「大統領」

画像の説明 米国の大統領を選ぶ2大政党の予備選挙で共和党はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンに決まりそうです。

そしてクリントンとトランプのどちらが勝つか、多くの人は最後はクリントンが勝利すると見ています。しかし民主党のクリントンに対してほとんど無名に近い左派のサンダースが意外な健闘を見せ、一時はクリントンを打ち負かしそうな勢いをみせました。

ということはクリントンが勝った場合、サンダースの支持者である貧しい層が離反し、トランプに投票する可能性が出てきました。つまりトランプがアメリカ大統領になるということです。

多くの評論家や一般知識人は、不法移民やイスラム教徒を侮辱する暴言で既成政治への有権者の怒りを煽って支持につなげるトランプ氏の手法に批判していますが、トランプ現象が起こっているアメリカの根本を見なければいけません。

つまりアメリカを支えてきた中流階級は没落し、貧富の差が拡大し、衰えゆくアメリカの惨状をよく見ればトランプ現象の原因が見えてきます。

かってのアメリカ経済は、一つの業種に徹してコツコツと事業を拡大する仕事と従業員を愛する素朴な実業家によって支えられてきました。これらの経営する堅実な会社に勤める社員は中流階級と呼ぶにふさわしい給与を得たばかりか、健康保険にも老後の年金にも恵まれた健全なアメリカ人でした。

日本に伝えられたアメリカは、一家に二台の自動車があり、青々とした芝生に囲まれた住宅に住み、スポーツやジャズを楽しむ健全で豊かなアメリカでした。

われわれ日本人は、この時代の豊かなアメリカ社会をテレビ映画などを見て、憧れていました。特に団塊の世代を中心にした人たちは今でもアメリカのイメージを「アイ・ラブ・ルーシー」「ママは世界一」「奥さまは魔女」など、今でも「豊かなアメリカ」を鮮明な記憶として私達の中に残っています。

当時の日本人はそんなアメリカに憧れ、目標にしていました。

しかしそのようなアメリカは今はもうない、何十年も真面目に働いてきた中流階級の人々が、企業売買や工場の海外移転によって失業していきました。

1980年以降のアメリカの没落をもたらした主要な原因は、生産自体に関心の薄い経営者たちによる企業売買の悪影響です。結果中流階級の賃下げや失業が頻発し、健康保険や年金の消失が起こりました。

つまり企業の生産活動よりも資産内容に興味を持つ「投資家」が続出、企業売買のよる利益を追求するようになってしまった。安定した企業が次々と投資家に買収され、資産ばかりか従業員の積み立てた年金基金まで食い荒らされるようになってしまった。

そのうえ政治家も経済学者も口をそろえて「グローバル化」という言葉を主張したために、企業、金融、銀行、通信、生産、は簡単に国境を超えてしまった。つまり多くの工場が出来るだけ安い労働力を求めて海外に出て行ってしまった。

70年代からの技術進歩の結果、製造業の生産は、コンピュターなどで管理され、メキシコや中国の国々でも容易に同等の品質を実現できるようになった。利益極大を正義と考えるアメリカ企業が外国に工場を移転するのは当然の事なのです

企業が「国境を超える」につれアメリカ国内企業も含めて、労働者を、コミュニティを、環境全ての面でのコスト削減競争へと向かわせ、アメリカ時代を支えてきた中流階級は没落し、企業は成長する力を失ってしまった。今やアメリカの中流階級の所得は日本人の大半よりもかなり低くなっています。

アメリカ国民にとってこのような状況は既におきている災厄です。痛みつけられている人びとは逃げようがない。だからといって受け入れることも出来ない。

そしてもう一つアメリカの没落をもたらした最大の原因は「政治」にあります。

自己利益や選挙対策にばかり熱心で有力団体や外国のロビー活動の金に目がくらみ、国民を無視した政治家によって、経済の破壊と中流階級の没落に手をかす無能で悪人の政治家にアメリカ国家が握られてしまった結果です。

