「人災」

画像の説明 習近平政権下では、「反腐敗」や「批判と自己批判」といった大規模な政治キャンペーンが次々と展開されてきた。

中国メディアによると、中国広東省深セン市の土砂崩れが起きた現場周辺では、高さ100メートルにも積み上げられた残土の山の危険性を地元住民が指摘し、地元政府にも訴えていた。しかし、当局が放置して何も対応を取らなかったという。

中央や地方の官僚は権力闘争に明け暮れ、多くの公務員は、出る杭(くい)は打たれるとばかりに事なかれ主義を決め込み、「サボタージュ」が全国に蔓延(まんえん)していた。これが今回の「人災」につながったと指摘する声がある。

北京の共産党関係者によると、広東省は反腐敗キャンペーンで重点的に狙われた地域だ。これまでにも朱明国・同省政治協商会議主席や、万慶良・広州市党委書記ら多くの大物政治家が失脚し、その側近とされる幹部も多くが粛清された。

深セン市を含め、多くの公務員は戦々恐々の状態で、とても積極的に仕事できる環境ではないという。今回の問題でも、「事前に対応すれば予算を組んで業者に発注する必要が出てくるが、『業者と癒着している』などと政敵から攻撃されかねない。担当官僚にしてみれば何もしない方がよい」(先の関係者)といった声が聞かれる。

胡錦濤時代と比べ、全国的に行政効率が下がっているとの指摘もある。8月に天津市で起きた倉庫爆発事件のほか、北京などの大気汚染問題が好転しない背景も、こうした官僚の心理があるとされる。

北京の改革派知識人は「汚職官僚の摘発には賛成だが、政治運動という形ではいけない。公務員の労働意欲がますます低下し、このようなことが今後も起きる可能性がある」と話した。

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