日銀の正体

画像の説明 日銀は、金融政策を決定しています。

実施する機関で金融政策とは、物価や通貨価値の安定の他に、景気対策の一環として金融引き締めや金融緩和を行うことです。金融引き締めは、金利を上げたり通貨供給量(世の中に出回るお金の量)を減らして、経済活動を抑制することです。金融緩和は金融引き締めとは逆に、金利を引き下げることや通貨供給量を増やして、経済活動を活発にすることです。

金融政策の目的は、信用秩序の維持とマクロ経済の安定です。

信用秩序の維持は、金融取引が確実に実行されることで、金融システム全体が有効に機能している状態です。国の中央銀行は、銀行にお金を貸し付ける「銀行の銀行」の役割や、一時的に資金不足に陥った金融機関に対して資金の供給を行うという役割を持っています。

マクロ経済の安定は、物価の安定と雇用の維持の2つに分けられます。したがって、日銀のような国の中央銀行の役割は、雇用を拡大化させることも含んでいることがあります。しかし、雇用を拡大させることを役割として担っていないことが、日銀の問題として取り上げられることがあります。

物価の安定についても、インフレにならないことばかりに注意を払い、デフレを問題視しなかったことで、日銀は国内外から多くの非難を浴びていました。現在の黒田総裁になってから、デフレ脱却に向けた金融政策を行うようになりましたが、日銀内にはいまだにデフレを容認する声が少なくありません。

日銀がインフレを怖がり、デフレを容認するのには理由があります。列島改造ブームで地価が急騰し、更に第一次オイルショックにより物価が急騰してインフレになりました。1974年は、消費者物価指数(CPI)が23%上昇しました。

日銀はオイルショック前に過剰な金融緩和をしており、物価が上昇し始めても金融引き締めに転換するのが遅れました。当時の物価急騰は様々な要因があり、日銀の金融政策だけが原因ではなかったのですが、日銀批判が起こりました。

批判されたことがトラウマになったのか、これ以後の日銀はインフレになるのを異常に嫌うようになりました。そして、物価上昇をゼロに保つことに拘るようになり、物価がマイナスになる状態を歓迎するようになりました。

日銀の金融政策を決めるのは、金融政策決定会合と呼ばれている日銀総裁・副総裁・政策審議委員など9人の政策委員で構成されるものです。

金融政策決定会合は非常に不透明なものであり、議事録は10年経過しないと公表されません。政策委員は、一度任命されてしまえば、誤った政策をしても内閣や国会から罷免されることがありません。 非常に重大な役割を担っていますが、責任を取ることがほとんどないというか、どのような議論がされているかほとんど公開されないので、責任を問われることがめったにありません。

よくテレビや新聞で「中央銀行の独立性」ということを耳にすると思います。この独立性は「手段の独立」であって、政府や国会の意志から 独立するということではありません。あくまでも中央銀行は、政府や国会の意向に従わなければならず、「政策目標の独立性」については認められていません。

つまり、政府が「金融緩和をして物価を2%上げる」という目標を掲げたら、そのことに中央銀行は従う必要があります。但し、どのようにして物価を2%上げるのかという「手段」については、中央銀行に任されます。

しかし、1998年4月から施行された現行の日銀法には、「政策目標の独立性」と「手段の独立性」の区分けがなく、「政策目標」についても政府に従わずに独自に判断して決めることができるようになってしまっています。このようなザル法である現在の日銀法は、早く改正するべきでしょう。

リーマンショックの後、各国が景気回復していく中、日本だけ回復が遅れました。日本の金融機関は、バブル崩壊の教訓からかリーマンショックの時の損失は欧米各国に比べて小さかったのにもかかわらず、日銀の金融緩和が他国に比べて十分ではなかったからです。

それなのに、日銀が十分に金融緩和しているように見える資料を作って、マスコミの幹部に説明をして回り、日銀の金融政策に対する批判が起こらないように工作していました。

経済音痴のマスコミ(「日経新聞の記者は経済学を知らない?」 )は簡単に騙せますが、経済学者は同じ手口では騙すことができません。そこで、経済学者を封じ込めるために、日銀は政策審議委員のポストをチラつかせます。経済学者の中には、政策審議委員になって箔を付けたいと考えている人が 少なくないので、日銀への批判を抑えるようになります。

日銀の官僚が何よりも重視するのは、日本の国益ではなく日銀という組織を守ることです。したがって、最も嫌がることは日銀の政策の誤りを指摘されることです。1970年代前半の狂乱物価で日銀批判が巻き起こったことは、相当堪えているようです。

過去の日銀の金融政策の誤りを指摘されると、事実に反する嘘を平気で述べて反論します。「金融政策では物価を完全にコントロールできない」「金融政策だけではデフレを脱せない」など、デフレやインフレに対する金融政策の効力を否定するようなことを言っていました。こんなことを主張する中央銀行は、世界中で日銀だけです。

一度嘘をつくと、それを正当化するために再び嘘をついたり、話をすり替えたり屁理屈ばかり言うことになってしまいます。

以下のことは、日銀の主張していたことです。

①大規模な金融緩和策を行えば、インフレ率が高率になる

2013年から大胆な金融緩和を行っていますが、インフレ率が高率になる気配は全くありません。

②日本ではもう金融緩和の手段がなく、景気回復策としては無効(日銀が金融緩和を実施する前に盛んに主張していました)

日銀総裁に黒田氏が就任して金融緩和(資金供給量残高を増加)を行ったら、急速に景気が回復に向かいました。

③金融緩和を行うと国債の長期金利が高騰し、国の借金返済の利払い費が高騰し、財政赤字が更に悪化する

日銀が金融緩和を行いましたが、国債の長期金利は高騰するどころか逆に低下しています。

10年国債金利推移
④国債価格が暴落する結果、金融機関は巨額の評価損を被り、1990年代のバブル崩壊後の不況が再来する

金融機関が大量の国債を保有しているのは事実ですが、金融緩和後の国債価格は暴落するどころか上昇しています。

財務省の嘘だけでなく、くれぐれも日銀の嘘にも騙されないようにしてください。日銀の広報紙と化しているマスコミも、日銀の嘘を広める努力をしていますので注意してください。

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