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画像の説明 ワシントン発の報道によれば、国際通貨基金(IMF)は中国の人民元を国際準備通貨単位である特別引き出し権(SDR)に組み入れることを11月下旬に正式決定するという。

国内総生産(GDP)データは偽装、しかも元相場は北京当局のさじ加減次第、元の需給関係を決める金融市場はがんじがらめに規制されている。

「自由利用可能通貨」というSDR構成通貨の条件を満たさない元が、ドル、ユーロ、円、ポンド並みの国際通貨として扱われる。背景には、元を国際通貨として扱えば収益機会が広がるという国際金融資本の思惑がある。

アングロサクソン(米英)が牛耳る国際金融資本の牙城は、ニューヨーク・ウォール街とロンドン・シティである。習近平国家主席が9月下旬に米国、10月下旬に英国を訪問した最大の狙いは元のSDR通貨認定工作の総仕上げだった。

オバマ政権との間では南シナ海など中国軍の海洋進出、サイバー攻撃問題などで大きく対立したが、経済問題では従来通りの米中対話路線が確認され、元のSDR通貨認定については市場実勢を反映するように努めることを習氏が示唆し、オバマ大統領が相づちを打った。

10月6日には、ルー米財務長官が元のSDR認定について「IMFの条件が満たされれば、支持する」と表明した。同長官は3月に訪中した際には、「時期尚早」と反対していたが、豹変(ひょうへん)した。北京は対米説得に成功すれば、日本はついてくるというわけで、対日工作の手間を省いた。

米国はもともと、元のSDR認定問題は米金融資本のビジネス権益拡大のテコととらえてきた。

認定条件として、段階的な金融市場自由化と元の変動幅拡大をIMFに検討させ、北京に提示してきた。中国の株式を含む資本市場に米金融大手が参入できるようになるし、元の変動がより大きくなれば、ヘッジファンドなどの活躍の場が広がる。

「国際通貨元」が基軸通貨ドルへの挑戦となるとの見方について、ウォール街では「ユーロですら失敗したのに、元にそんな実力はない」と無視する声が圧倒的だ。むしろ、中国の金融市場や資本市場に全面的に参入できるようにするのが得策というわけだ。

実利主義では英国が先行している。アジアインフラ投資銀行(AIIB)、元のSDR化とも、先進国で先頭を切って支持を表明。習氏は訪英して約400億ポンド(約7兆4000億円)の対英投資とロンドン・シティに人民元建ての国際決済センターの特権提供を約束。

シティでの歓迎ディナーで王族らが習氏の脇で居眠りするような姿を見せたのは、実利にひれ伏すプライドの疲れだろう。

日本に必要なのは正論だ。IMFの場で堂々と元の資格に異議を述べ、認めるためには、元の自由変動相場制移行と金融・資本市場の全面自由化を要求すべきだ。

アングロサクソンに追従する財務官僚にその役割を求めるのは無理かもしれないが、安倍晋三政権の責任でもある。

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