アジア家電、

画像の説明 現地仕様 インドネシア、洗濯板つき洗濯機 インド、冷蔵庫に鍵

アジアで売れ筋の家電は、日本とは一味も二味も違う。いまも現役の2槽式洗濯機にはなぜか洗濯板がついていて、冷蔵庫は鍵つきが標準の国も。おいしい成長市場では最近、韓国メーカーが幅をきかせているが、日本勢も国柄や生活習慣に合わせた商品で巻き返しを図る。

人口約2・5億人を抱えて成長が続くインドネシアでは、多くの家庭が2槽式洗濯機を使う。年中暑く、時折見舞うスコール。晴天なら脱水なしでも服が乾くし、突然の雨でぬれたら脱水だけして干せば事足りるためだ。

中でも風変わりなのが、パナソニックが約3年前に売り出した洗濯板つき洗濯機だ。現地メーカーよりやや高い約130万ルピア(約1万3千円)だが、ヒットしている。洗濯物を入れる天板に凸凹があって、こすり洗いできる。「地元の人たちは、洗濯機があるのに洗濯板でも念入りにこする習慣がある」(広報)のをヒントにした。

シャープが1月からインドネシアで販売している32型の液晶テレビは、外観が特徴的。テレビの前面下部に、ぼてっとした円筒形のスピーカーがつく。まるで1990年代に日本で流行したラジカセのような見た目だ。「迫力ある低音を楽しみたいという消費者ニーズに着目した」(広報)という。

こうした現地向けの家電が増えているのは、アジアで多額の広告宣伝費と販促費をつぎ込んでシェアを高めている韓国メーカーの存在があるからだ。

英調査会社ユーロモニターによると昨年、インドネシアやタイなど東南アジアの主要6カ国中、4カ国で洗濯機(販売台数)のシェアトップはサムスン電子かLG電子。パナソニックやシャープも上位ながら押され気味だ。冷蔵庫やエアコンでも韓国勢のシェアが拡大傾向にある。

このため、一層の「現地化」で差別化を図る動きが進む。冷蔵庫が典型的だ。インドでは食品を家事手伝い人に盗まれないよう鍵つきが標準、タイではピンクや青の派手な冷蔵庫が好み、地域によって停電が多いインドネシアでは蓄冷材入りが当たり前……。国や地域事情によって人気商品はがらりと変わる。

ただ、一般消費者向けの家電ビジネスは、価格競争に巻き込まれやすい。東芝や三菱電機など、家電事業の比重が割と低めのほかの日本勢は、日本向けと同じ省エネなどを売りにした高付加価値商品に力を入れる戦略を続ける。

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