原電負担の市道建設停止

画像の説明 寄付、原発止まり中断へ 敦賀市

原発停止で経営が悪化した日本原子力発電(東京)は、敦賀原発のある福井県敦賀市に対し、2009年度から続けてきた寄付を15年度以降中断すると通告した。市への取材で分かった。

市は同社の寄付金で市道建設を進めてきたが、市費で穴埋めすることもかなわず、市道は当初計画の3分の1程度しか完成しないまま宙に浮くことになる。原発マネーを活用してきた街が岐路に立っている。

この市道は西浦1、2号線。敦賀原発がある敦賀半島先端部と市中心部を結ぶ県道のバイパスとして計画され、08年度に建設が始まった。当初計画の総延長は3・8キロある。バイパスは半島先端部付近で暮らす人々の長年の悲願だ。そこに敦賀原発3、4号機の増設計画が持ち上がり、曲折の末、市は02年に同意した。

一方で、市道路河川課によるとこの頃、市が日本原電に依頼し、全額同社負担による西浦1、2号線の整備に両者が合意。地元県議は「3、4号機受け入れの見返りだった」と明かす。

同課によると、全額負担の合意文書は作らなかった。担当者は「お互いの信頼関係で、年ごとに工事費を協議する決まりだった」と言う。総事業費は60億円規模を見込んでいた。

ところが、東京電力福島第一原発事故が状況を変えた。所有する原発全3基が止まった日本原電は、経営が悪化。市に寄付を続けることに批判も出た。

市総務課によると、日本原電は13年から市と断続的に協議。13年度までの寄付金計19億8千万円に加え、14年度は負担金5億8千万円を出すが、15年度以降は支払いをやめると市に伝えた。市は14年2月にまとめた中期財政計画で、西浦1、2号線事業を「15年以降一時中断」と記した。

14年度までの完成予定はトンネルとその周辺のみ。市は15年春にトンネルの供用を始める予定だが、使えるのは延長1・2キロと計画の3分の1以下だ。市の財政も楽ではなく、河瀬一治市長は「市が残る事業費を負担することはない」。

原発に批判的な立場の今大地(こんだいじ)晴美市議は「廃炉が現実に近づくなか、原発マネーに頼らない仕組みを一から作り出す時期に来ている」と話す。

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