「虚構」

画像の説明 中国が9月3日に北京で開く抗日戦争勝利70周年記念式典は、歴史の捏造(ねつぞう)に基づく虚構に満ちた行事だ。

それを主宰する習近平国家主席も、これに参加する韓国の朴槿恵大統領も欺瞞(ぎまん)的である。

中国共産党は抗日戦に正面きって参加したわけではないのに「勝利」という虚構を作り、その70周年を祝うという。しかも実際は1万2千人の兵士の行進や戦車、ミサイル、空軍による祝賀飛行などの軍事行進があるようだ。公開する武器の84%は未公開の国産武器になるという。こうなると抗日戦勝利の記念行事ではなく、軍事力を誇示するパレード(中国では公式には「閲兵式」)ではないか。

南シナ海や東シナ海で力による現状変更を進めている国の軍拡パレードに潘基文国連事務総長や朴大統領が参列するのは、きわめて不適切であり、不愉快でさえある。

韓国は日本を相手に戦ってはいない。韓国は日本の統治下にあり、朝鮮人兵士24万人は日本軍であった。その上、朴大統領の参列は、朝鮮戦争で韓国に対して戦った中国の軍隊に敬意を表することになる。韓国国民は大統領のその姿勢に満足するのだろうか。そして自国を救ってくれた米国への恩義はどこへいったのだろうか。そればかりか、大統領の参列は中国の軍拡を容認することにもなる。

韓国の対中接近のレベルについては、韓国内でも異なる認識がある。韓国人の多くは、自国が中国の影響下に入っているという説に反論する。そして「経済は中国、安全保障は米国に依存、と分けている。対米関係を弱める意図はない」(韓国語で「安米経中」)と力説する。他方、韓国のマスコミやネットの書き込みでは、朴政権が中国寄りになり過ぎることへの危惧がしばしば論じられている。

≪中国の意向に逆らえない韓国≫

韓国の輸出総額に占める対中輸出比は26・1%、輸入総額に占める比率は16・1%で、対中輸出は対米、対日を合わせた比率17・3%よりはるかに大きい(ジェトロ、2013年統計)。また国内総生産に占める貿易額の比率は81・2%ときわめて高い(グローバルノート、2014年)。

さらに韓国は政治、安全保障分野においても、中国の意向に反する行動はとれなくなっている。今回の朴大統領の抗日式典参加がその例である。同大統領は米国と中国の間にあって式典参加には苦慮したと伝えられるが、それでも結局、米国の警告を退け、習国家主席の強い誘いに乗ってしまった。

米国が韓国に「サード」高高度防衛ミサイルを導入しようとしたときも、中国はそれが自国にも向けられることを理由に導入に強く反対し、韓国は結局、中国の意向に沿った。韓国は去る3月にも、米国の反対を押し切って中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加した。

昨年11月に北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に、習国家主席が愛想の悪い顔をしながらも安倍晋三首相と25分も話し合ったことは、韓国にはショックであったといわれる。

去る6月の日韓国交正常化50周年記念の折には朴大統領は歴史認識と政治・外交とを離して協議する姿勢を見せ、日韓関係改善の兆しが見えた。また8月14日の「安倍談話」に対しても韓国も中国も抑制した反応を示した。

にも拘(かかわ)らず、9月2日に朴大統領は習国家主席と首脳会談を行い、4日には上海で、戦前の1919年に樹立された「大韓民国臨時政府」の跡地にある記念館での、中韓合同抗日記念式典に臨むとのことである。

≪崩れるパワーバランス≫

東アジアの安全保障を考える際、韓国は米国、ロシア、日本などとの関係を維持し、大国間のバランスを取ろうとするであろうが、長期的には中国の影響下に入ると想定すべきである。韓国は米国と中国の両方に「いい顔」を見せながら、中国への依存度を決定的に深めていきそうだ。

8月20日、非武装地帯を挟んで南北間の軍事的緊張が高まり、これを回避するため開かれた南北協議が25日に北朝鮮側の譲歩で決着した。朴大統領の強硬姿勢が奏功したことになっているが、その背後には中国の北への圧力と南への保証があったと見るべきである。

他方、北朝鮮の体制崩壊を懸念する中国が、中朝国境に人民解放軍を集結させて、住民の中国側脱出阻止に備えているといわれる。

中国と韓国は「協商」ないし「準同盟」に近付いているようだ。中国は韓国主導の半島統一を促すことになりそうだ。南北の軍事的衝突には在韓米軍が韓国軍と共闘して対処するとしても、朝鮮半島が韓国主導で統一に向かえば、中韓は米軍の韓国撤退を促すだろう。そうなれば朝鮮半島は中国の影響下に入ってしまう。

韓国は日米韓安保協力に熱意を示さず、南シナ海の中国の覇権的行動も一切批判しない。そうした中韓の間に日米が効果的にくさびを打ち込むのでなければ、北東アジアのパワーバランスを不利にしてしまうだろう。

韓国はどうして独立国になれないのだろう・・・・
日清戦争前の札報告に逆戻りしたいのだろう・・・・

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