「どうなるのやら」

画像の説明 揺らぐ中国の経済成長 影響力拡大の陰で定まらぬ人民元の「実力」

メガバンクのある幹部は今春、中国企業と取引する日本の中小・零細企業の動向に耳を疑った。

中国の製造委託先に自ら人民元建て決済を持ちかけているというのだ。「にわかには信じられなかった」(幹部)が、実際、日中間の貿易決済では従来のドル建て中心から徐々に人民元建てへのシフトが進んできた。背景には、「元建ての方が日本側に有利」という“珍現象”がある。

人民元建て決済を使いたがる“珍現象”

日用雑貨や玩具などを製造・販売する中小・零細企業の多くは、海外に工場を移す体力はなく、生産コストを抑制しようと人件費の安い中国の加工会社に製造を委託し、外貨として使いやすいドル建てか、円建てで決済していた。

ところが人民元の価値はこの10年で、円など主要通貨に対して約3割も上昇した。このため、中国側は日本企業との取引で受け取った「ドルや円を人民元に両替すると目減りしてしまう」として、製造受託費を年々値上げ。日本側は「適正価格に戻してほしい」と繰り返してきたが受け入れられず、“苦肉の策”として人民元建て決済を逆提案したとみられる。

「人民元は今後2年以内に日本円を追い抜いて米ドル、ユーロ、英ポンドに次ぐ第4の国際通貨になる可能性がある」。

中国人民大学の学長で著名な経済学者の陳雨露氏は、同大学が主要通貨の貿易や金融取引、外貨準備高における比率や影響力を2014年末段階で調べ、独自に「通貨の国際化指数」を算出した結果に基づき、こう“予言”した。この国際化指数で米ドルは55.24、ユーロ25.32、英ポンド4.94。これに続く日本円は3.82だが、人民元は2.47と迫る。

中国人民銀行(中央銀行)の幹部の一人は、「人民元の国際化による中国の利益は大きく分けて2点ある」と話す。

輸出拡大と対外進出を急ぐ中国企業にとって、貿易面などで人民元がそのまま使えることは、為替変動リスクの低減につながる。さらに、ドルのように人民元を使う国が増えれば増えるほど、貿易や金融のルール策定など国際社会で中国の発言力が高まることだ。

習近平政権は、中国を起点に中央アジアや東南アジアを経由して内陸と沿岸から欧州に向かう経済圏を構築する新シルクロード(一帯一路)構想を打ち出している。その資金源ともなる国際金融機関アジアインフラ投資銀行(AIIB)について、市場関係者は、将来的に人民元建て融資が行われる可能性があると指摘する。

減速感強まる中国経済

ただ、人民元国際化の推進力である中国の経済成長は減速の色が濃い。国家統計局が15日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、物価の上昇分を除いた実質で前年同期に比べて7.0%増。1~3月期から横ばいで、リーマン・ショック直後以来の低い水準で推移している。

GDPの公表を受けた15日の上海株式市場は、政府の株価維持策にもかかわらず、代表的な上海総合指数の終値が前日比約3%安と下落した。投資家の間には成長率が7%を下回るとの事前予想も多かっただけに当局がデータを操作したとの疑念までくすぶる。

経済同友会の小林喜光代表幹事も28日の会見で、「電機などのモノづくりと輸出については、(7%成長の)レベルには達しておらず、変調している可能性もある」と述べ、数値よりも実体経済は悪化しているとみる。

人件費の上昇や人民元高で「世界の工場」からの脱皮を迫られる中、過剰設備や不動産バブルなどの構造問題を抱えたまま、金融自由化を加速させれば、中国経済は海外への資本流出を招く恐れもある。

「経済が低迷すれば通貨の信認は下がり、その通貨は受け取られにくくなる」。国際金融情報センターの加藤隆俊理事長はこう金融資本取引の原則を説く。

習近平政権が目指す「新常態(ニューノーマル)」の安定成長の行方とともに、人民元の実力はまだ定まっていない。

習近平体制もいつまで持つのか?
内乱が起きれば瞬間に外圧で終わりだね。・・・

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