「囲い込み」

画像の説明 韓国の朴槿恵大統領はホワイトハウスでオバマ大統領と首脳会談を行いました。

会談後の共同声明では、北朝鮮の核・ミサイル能力の高度化に「深い憂慮」を表明し、挑発行為をした場合、には、国連安保理で追加制裁などの措置がとられると警告する一方で、米韓両国は北朝鮮と対話する用意はあるとしたようです。

共同声明で北朝鮮の核問題に言及したということは、それなりの準備をするということで合意した可能性が考えられます。まぁ、それについては、これまで韓国が嫌がっていたTHAAD配備をするかどうかが、一つのポイントになるような気がしますね。

けれども、今回、ある意味それ以上に注目を集めたのは、首脳会談直前に行われたアメリカ高官3人揃っての共同記者会見です。

これは14日、国家安全保障会議のクリテンブリンク・アジア上級部長とラッセル国務次官補、リッパート駐韓大使が行った記者会見なのですけれども、この種の会見は異例なのだそうです。

会見では、クリテンブリンク上級部長は、「我々が基本的課題と呼ぶ分野での協議を通じて、すでに確固たる協力関係をさらに強化したいと考えています」と、長距離弾道ミサイルの発射の可能性を示唆する北朝鮮への対応が主な議題になるとし、ラッセル次官補は、「特に重要なのは日本との関係だ。日韓の協力はアメリカにとって戦略的な優先事項だ」と、韓国側に対し日本との関係改善に取り組むよう釘を指す一方、朴大統領が、先月北京での軍事パレードに出席し、アメリカ国内で中国寄りに過ぎるとの声に対し、北朝鮮の核の脅威にさらされている韓国が中国の協力を引き出す機会になったとして一定の理解を示したようです。

この異例の記者会見について、朴大統領の告げ口外交をさせないように予め釘を刺しておいたのだ、という意見もあるようですけれども、それだけではなく、首脳会談で朴大統領が逃げられないように、外堀を埋めにかかったのではないかと思うんですね。

既に中国に傾斜し米中の間でコウモリ外交をする韓国にとって、どちらかの陣営に属すると宣言することはできません。安全保障はアメリカに頼り、経済は中国に頼りたい韓国は両方にいい顔をしないといけませんからね。

けれども、両方にいい顔をする"コウモリ外交"は、両方の利害が対立しない案件ではいざ知らず、そうでない対立案件でそれをやるのはとても難しい。なぜなら「板挟み」になるからです。昨今ではTHAAD配備なんかがそうですね。

このように「板挟み」状態の中で、"踏絵"を突き付けられても、果たして"コウモリ"を続けることができるのか、というと、その答えは殆ど一つしかありません。それは「先延ばし」です。

"踏絵"を踏むとも踏まないとも言わない。先延ばしにすることによって、旗幟を明らかにしない。それによって、顔を繋いでおく。そういう一手です。

中国傾斜を始めた韓国、あるいは朴大統領は、アメリカにこの手を結構使ったのではないかと思うんですね。例えば、首脳会談で慰安婦問題を長々と説明して持ち時間の大半をそれで潰してやれば、残りは時間切れで先延ばしできますからね。

けれども、アメリカとて、いつまでもそんな誤魔化しに騙される訳はありません。

韓国が余計な話で時間切れを狙っているのであれば、事前に議題を公表してしまえばいい。「こちらが提示した議題テーマを飲まないというのなら、首脳会談はキャンセルする」とまぁ、こう迫ってやれば、逃げることは出来なくなる。だから、首脳会談直前に、米高官3人による異例の記者会見をした。そう思いますね。

事前の記者会見で会談テーマを絞られ、外堀を埋められた朴大統領が、本番の首脳会談で何を言ったのかは分かりません。

けれども、ここの所、しばしば朴大統領が日韓首脳会談を口にするところを見ると、相当プレッシャーを掛けられているのではないかと思われます。

まぁ、日韓首脳会談をしたからといって、それで一気に日韓関係が改善するとは到底思えないですけれども、少なくとも韓国が慰安婦問題を棚上げしないと、話は一歩も進まないと思いますね。

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