米不法移民、500万人救済へ 

画像の説明 大統領令 共和党「暴挙」と批判

オバマ米大統領は19日、国内に約1100万人いるとされる不法移民の一部を大統領令で救済する移民制度改革を、20日に公表すると発表した。米メディアによると、議会の法改正を待たずに、不法滞在している最大500万人の居留を暫定的に認める方針という。移民受け入れ拡大に慎重な共和党は、「国民を無視した暴挙だ」などと反発を強めている。

オバマ氏はビデオメッセージで、「米国の移民制度が崩壊しているのは、だれもが認めている」などと強調。議会による法改正の取り組みが進まず、これ以上待っても期待できないとして、大統領の権限で行政当局に指示を出し、改革を進める方針を明らかにした。オバマ氏は2012年にも、一部移民の強制送還を2年間免除する措置を発令しているが、数百万人を対象にした大規模な措置は歴代大統領でも珍しい。

ワシントン・ポストなどによると、入国後に出産するなどして米国籍の子どもを持つようになった親や、幼いうちに入国して米国で育った人など、一定の条件を満たす最大500万人を強制送還の対象から一時的に外し、米国に引き続き滞在できるようにする。

大統領令は、憲法や法令の範囲内で大統領が直接、政府機関に政策を指示できる制度。野党が下院で多数派を占め、重要法案などが成立しないためオバマ氏は大統領令を多用している。

米国では、メキシコなどからの不法移民が多く、単純労働などを担うことで米経済を支える一方、不法滞在が発覚して年間40万人以上が強制送還させられている。家族が引き裂かれる例もあり、たびたび社会問題になってきた。

オバマ氏は、就任1期目から制度改革を公約に掲げ、議会に法改正を呼びかけてきた。13年6月に超党派の改正案が上院を通過したが、共和党が多数を占める下院で審議がストップ。オバマ氏は年内にも大統領令を発令し、制度改正に乗り出す意向を示していた。

一方、議会では、今月上旬の中間選挙で共和党が大勝。来年から上下両院で多数派を占めることになり、オバマ政権への攻勢を強めている。共和党内には、政府機関の閉鎖につながる歳出法案などを「人質」に、オバマ氏に方針転換を迫るべきだとする強硬論も出ている。

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