これらの無能な政治家は、富裕層に対する過剰な減税や、軍産複合体に操られた無駄な戦争、そして一部のアメリカの利益集団の指示に従って、中流階級を無視してきました。

つまりアメリカ政府は巨大企業に支配されてしまった結果,富の移動は中流階級から富裕層へ移動して、中流階級が貧困層に落とされてしまった。

その結果富む者はかってないほど富栄え、その一方で労働者階級の生活は衰退の一途をたどり、底辺にいる人達はそこから這い上がれないままです。

新しく成人に達する世代が自分の親の生活よりも良い暮らしが出来ません。このようなアメリカにしたのはあきらかにワシントンの人間たちです。

底辺に落とされた白人たちのイライラは今や沸点に達しています。これがトランプ旋風の原点です。決してアメリカ国民のレベルが低くなったのではありません。

民主党も共和党もトランプをひどく嫌っています。なぜなら両主流派は共に軍産や金融界に取り込まれているからです。ヒラリー・クリントンのバックは軍産複合体と金融界の連合体です。それに中国資金が見え隠れしています。クリントンは中国の影を隠すために人権問題で中国に厳しい姿勢を
みせています。

トランプもこれまで「米国の株暴落は中国のせいだ」「中国は為替操作の名人だ」などと中国への敵意をむき出しにしています。ところがトランプの当選が見え始めると、中国は共産党の機関紙を使って「トランプ氏の当選は大規模テロに匹敵する」「トランプは世界経済の毒針だ」と痛烈に批判を始めました。

しかし中国はヒラリー・クリントンを一切批判していません。ヒラリーの夫ビル・クリントンを以前金で取り込んだ実績があり、妻のヒラリーも金で取り込めると見ています。中国は本当にわかりやすい国です。

ヒラリー・クリントンはゴールドマン・サックスやモルガンスタンレーから巨額な金をもらったと伝えられています。ということは今回の戦いはエリート(大企業、金融界、軍産複合体、CFR,)と草の根(庶民、貧困層)の戦いになっています。

いまだに多くの日本人はアメリカが大統領とホワイトハウス・スタッフによって動かされていると信じ込んでいます。しかしアメリカで最も実権を握っているのがCFR(国家安全保障省)(外交問題評議会)だと言われています。

政府を裏で操りアメリカを実効支配している欲深い権力者達です。

トランプが大統領になると困るエリート集団は「反トランプ運動」を加速させていきます。多くの知識人はトランプを「無知」「時代錯誤」と罵っていますが、中流階級から貧困に没落した多くの白人たちはトランプだけが唯一ワシントンに巣食っているエリート集団を追い出すことが出来ると信じています。

トランプは確かに国際知識はありません。しかし最近国際情報に詳しい政策顧問を数名雇っています。公にトランプの陣営に加わっていませんがマイケル・ピルズベリー(米国防総省顧問)などは密かにトランプを応援しています。

何故ならピルズベリー氏はロックフェラー家の傘下にいたキッシンジャーに長年騙されて、中国が強くなるのを手伝ってきました。「米国のライバルは日本であり、貧しく遅れていた中国は決して米国に挑むことはない」「豊かになれば中国は友好国になる」というキッシンジャー言葉を信じて中国を支援してきましたが、裏切られた。そんな怒りと自責の念が強く、ワシントンではいまだに「中国が協力相手になる」とのキッシンジャーの呪縛が解けていないことに彼は怒っています。

もしクリントンが大統領になれば建前的に中国を敵対し牽制しても、中国を本気で叩く意思はありません。ということは日本はクリントンを当てに出来ないということです。トランプは尖閣でのトラブルは日本の問題だ、アメリカは関知しない。といっています。これこそ逆に日本の自主独立のチャンスです。

ロックフェラーが支配している金融界や軍産複合体、CFR(外交問題評議会)がクリントンを使ってワシントンを操り、歴史の繰り返しを演出しようとしているなら、世界のために次の大統領はトランプにすべきだと思いますが、しかし彼が大統領になっても、しょせん、東部エスタブリッシュメントを
はじめとする伝統的な力を無視してアメリカの政治、外交、経済を動かすなど不可能な事です。

もしトランプがホワイトハウス入りすれば、世界中のマスコミは「史上もっとも無能で無知な大統領」という烙印を押すのではないかと思っています。

恐れた彼は無能でないことを証明するために、各省庁のエリートたちのいうがままになりそうです。そうなれば、また同じ歴史を繰り返すことになります。

トランプ大統領が日米安保解消を言い出し、日本がアメリカをあてに出来無いと知った時、憲法も改正して日本が自主独立できるチャンスです。

憲法を改正しない限り日本は中国や朝鮮と戦うことは出来ません。

ア~ このような事は夢のまた夢です。

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