「危ない・・危ないね」

画像の説明 日米不参加のままアジアインフラ投資銀行(AIIB)が開業した。

日本では昨年前半、朝日新聞や日経新聞などメディアの多くが「バスに乗り遅れるな」とばかりに参加論の大合唱だったが、今では静まり返っている。バスに乗ると中国リスクに取り込まれることが、明らかなのだ。

好例が韓国である。中国市場シェアほしさのあまり、米国の反対を押し切って参加したのだが、中国のバブル崩壊と安値輸出攻勢のあおりで韓国産業が痛んでいるばかりではない。

AIIBは当面、15億ドル以上の融資を計画しているが、原資が要る。アジア開発銀行のように、債券を国際市場で発行するのだが、米国の債券格付け機関はジャンク(くず)債並みの信用度しか認めないので、北京のメンツ丸つぶれである。そこで、AIIBは縁故債引き受けを韓国に要請している。

AIIB出資比率ではインド、ロシア、ドイツが韓国を上回るし、欧州最大の国際金融センターを持つ英国もメンバーだ。だが、各国はプロジェクトこそ欲しいものの、返済リスクの大きい融資に応じるのは、割に合わないから、拒否しているのだろう。

AIIB最筆頭株主の中国はどうか。事実、金立群AIIB総裁は以前に、「中国国内で200億~300億ドルを低金利で調達できる」と断言した。ならば、韓国に「奉加帳」を回さなくてもよい。韓国は外貨準備に不安を抱え、日韓通貨スワップ協定の復活を水面下で働き掛けている。

実は中国自体、それどころではない。人民元安とともに巨額の資金流出が加速している。外準は昨年末約3・3兆ドルだが、対外負債約4・4兆ドルを下回り、中国から外資が一斉に引き揚げると底を突く。

残る手段は人民元の活用だが、株式など金融市場はがんじがらめに規制され、公安当局が情報統制するので、中国人ですら元建ての資金や資産に投資したがらない。

最後の一手は、習近平指導部による強権の対外発動だ。東南アジア各国などに元建て融資を受け入れさせ、中国企業がインフラを受注する。その結果、起きるのは乱開発と環境破壊だ。アジアは元経済圏に組み込まれ、対中依存が強まり、外交・安全保障上でも立場が弱体化する。

欠陥だらけのバスは党の強権で何とか始動しても、必ず暴走する。制止に向け日本は米国と結束すべきだ。

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