「気を付けなくちゃ」

画像の説明
早いもので、今年も残すところ1ヵ月。年末年始を海外で過ごす予定にしている人もいるだろう。

旅行前には、行きたい観光名所、おいしいレストランなどをチェックして、旅行の準備をするものだが、同時に考えておきたいのが万一の病気やケガへの備えだ。

海外では、日本のように健康保険証が1枚あれば、いつでもどこでも医療を受けられるというわけにはいかず、アメリカ圏などではビックリするほど高額な医療費を請求されることもある。

海外での医療費は原則、全額自己負担
とくに米国圏では高額請求も!

日本では、病院や診療所の窓口で健康保険証を見せると、年齢や所得に応じてかかった医療費の1~3割を支払えば医療を受けられ、残りの9~7割は健康保険組合が医療機関に支払ってくれる。また、高額療養費制度によって自己負担額にも上限が設けられているので、医療費が高額になっても家計が破綻するような心配はない。

だが、これはあくまでも日本国内の制度。イギリスなど一部の国を除いて、外国人旅行者の医療費はどこでも有料で、かかった医療費の全額を自己負担しなければならない。

とくに、民間の医療保険によって医療費がコントロールされているアメリカ圏では、目玉が飛び出るほど高額な医療費を請求されることもある。

旅行会社大手のJTBの「2014年度海外旅行保険事故データ」によると、アメリカで呼吸困難を訴え、肺塞栓症・肺炎・肺結核と診断されて49日間入院した人が、9335万円の医療費を請求されている。

ほかにも、ハワイで肺炎・敗血症と診断された人が6080万円、アメリカで交通事故にあい脳挫傷・くも膜下出血と診断された人が5664万円などの高額請求の例もある。

海外で病気やケガをすると高額な治療費のほかに、日本に帰るためのストレッチャーでの移送費用、家族が現地に向かうための渡航費用などがかかることもある。

大きなケガや病気をしても、日本のように数万~数十万円程度の自己負担で済むなら、貯蓄でもなんとかカバーできそうだ。だが、よほどの富裕層でもない限り、数千万円の医療費を支払うことなどできないだろう。

クレジットカード自動付帯の海外旅行傷害保険で大丈夫?

海外での医療費など、万一、事故が起こったときのリスクが高くなるものは、民間の保険で備えるのが賢明だ。

前出のJTBデータで、9335万円の医療費がかかったケースでも、海外旅行傷害保険で保険金額が無制限のプランに加入していたため、医療関連費用で自己負担せずに済んでいる。もしも保険に入っていなかったら、それこそ家を売っても払い切れず、自己破産することになっていたかもしれない。また、お金が支払えないという理由で、その場で必要な医療が受けられず、命の危険にさらされることも考えられる。

「クレジットカードに、海外旅行傷害保険が自動付帯されているから大丈夫」と思うかもしれないが、肝心の治療・救援費用の補償は案外しょぼい。一般カードだと50万円程度で、ゴールドカードでも200万~300万円程度だ。

海外の高額な医療費を考えると、カードの自動付帯保険だけでは心細いので、海外旅行傷害保険に入っておきたい。加入するときは、保険料の安さだけに飛びつかず、必ず補償内容を確認しよう。

海外旅行傷害保険に加入しておけば、慣れない外国で病気やケガをしても病院を紹介してもらえる。また、医療費の支払いについても、医療機関が保険会社に直接請求してくれるので、窓口で自己負担する必要もない。

ただし、旅行前から治療していた病気が悪化したり、虫歯の治療を受けたりした場合は補償の対象にはならない。また、妊娠・出産に関する医療費も支払いの対象外だ。海外旅行傷害保険も万能ではなく、海外でかかって医療費すべてをカバーできるわけではないのだ。

そんなとき、思い出してほしいのが健康保険の「海外療養費」だ。

健康保険の海外療養費で
医療費の一部は取り戻す

海外療養費は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やケガなどで、やむを得ず現地の医療機関を受診したとき、帰国後に申請することで健康保険が医療費の一部を患者に払い戻してくれるというもの。

こちらは、海外旅行傷害保険の対象にならない持病の治療や歯科治療でも払い戻しを受けられる。自然分娩でかかった医療費は健康保険の対象ではないので海外療養費はもらえないが、出産育児一時金は支給されるので、出産費用の一部をカバーできる。

現地の医療機関で必要書類を忘れずにもらっておこう

海外旅行傷害保険に
加入したほうが安心

海外療養費は公的な健康保険の一制度なので、保障範囲は日本で保険適用されているものになる。

たとえば、美容整形手術、高価な歯科材料や歯列矯正などは対象外だ。差額ベッド料、先進医療の技術料など、もともと健康保険が適用されていないものは請求できない。また、心臓移植などの治療目的で渡航した場合も対象にはならない。また、

また、JTBのデータをみても分かるとおり、アメリカなど医療費が高額な国で病気やケガをすると、とてもではないが健康保険の海外療養費だけではカバーできない。

たとえば、ハワイの私立病院で虫垂炎の手術を受けると、入院1~3日で医療費は約186万円かかる(東京海上日動火災保険「世界の医療と安全2010」より)。

一方、日本の虫垂炎の治療費は入院費用も含めて約52万円(全国病院協会HPより)。高額療養費も適用されるので、70歳未満で一般的な収入の人の自己負担額は9万円程度だ。前述の計算式に当てはめると、海外療養費を申請しても払い戻されるのは約43万円なので、140万円程度が持ち出しとなってしまうのだ。

こうした海外の医療事情を知ると、やはり海外旅行前には海外旅行傷害保険に加入しておきたいもの。

渡航先や本人の年齢、ふだんの健康状態にもよるが、医療費が高額なアメリカ圏に行く場合は、万一備えて治療・救援費用が「無制限」のプランだと安心だ。死亡や賠償責任などの補償がセットになった商品だと、保険料が1万円近くなるものもあるが、代理店を通じて必要な補償だけ選べるオーダーメード商品なら保険料を割安にできる。

数千円をケチって、数千万円の医療費の支払いに泣かないように、海外旅行に行く際には民間の海外旅行傷害保険の加入を検討しよう。

コメント


認証コード8916

コメントは管理者の承認後に表示されます。