へのシナリオを描いているに違いないテリー・ゴウ会長にとって、シャープの価値はなになのかから紐解いていけば、着地点も見えてくるかもしれません。

先のブログのコメントにあるように、交渉が長引き、買い叩いて手に入れたけれど、有能な人材がさらに流出し、残ったのは荒みきった組織というのでは鴻海のテリー・ゴウ会長にとっても大きな損失になるはずです。

これ以上、兵糧攻めにあうと、若手がどんどん去っていくような気がしますね。

さて、有機ELを始めようとした時に、必要な開発&技術系社員は、残っているのでしょうか。

長引けば長引くほど人は出ていく
残った人数で続けるのは実質不可能だからホンハイが来ても来なくても事業所をいくつか閉鎖するしか手はない

さて交渉の主役と思われるみずほ銀行が、鴻海に対して水面下でどのような手を打っているのかはわかりかねますが、シャープの社員や株主の方々、鴻海、銀行のそれぞれにとっていい結果で収まればと思いますが、それよりも、鴻海も「モノづくり」の請負企業からの脱皮を課題として抱えているので、鴻海がシャープをどのように活用してそれを実現するのかに興味が向かっていきます。

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