「実現ない」

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「大風呂敷広げても、結局続かないのが中国」 南米バラマキ歴訪の李首相に地元酷評

南米をバラマキ行脚した中国の李克強首相
南米大陸横断鉄道「実現ない」

南米諸国を歴訪した中国の李克強首相に、地元メディアなどから警戒感をかきたてる声が上がっている。大盤振る舞いの末、熱烈に売り込んだブラジルとペルーを結ぶ南米大陸横断鉄道についても、「計画が完成するチャンスはまったくない」(運輸関係の専門家)と酷評される始末だ。軍事的拡張を進めて警戒されているアジアに続き、南米でも覇権を強めようとする姿勢が不信感を増幅させているようだ。

李氏は18日から26日にかけて、ブラジル、コロンビア、ペルー、チリを歴訪した。最初の訪問国ブラジルで、いきなり総額530億ドル(約6兆4000億円)もの巨額投資をブチ上げるなど、各国とインフラ設備の強化などで合意した。

経済低迷に悩まされているブラジルでは、「李氏は(政府などから)救世主のように迎えられた」(エスタド・ジ・サンパウロ紙)と持ち上げられたが、実際には歓迎の声ばかりではない。

なかでも地元メディアなどが痛烈に批判したのが、中国肝いりプロジェクトの1つである南米大陸横断鉄道の建設だ。大西洋沿岸のブラジルと太平洋沿岸のペルーを結び、総延長は約5300キロに及ぶとされる。今回の李氏歴訪で、中国とブラジル、ペルーの3国が実現性に向けて検討に入ることで合意した。

ところが、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(25日付)にコメントを寄せた現地の運輸専門家は「実現可能性のない古いアイデア」と指摘し、「完成には130億ドル(約1兆5000億円)の投資が必要なのに、現在の航路から2000キロしか短縮できない。単なる政治的な問題だ」と斬り捨てた。中国の国営企業による現地雇用が期待できないことも危惧した。

また、中国との取引に詳しいブラジルの専門家も同紙に、「政治的な投資には警戒しなければならない。(李氏が)表明したいくつかの施策はすでに発表されたものがあるが、実現していない」と語っている。

今回の歴訪では、狂牛病汚染で2012年に輸入が禁止されたブラジル産牛肉の解除措置も盛り込まれたが、これは中国の習近平国家主席が昨年夏の南米歴訪で表明した施策の1つだ。いっこうに事態が改善せず、ブラジルの畜産業者は不安や不満を募らせているという。

前出のエスタド紙は「中国は同盟国なのか? ライバルなのか? ブラジルに投資すると同時に市場を奪っている。(中国の投資や協力を)不信感を持って見なければならない」とクギを刺すことを忘れなかった。

中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「大風呂敷を広げても、結局続かないのが中国だ。その実例は世界中にあり、中国の不評は、南米に周回遅れで伝わった」といい、こう続けた。

影響力の強化と鉱物資源の獲得狙い

「中国の狙いは、『米国の裏庭』と呼ばれる中南米やカリブ海諸国での影響力を強めることと、豊富な鉱物資源を獲得することだ。中国が進めてきた南米での鉱物資源開発は、中国経済の不調や資源価格の下落で、輸出量が激減している。南米では中国への不満が募っており、李氏がなだめ役として新しい投資の話を持っていったのだろう」

巨大プロジェクトに見え隠れする中国の政治的工作に、各国は神経をとがらせているようだ。

中国もそんなに急いでどうするのかね・・・

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