事態は深刻!?

画像の説明 事態は深刻!? 地球温暖化が予想以上の速さで進行中!

温室効果ガスによって引き起こされるという地球温暖化、その存在を疑う声もあるが、気温の上昇が起きていることは確かだ。そして、われわれが思っているよりも、その状況は深刻かもしれない。というのも、今まで南半球の海水温の観測が不正確だったため、温暖化の状況を過小評価していたようなのだ。

■南半球の海水温は推測値よりも2倍以上高温に

今月初旬、科学誌「Nature Climate Change」に掲載された研究によると、南半球の海の直接観測と衛星から得られたデータや気候モデルとの比較から、今までの試算より2倍以上、われわれが排出した温室効果ガス中の熱を海洋が吸収していた可能性があるという。これはすなわち、温暖化の進行を大きく見誤っていたことを意味する。

アメリカのローレンス・リバモア国立研究所に所属するポール・デューラック博士らの研究班は、海水温の直接観測の結果と推測値を、気候の長期的・量的シミュレーションである気候モデルの結果と比較した。すると、3つそれぞれの数値は、北半球の海水温の上昇について一致した一方で、南半球については異なる数値を示した。

この結果から研究班は、南半球では直接観測の機会が限られていた事実に鑑み、南半球の海水温は1970年以降、推測値よりも2倍以上上昇していたと試算した。つまり地球の海は、今まで試算されていたよりも24~58%ほど、多くの熱エネルギーを大気から吸収していたということだ。

これがなぜ大きな問題となるのか。実は、海は大気中の温室効果ガスによって蓄えられた熱の9割以上を吸収している。その海が、想定よりも多くの熱を吸熱していたとなれば、その分、温暖化を見逃していたことになる。今回の研究は、その規模を算出する初めての試みだったのだ。

■温暖化が予想以上の速さで進んでいる

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のウェンジュイ・ツァイ博士は、この結果が、温暖化が予想以上の速さで進んでいることを示していると語る。博士は、「(この研究の範囲である)1970年から2003年の期間においては、富裕国の多い北半球ではよく観測が行われて、サンプルが豊富であったが、南半球では直接観測がわずかしか行われなかった。試算が間違っていても不思議でもない」と話す一方で、「それにしても規模が大きい」と事態の深刻さに頭を悩ませている。

論文の論評文においては、アメリカ海洋大気局のグレゴリー・ジョンソン博士とジョン・ライマン博士が、「地球の温暖化は、すなわち海洋の温暖化だ」と述べている。海洋の温暖化の速度がどれほどで、どこで起きているのかを観測することは、大気がどれほどの速さで温暖化するかを理解するために、必要不可欠なものだというわけだ。

不備のあった海水温の観測体制であるが、2000年頃からは各国によって世界中にアグロ(Agro)と呼ばれる観測ブイが浮かべられており、より信頼性のあるデータが得られているようだ。

海洋の温暖化は、海水の膨張を伴うため、海水位も上がる。海水温は気温と比べて変化しにくいものの、その影響は長く続くため、長期にわたってわれわれの生活に影響を及ぼす可能性がある。その点からも、海水温の変化について、引き続きしっかりとモニタリングすることが必要となりそうだ。

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