「さーどうする」

画像の説明 中国が南シナ海で造成する人工島周辺を米駆逐艦が航行したことは、中国国内でさまざまな波紋を広げている。

主要メディアは「米国は中国と軍事的な摩擦を起こす考えはなく、ただの政治ショーだ」(環球時報)と分析し、国民に冷静な対応を呼びかけたが、保守派や軍関係者の間で「直ちに南シナ海でも防空識別圏を設置すべきだ」といった主張も台頭している。

インターネット上では「侵略者を撃沈せよ」といった強硬意見が多く飛び交っている。習近平政権が近年「中華民族の偉大なる復興」とのスローガンを掲げ、対外拡張と強兵路線を推進したことを受け国内で民族主義が高揚したことが背景にあるとみられる。

しかし、習政権は現時点で「米国と全面対決したくない」(外務省関係者)ため、官製メディアを使って強硬的な主張を抑える狙いがあるようだ。

だが一方で、南シナ海で防空識別圏を設置することについては、「むしろ今がチャンスだ」と考えている軍関係者がいるという。政府系シンクタンクに所属する米国問題専門家は「比較的温和だったオバマ政権が中国に対し過激な軍事行動をとらないと中国側がみているが、その残り任期は少なくなっている」と指摘したうえで「次の米大統領は、厳しい対中政策をとる可能性があり、オバマ政権のうちに既成事実をつくるべきだという意見が強い」と説明した。

中国は2013年11月に突然、東シナ海上空に防空識別圏を設定したと宣言し、北東アジア地域に一時軍事的な緊張をもたらした。その後、軍首脳はさまざまな場面で、南シナ海でも防空識別圏の設置について言及しており、その実現は、利権拡大を目指す軍関係者らにとって悲願といえる。しかし、防空識別圏が設置されれば、南シナ海の情勢は不安定になるのは必至だ。

保守派と軍を主な支持基盤にしている習近平政権は今後、国内世論と米国の出方を見極めながら、南シナ海の防空識別圏の設置を検討していくとみられる。

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