富豪は長生きできない国

画像の説明 中国人富豪の平均寿命「48歳」 死刑、他殺、“政商”の超ハイリスク

2008年3月31日、北京五輪を前にギリシャから北京空港に到着した聖火(中央)を出迎えた、党政治局常務委員時代の周永康氏(中央左)。権勢をほしいままにした周氏だが、その失脚に「連座」する形で9日、四川省の大富豪ら5人に死刑が執行された

昨年失脚した中国共産党の周永康・前政治局常務委員(72)の腹心で、殺人罪などに問われ死刑判決を受けた四川省の大手企業、漢竜グループの劉漢会長(49)に9日、刑が執行された。証券、不動産、鉱業など多分野に進出し、一大財閥を築いた劉氏の総資産は400億元(約7700億円)に達したこともあり、逮捕されるまでは中国を代表する大富豪の1人だった。

周氏の腹心に死刑執行
死刑執行される前、劉氏は中国メディアの取材に応じ「私の野心が大きすぎた」などと反省の言葉を口にしたという。判決などによれば、劉氏は1993~2013年まで、商売上の競争相手の殺害など5件の殺人事件を含め、武器密輸、不法経営など多くの犯罪に関わったという。長年警察に逮捕されずにいられたのは、ビジネスパートナーの周浜氏(43)の父親、周永康氏に守られたためである。

中国ではビジネスを展開するのに、政治家と密接な関係をつくらなければ何もできないといわれる。反対に大物政治家を後ろ盾にすれば、許認可や融資などが容易に得られ、違法行為に及んでも警察に逮捕される心配すらない。しかし、後ろ盾の政治家が失脚すれば、間違いなく連座して粛清される。

欧米や日本では財界人の犯罪といえば、贈賄や脱税などが多く、刑事責任を問われても刑務所暮らし数年程度で済む場合がほとんどだ。しかし、中国では命まで取られる。9日は劉氏とともに、一緒に企業経営をしていた弟の劉維氏(45)と、漢竜グループ幹部3人の計5人の死刑が執行された。テレビカメラの前に泣き崩れる劉氏の母親の姿が痛々しかった。

「後ろ盾」と一蓮托生
劉漢氏の名前が最初に中国メディアに登場したのは1995年2月だった。当時、上海証券取引所の相場師だった劉氏は、他の3人の若手相場師、袁宝●(=王へんに景)氏、魏東氏、周正毅氏と連携して、「327国債」という金融商品の先物の値段をつり上げてから売り抜け、巨大な利益を手にした。のちに「327国債事件」と呼ばれ、中国の証券史に残る事件となった。

その後、4人はそれぞれ四川、上海、北京、遼寧を拠点に起業し、全員がビジネスで成功を治めた。

しかし、袁宝●(=王へんに景)氏は元部下を殺害したとして殺人罪に問われ、本人は無罪を主張し続けたが、2006年3月に死刑が執行された。「袁氏は商売のライバルにはめられた」と、事件を取材した中国人記者は主張する。

周正毅氏は07年11月、権力闘争に敗れた上海市の陳良宇書記の失脚にあわせて不法経営の罪を問われで懲役16年の判決を受け、今は獄中にいる。魏東氏は08年4月に北京の高層マンションから飛び降りて自殺した。原因は不明だが、“政商癒着”の秘密を知りすぎて口封じのために殺されたとの噂がある。

平均死亡年齢は48歳
このように、中国の富豪たちの人生はハイリスクだ。英国系調査会社「フージワーフ」が定期的に中国の富豪ランキングを発表しているが、米国の長者番付けではビル・ゲイツ氏(59)が20年以上も首位をキープしているのに対し、中国の場合は毎年のようにトップが入れ替わっている。

14年のトップだった馬雲(ジャック・マー)氏(50)はIT関連企業グループ「アリババ」の経営者だが、トップになる富豪が経営する企業の業種はそれまで、不動産、飲料水、自動車、家電量販店などと、毎年のように目まぐるしく変化している。

それぞれの企業の後ろ盾になっている政治家の引退などとも関係しており、中国政府が重要視している産業がよく変化し、政策調整が頻繁に行われていることも大きな理由といわれる。ちなみに08年の長者番付でトップになった国美電器の創業者、黄光裕氏(45)はその直後に株のインサイダー取引容疑で逮捕され、懲役14年の判決を受けた。

少し古いデータになるが、中国メディアの調べによれば、03年から11年の間に、中国で72人の大富豪が死亡した。15人が他殺、17人が自殺、7人が事故、14人が死刑、19人が病気となっている。平均死亡年齢は48歳で、中国人の平均寿命より20歳以上も若い。

中国の富豪の半数以上が海外移住を希望しているとの調査結果もある。希望する国は米国がトップで40%、続いてカナダが37%と北米が多い。自分自身が生まれ育ち、しかもビジネスで成功した土地を離れたい最大の理由は、政治の不安定さであろう。

今も昔もなんら変わらぬ権力というもののを追いかけている。
戦国時代そのままの戦いで負ければ命を取られ、勝てば官軍だと猛烈な蓄財に励む姿を見ると、これはもう永遠の殺し合いであり民主化できる国ではない。

15日からの全人代で何を飾っても国内安定は無理だ。
どこに向かって船出するのか?。

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