2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「中国投資銀行」
世界57か国が参加すると騒いでいるが「世界を牛耳る3大シンジケートの日米」が参加表明しないので3月31日締め切った参加申し込みにかかわらず、日本に副総裁ポストを用意するとか裏で参加を求めるやら、この先はどうなるのかね・・・・資金のない国ばかりで?
世界銀行、アジア開銀などの国際金融機関は主として国際金融市場で債券を発行して調達した資金を融資する。
その場合、各国政府および政府機関が債務返済保証をする。国際金融機関はメンバー国の政府が共同出資しているという信用があり、貸出先は政府が保証するのだから、国際金融機関が発行する債券はトリプルAの格付けが与えられる。
AIIBは当然、世銀やアジア開銀並みの格付けを狙うわけだが、ちょっと待てよ。
そもそも、中国主導で年間7500億ドルの資金を市場から調達できるのか。
国際債務証券純発行額
国際決済銀行(BIS)が最近まとめた国際金融市場での債券による資金調達である国際債務証券発行額を調べてみた結果がグラフである。13年は全世界で5130億ドル、14年は6740億ドルで、7500億ドルは最近の国際債券市場の規模を上回ることになる。このうち、世銀、アジア開銀など国際金融機関の調達分は13年1140億ドル、14年1387億ドルである。
アジアのインフラ資金需要に対し、供給能力が追いつかないとなると、市場需給の原理が働き、金利を高くするなど、よほど好条件で投資家を引きつけないことには資金調達できない。資金調達コストが上がれば、借り入れ国もたまったものではない。
7500億ドルと言わないまでも、AIIBが1000億ドル程度の資金を調達するだけでも、市場で消化できそうにない。これでは文字通り絵に描いた餅ではないか。
中国の国際市場での債券発行額は増加の一途で、途上国全体の5割近いシェア(14年)を占め、国際金融機関の発行額を上回っている。
北京が4兆ドル近い外貨準備をどんどん取り崩してAIIB資金の原資とするなら、立派だね、とほめてよい。だが、あの利にさとく不正蓄財にばかり走る党幹部が気前よいと信じるのは、不勉強な日本の親中メディアくらいだろう。
実際には、資金流出のために外貨準備は減る一方で、海外からの借金で穴埋めするのに汲々(きゅうきゅう)としている。
BIS統計では、中国は銀行融資で年間2700億ドル(昨年9月末)、債券で1656億ドル、合計で4300億ドルも借り入れているのだ。
言い換えると、中国はAIIBの看板を掲げて世界を巻き込む形で、資金を自国のために調達し、行き詰まった経済成長モデルを立て直そうと狙っているのが真相だろう。
中国や国際金融のイロハもわからずに、「AIIBに乗り損ねた日本は孤立する」と騒ぎ立てるメディアや政治家が多いのには、うんざりさせられる。
日本は毅然とすればよいのであり、乗り遅れると騒ぐ連中は勉強不足だね・・・・
日米が最後まで「火傷」しない体制ができるまで冷静に観察する必要がある。
中国の狙いは国際通貨に「元」を採用させ、必要なだけ印刷すれば済むという1944年のブレトンウッズ体制の真似事を再現する戦略だ・・