日本国債のCDS保証料率は上がっている

画像の説明 国債信用力の指標、悪化 消費増税延期、保証料率が上昇

日本国債の信用力を示す指標の一つが悪化している。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる金融派生商品の保証料率だ。安倍晋三首相が消費増税の先送りを決めたことで、政府がきちんと借金を返済する意思があるのか、投資家の間にも悪影響を心配する声が少なからずあるからだ。

CDSの取引をする投資家の間で、国の財政が破綻(はたん)するリスクが高まったとみられれば、保証料率は上がる。日本国債の場合、消費増税の延期論が取りざたされ始めた9月から上昇。30ベーシスポイント(bp、1bpは0・01%)近くだった5年物の保証料率は、衆院の解散・総選挙の観測が出始めた11月10日ごろから上げ足を速め、11月下旬には一時60bp台まで上がった。同時期の米独の国債の保証料率はほぼ横ばいで、日本国債が際立つ。

今年4月の消費増税ができるかが話題になった昨夏は、80bp台後半になった。このときに比べれば水準は低いが、最近の急上昇は、市場の財政再建に対する懸念を反映している。

ところが、国債そのものを取引する市場では国債価格は高く、金利は低位安定している。長期金利の指標となる満期10年の国債の流通利回りは27日、前日より0・015%幅低下(国債価格は上昇)し、年0・420%と、1年8カ月ぶりの低水準で取引を終えた。日銀が大量に国債を買い込んで金利を低く抑え込んでいるため、投資家が国債の信用に不安を抱いても、金利上昇という形では表れにくくなっている。

政府が財政再建への姿勢を後退させれば、日銀が国債を大量に買い込む行為が財政の穴埋めとみられかねない。国債の信用力が落ちて買い手が減り、金利が上がるおそれがないとは言えない。ある財務省幹部は、消費増税の延期が表明された後、外国の投資家から「政府と日銀は同じ方向を向いているのか」と尋ねられるようになったという。

みずほ総合研究所の高田創氏は「消費税率引き上げを2017年4月まで延期しても、安倍政権にとって財政問題はアキレス腱(けん)として残る。そのときまで、財政規律を守るという強いメッセージが不可欠だ」と話す。

◆キーワード

 <クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)> 国や会社などが破綻(はたん)するリスクを取引する金融派生商品。国債などの投資家はあらかじめ保証料を払い、実際に破綻すれば補償を受け取れる保険のような役割だ。取引市場で破綻の確率が上がったとみなされれば、保証料率は上がる。財政が行き詰まったギリシャでは2012年、国債のCDSを契約していた投資家にお金が支払われた。

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