和解金4兆円

画像の説明 リーマン危機元凶、

遠い解明 米住宅ローン証券、和解金4兆円 経営陣個人は追及せず

米金融大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)から今月15日で6年が過ぎた。危機の引き金となった住宅ローン関連商品の不正販売をめぐり、米司法省は米銀大手3行と約366億ドル(約4兆円)に上る和解金で合意し、責任追及は山場を越えた。だが、経営者個人の責任は問われず、不正の実態がわからないことへの不満は根強い。

「米国市民を金融詐欺から守るための歴史的な一歩だ」。バンク・オブ・アメリカとの和解についての先月の記者会見で、ホルダー司法長官は胸を張った。

和解では、同行が2008年までの数年間、「サブプライムローン」(低所得者向けの住宅ローン)を組み込んだ住宅ローン担保証券(MBS)について、高リスクで欠陥があると知りながら、投資家に十分説明せずに販売したことなどを銀行側が認めた。罰金など166億ドル(約1兆8千億円)を支払う内容で、一つの企業が米当局に支払う和解金として過去最高額となった。

MBSの不正販売をめぐっては、司法省は7月にもシティグループと70億ドル(約8千億円)、昨年にはJPモルガン・チェースと130億ドル(約1兆4千億円)の支払いを伴う和解で合意した。危機後に集約された6大金融機関のうち、まずは問題の大きい3行が対象になったとみられる。

米当局が巨額の和解金を求めた背景には、米国民の金融機関に対する不信感がある。民主党系の調査会社の6月の調査では、回答者の6割が、金融機関へのより厳しい規制を支持した。

責任追及は進んだものの批判は収まりそうにない。経営陣個人の刑事責任が追及されていないからだ。

「普通の街では、100ドルを盗んだらおそらく刑務所に行く。ウォール街でも10億ドル盗んだら刑務所に行くべきだ」。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は5日、議会公聴会で訴えた。

個人の刑事責任についてガイトナー前財務長官は最近の著作で「検察官たちは金融危機につながった行為がいかに非倫理的でも違法ではないと判断している。米国の法律は、欲や無知、過剰な楽観、さらには過剰なリスクを禁じているわけではない」と説明している。

■裁判回避の功罪

和解による決着は、金融危機関連に限らず広がっている。仏銀BNPパリバは6月、米国が経済制裁の対象としている国との取引などを理由に89億ドルの支払いで和解。トヨタも大規模リコールをめぐって3月に12億ドルの支払いで和解した。

ただ、和解では、社内でどんな判断があったのかなどの詳細が、法廷で明らかにならない懸念もある。企業犯罪などに詳しい、バージニア大のブランドン・ギャレット教授は「企業は裁判を避けられ、検察官も有罪の証明をしなくて済む点で、和解は双方にメリットがある」としながらも、「投資家や国民に対する透明性の確保などが犠牲になっているのは間違いない」と指摘する。

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